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第11話 故に理不尽がまかり通る
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戦いの要だったエースチームが奥に進んでしまい、戦況が一気に不利になった。
このままでは全滅だって有り得てしまうぞ!?
でも初心者の俺がいくら叫んでも誰も耳を貸しはしない。
みんな戦うのに必死なのか、それとも聞く価値がないと思われているのか。
「お前新人だろ!? ならわからねーよな!」
「何っ!?」
でもそんな時、いつの間にか隣にいた別チームの奴がこう言ってきた。
悔しそうに歯を食いしばりながら。
「俺達みたいな底辺は奥のボスと戦ったって役に立たねーって思われてんだよ!」
「なっ……!?」
「それどころかいるだけで足を引っ張るし、マナも尽きてる子も多いから足手まとい扱いなのよ。悔しいけどプロチームとうちらは違うんだよね」
「まぁそれでもちゃんと戦えば報酬は結構出るから充分だよな、ははっ」
「「「確かに!」」」
だけどすぐに彼等は笑い始め、奥の通路を守ろうと立ち回り始める。
まるで自分達には壁になるのがお似合いだと言わんばかりに。
それなのにどこか悔しそうにしているようにも見えるのだ。
……なんだ、これ。
こいつら、これで本当に戦っているつもりなのか?
捨て駒にされたのと同等なのにどうして笑っていられるんだよ……?
「彼方っち、落ち着いて」
「澪奈部長……?」
「先発隊が先に行くのは仕方ない事っしょ。その方が時には早くダンジョンコア壊せる場合もあるんよ」
「ならみんなで戦って少しでもレベルを上げれば――」
「それを許すエースチームじゃないんだよね。彼等もさ、ランキングがあるから」
「は!? ランキング……!? ただそれだけのために仲間を見捨てるって!?」
「気持ちはわかるって。だからあーしもプロやめたん。けどさ、それがまかり通っちゃってるんよ。その方が効率いいってみんなわかってっから」
「効率……それで失敗したら一体何の意味があるんだよ……!」
「底辺チームな俺らは仲間って見られてねーしな」
そうか、ランキング。
エースチームにとって、ダンジョン攻略はお小遣い稼ぎと有名になるための手段に過ぎないんだ。
だから認めた奴しか認識しないし、それ以外は簡単に切り捨てられる。
死のうが苦しもうが関係無いんだ。自分達のせいじゃないから。
ああそうか、そういう所なんだここは。
――ふっざけんなよ!
それじゃあなんのためのチーム制なんだ! なんのための大人数なんだ!
全員で力を合わせて攻略するために、より安全に戦うために役割を立ててるんじゃないのか!?
これはもう役割じゃない、使い捨ての道具扱いじゃないかあっ!!!!!
「プレイヤーが少ない理由、もしかしてわかっちゃった?」
……どうやら俺の怒りが顔に出てしまったらしい。
つくしが勘づいて心配そうに声をかけてくれた。
「つくし……うん、もう思う存分にね」
「有名になれる人は少ししかいないし、仲良しこよしができる人ばかりじゃないからね。みんなそれだけお金が欲しいんだよ。死ぬかもしれないとしてもさ」
「そういう奴らが集まってるって事なんだな」
「そ、あたし達も含めてね」
ダンジョンっていうのはもうそういう所なんだろうな。
でも例外はここにいる。
この宝春学園のメンバーだけは間違い無く、そんな酷い事を考えていない。
だからつくしだって戦力外通告されてもプレイヤーを続けている。
澪奈部長だって誘われても残ってくれた。
モモ先輩だけはわからないけど、二人が信用しているから信頼できる。
そんなチームに偶然にも入れたからこそ、俺はきっと幸運なのだろう。
だったら、その幸運に巡り合わせてくれたつくしにも報いなきゃな。
そう教えてもらえただけで、俺はまた挑戦できる気がするから。
「わかった。じゃあさっさと片付けてあいつらを追おう。足手まといと認定したあいつらの鼻をへし折ってやるためにもさ」
「か、彼方……?」
だから俺は魔物一匹に小斧を放り投げて倒す。
そしてさらに迫る集団に向けて単身で走り込んだのだ。
「なら――理不尽がまかり通るッ!!!」
あとはもう、自分の心の赴くままに殴り、蹴ってやった。
きっと誰しも、今の俺の動きを理解できる奴はいないだろう。
それどころか結果を前に驚愕し、戦慄し、俺はまた忌避されるかもしれない。
でももう知った事か、軽蔑したいならすればいいだろう。
今のこの理不尽な状況を覆せるなら、俺はそれだけでもう充分満足なのだから。
このままでは全滅だって有り得てしまうぞ!?
でも初心者の俺がいくら叫んでも誰も耳を貸しはしない。
みんな戦うのに必死なのか、それとも聞く価値がないと思われているのか。
「お前新人だろ!? ならわからねーよな!」
「何っ!?」
でもそんな時、いつの間にか隣にいた別チームの奴がこう言ってきた。
悔しそうに歯を食いしばりながら。
「俺達みたいな底辺は奥のボスと戦ったって役に立たねーって思われてんだよ!」
「なっ……!?」
「それどころかいるだけで足を引っ張るし、マナも尽きてる子も多いから足手まとい扱いなのよ。悔しいけどプロチームとうちらは違うんだよね」
「まぁそれでもちゃんと戦えば報酬は結構出るから充分だよな、ははっ」
「「「確かに!」」」
だけどすぐに彼等は笑い始め、奥の通路を守ろうと立ち回り始める。
まるで自分達には壁になるのがお似合いだと言わんばかりに。
それなのにどこか悔しそうにしているようにも見えるのだ。
……なんだ、これ。
こいつら、これで本当に戦っているつもりなのか?
捨て駒にされたのと同等なのにどうして笑っていられるんだよ……?
「彼方っち、落ち着いて」
「澪奈部長……?」
「先発隊が先に行くのは仕方ない事っしょ。その方が時には早くダンジョンコア壊せる場合もあるんよ」
「ならみんなで戦って少しでもレベルを上げれば――」
「それを許すエースチームじゃないんだよね。彼等もさ、ランキングがあるから」
「は!? ランキング……!? ただそれだけのために仲間を見捨てるって!?」
「気持ちはわかるって。だからあーしもプロやめたん。けどさ、それがまかり通っちゃってるんよ。その方が効率いいってみんなわかってっから」
「効率……それで失敗したら一体何の意味があるんだよ……!」
「底辺チームな俺らは仲間って見られてねーしな」
そうか、ランキング。
エースチームにとって、ダンジョン攻略はお小遣い稼ぎと有名になるための手段に過ぎないんだ。
だから認めた奴しか認識しないし、それ以外は簡単に切り捨てられる。
死のうが苦しもうが関係無いんだ。自分達のせいじゃないから。
ああそうか、そういう所なんだここは。
――ふっざけんなよ!
それじゃあなんのためのチーム制なんだ! なんのための大人数なんだ!
全員で力を合わせて攻略するために、より安全に戦うために役割を立ててるんじゃないのか!?
これはもう役割じゃない、使い捨ての道具扱いじゃないかあっ!!!!!
「プレイヤーが少ない理由、もしかしてわかっちゃった?」
……どうやら俺の怒りが顔に出てしまったらしい。
つくしが勘づいて心配そうに声をかけてくれた。
「つくし……うん、もう思う存分にね」
「有名になれる人は少ししかいないし、仲良しこよしができる人ばかりじゃないからね。みんなそれだけお金が欲しいんだよ。死ぬかもしれないとしてもさ」
「そういう奴らが集まってるって事なんだな」
「そ、あたし達も含めてね」
ダンジョンっていうのはもうそういう所なんだろうな。
でも例外はここにいる。
この宝春学園のメンバーだけは間違い無く、そんな酷い事を考えていない。
だからつくしだって戦力外通告されてもプレイヤーを続けている。
澪奈部長だって誘われても残ってくれた。
モモ先輩だけはわからないけど、二人が信用しているから信頼できる。
そんなチームに偶然にも入れたからこそ、俺はきっと幸運なのだろう。
だったら、その幸運に巡り合わせてくれたつくしにも報いなきゃな。
そう教えてもらえただけで、俺はまた挑戦できる気がするから。
「わかった。じゃあさっさと片付けてあいつらを追おう。足手まといと認定したあいつらの鼻をへし折ってやるためにもさ」
「か、彼方……?」
だから俺は魔物一匹に小斧を放り投げて倒す。
そしてさらに迫る集団に向けて単身で走り込んだのだ。
「なら――理不尽がまかり通るッ!!!」
あとはもう、自分の心の赴くままに殴り、蹴ってやった。
きっと誰しも、今の俺の動きを理解できる奴はいないだろう。
それどころか結果を前に驚愕し、戦慄し、俺はまた忌避されるかもしれない。
でももう知った事か、軽蔑したいならすればいいだろう。
今のこの理不尽な状況を覆せるなら、俺はそれだけでもう充分満足なのだから。
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