39 / 126
第39話 生ビューチューバー!
しおりを挟む
大分空港に降り立った俺達は、そのまま現場直行のバスへと乗り込む事に。
そしてそれからおおよそ三〇分ほど走った先、とある市街地の中心部へと辿り着いた。
周りには家がたくさんあったが、現場に着くともう即席の壁に覆われている。
おそらく住宅街のど真ん中にダンジョンが出現したって事なんだろう。
以前は空き地とか公園の駐車場だったのだけど、こういう事もあり得るんだな。
「なんや、まだドリルロール軍団来とらんやんけ」
「なら東北チームと打ち合わせるには丁度いいんじゃない? 彼等ももういるし」
そんな壁の中に入ったのだけど、集まっている人数はそれほどではない。
東北チームと思われる団体が六人ほどと、あとは委員会関連の人達かな。
それでバスを降り、さっそく東北チームと合流。
匠美さんが率先して間に立ってくれたおかげですぐに話が付いた。
「な? あいつらイイ奴らやったろ?」
「ええ、頼りになりそうで助かりますよ」
「ははっ! この調子でドリルロールいてこましたろ!」
「でも入るまではちょっと別に動いた方がいいかもね。あいつらに気取られて必要以上に結託されると面倒やし」
「ですねぇ~んじゃ入る時によろしくぅ!」
「おう! あと澪奈ちゃん後でRAIN交換――」
「タ・ク! 行くわよ!」
「わ、わかったて!」
はは、匠美さんは相変わらずだなぁ。
澪奈部長が苦笑いするほどの勢いだし。
でもあの感じだと、匠美さんは凜さんと付き合っているんだろうな。
あの二人、なんか見ててほっこりするよ。活き活きしてるし。
いいな、恋人っていうのは。
「彼方!」
「え!?」
「何ニヤニヤしてんの~? もしかして凜さんの事いいなーとか思ってた?」
「いや違うよ。あの二人、すごいお似合いだなって。うらやましいって思った」
「……そだね。いいよね、ああいうの」
「? つくしはああいうの嫌いなのか?」
「え!? いやそういう訳じゃ……ははは、うらやましいなー!」
「つくし……」
でもなんだろう、彼等を見るつくしの目はなんか悲しそうにも見えた。
うらやましくはあるのだろうけど、それでいて遠くを見るような感じで。
……やっぱり女の子の考えている事はまだよくわからない。
魔物みたいにはいかないな。
「あ、別チームも来たっぽい!」
本当だ、バスが二台同時にやってきた。
よく見れば中の人数も多いし、なんだかすごいな……。
「あれは四位と五位だねー、見た事あるー!」
「しかも人数が多い……たしか五位が数で押すタイプって話よ」
バスが止まったと思うとゾロゾロ出てきたぞ。
二チーム合わせてもう三〇人近いんだが……。
あ、匠美さん達が彼等に近づいていく。
挨拶しているみたいだ。さすがに礼節はわきまえてる人なんだな。
澪奈部長もそれに気付いて同じく挨拶しに行ったようだ。
それで、話した感触はどうだろうか?
「みんな割といい人達だったねぇ。やっぱトップスは余裕があるわー」
「まー澪奈パイセン人当たりいいしねー。話し易いから相手も安心できるんじゃないかなー。たぶん彼方が行ったらそうもいかないかも!」
「くっ、図星だから何も言い返せない! まだ人付き合いの練習中なんだよぉ……!」
「ホントに口下手な人と比べたら話せる方だからへーきへーき!」
うん、澪奈部長はたしかに話し易いよな。わかるよ。
でも俺の態度の事は関係無いから話題に出さないで!
愛想よくするための練習してる最中なの!
「やーやー宝春学園のみなさん、今日も元気だねー!」
でもそんな葛藤をしていたら知らない人が声をかけてきた。
誰だ? まるで知ったかのような話しぶりだけど。
「あ! すえつぐじゃん! 生すえつぐー!」
「ハハハ! ネオ~ッすえつぐ、ですっ!」
「おお~生挨拶きたわぁ~!」
「本物を前にすると違うわね……!」
すえつぐ……?
あ、あの動画の人か!
実際会ってみると意外に気付けないもんだなぁ。
……でもあれ?
こうして前に立ってみると、誰かに似ているような。
うーん、メガネが似合いそうな雰囲気もあるが、誰だったか。
「今日は宝春学園ダンジョン部のみんなが来ると聞いてね、思い立ってすぐ撮影の許可をまたもらったんだ。君達にはこの間の動画でお世話になったからね、今回も君達をクロ~ズア~ップしていくつもりだから期待しててくれ!」
「おおー! すえつぐがあたし達の味方になったー!」
「もちろんさぁ! いやーきっかけになったあの動画では結構稼がせて頂きましたし! もうそのお礼は存分にさせていただきますよぉ!」
「いいねいいねぇ~! これならバトラー田辺にも負けないんじゃね!?」
おお、ビューチューバーが俺達の後援をしてくれるのか!
これは心強い。
どれだけ心強いかはさっぱりわからないけど。
「あ、あぁ~……司条遥さんとの対決の話は僕も聞いているよ。うん……」
「あ、すえつぐいきなり弱気になった」
「そりゃね!? ビューチューバー対決にもなったらさすがにビビるって! 相手はあのバトラー田辺よ!? 僕の憧れの人の一人だよ!?」
「んならコラボっちゃえばいいんじゃね?」
「そ、そうだねーははは……」
くっ! この男、思ったより頼りない感じだぞ。
テンションがいきなりネオじゃない頃に戻り始めている。
本当に大丈夫なの、俺達の活躍をコイツに映させても!?
そしてそれからおおよそ三〇分ほど走った先、とある市街地の中心部へと辿り着いた。
周りには家がたくさんあったが、現場に着くともう即席の壁に覆われている。
おそらく住宅街のど真ん中にダンジョンが出現したって事なんだろう。
以前は空き地とか公園の駐車場だったのだけど、こういう事もあり得るんだな。
「なんや、まだドリルロール軍団来とらんやんけ」
「なら東北チームと打ち合わせるには丁度いいんじゃない? 彼等ももういるし」
そんな壁の中に入ったのだけど、集まっている人数はそれほどではない。
東北チームと思われる団体が六人ほどと、あとは委員会関連の人達かな。
それでバスを降り、さっそく東北チームと合流。
匠美さんが率先して間に立ってくれたおかげですぐに話が付いた。
「な? あいつらイイ奴らやったろ?」
「ええ、頼りになりそうで助かりますよ」
「ははっ! この調子でドリルロールいてこましたろ!」
「でも入るまではちょっと別に動いた方がいいかもね。あいつらに気取られて必要以上に結託されると面倒やし」
「ですねぇ~んじゃ入る時によろしくぅ!」
「おう! あと澪奈ちゃん後でRAIN交換――」
「タ・ク! 行くわよ!」
「わ、わかったて!」
はは、匠美さんは相変わらずだなぁ。
澪奈部長が苦笑いするほどの勢いだし。
でもあの感じだと、匠美さんは凜さんと付き合っているんだろうな。
あの二人、なんか見ててほっこりするよ。活き活きしてるし。
いいな、恋人っていうのは。
「彼方!」
「え!?」
「何ニヤニヤしてんの~? もしかして凜さんの事いいなーとか思ってた?」
「いや違うよ。あの二人、すごいお似合いだなって。うらやましいって思った」
「……そだね。いいよね、ああいうの」
「? つくしはああいうの嫌いなのか?」
「え!? いやそういう訳じゃ……ははは、うらやましいなー!」
「つくし……」
でもなんだろう、彼等を見るつくしの目はなんか悲しそうにも見えた。
うらやましくはあるのだろうけど、それでいて遠くを見るような感じで。
……やっぱり女の子の考えている事はまだよくわからない。
魔物みたいにはいかないな。
「あ、別チームも来たっぽい!」
本当だ、バスが二台同時にやってきた。
よく見れば中の人数も多いし、なんだかすごいな……。
「あれは四位と五位だねー、見た事あるー!」
「しかも人数が多い……たしか五位が数で押すタイプって話よ」
バスが止まったと思うとゾロゾロ出てきたぞ。
二チーム合わせてもう三〇人近いんだが……。
あ、匠美さん達が彼等に近づいていく。
挨拶しているみたいだ。さすがに礼節はわきまえてる人なんだな。
澪奈部長もそれに気付いて同じく挨拶しに行ったようだ。
それで、話した感触はどうだろうか?
「みんな割といい人達だったねぇ。やっぱトップスは余裕があるわー」
「まー澪奈パイセン人当たりいいしねー。話し易いから相手も安心できるんじゃないかなー。たぶん彼方が行ったらそうもいかないかも!」
「くっ、図星だから何も言い返せない! まだ人付き合いの練習中なんだよぉ……!」
「ホントに口下手な人と比べたら話せる方だからへーきへーき!」
うん、澪奈部長はたしかに話し易いよな。わかるよ。
でも俺の態度の事は関係無いから話題に出さないで!
愛想よくするための練習してる最中なの!
「やーやー宝春学園のみなさん、今日も元気だねー!」
でもそんな葛藤をしていたら知らない人が声をかけてきた。
誰だ? まるで知ったかのような話しぶりだけど。
「あ! すえつぐじゃん! 生すえつぐー!」
「ハハハ! ネオ~ッすえつぐ、ですっ!」
「おお~生挨拶きたわぁ~!」
「本物を前にすると違うわね……!」
すえつぐ……?
あ、あの動画の人か!
実際会ってみると意外に気付けないもんだなぁ。
……でもあれ?
こうして前に立ってみると、誰かに似ているような。
うーん、メガネが似合いそうな雰囲気もあるが、誰だったか。
「今日は宝春学園ダンジョン部のみんなが来ると聞いてね、思い立ってすぐ撮影の許可をまたもらったんだ。君達にはこの間の動画でお世話になったからね、今回も君達をクロ~ズア~ップしていくつもりだから期待しててくれ!」
「おおー! すえつぐがあたし達の味方になったー!」
「もちろんさぁ! いやーきっかけになったあの動画では結構稼がせて頂きましたし! もうそのお礼は存分にさせていただきますよぉ!」
「いいねいいねぇ~! これならバトラー田辺にも負けないんじゃね!?」
おお、ビューチューバーが俺達の後援をしてくれるのか!
これは心強い。
どれだけ心強いかはさっぱりわからないけど。
「あ、あぁ~……司条遥さんとの対決の話は僕も聞いているよ。うん……」
「あ、すえつぐいきなり弱気になった」
「そりゃね!? ビューチューバー対決にもなったらさすがにビビるって! 相手はあのバトラー田辺よ!? 僕の憧れの人の一人だよ!?」
「んならコラボっちゃえばいいんじゃね?」
「そ、そうだねーははは……」
くっ! この男、思ったより頼りない感じだぞ。
テンションがいきなりネオじゃない頃に戻り始めている。
本当に大丈夫なの、俺達の活躍をコイツに映させても!?
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~
下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。
二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。
帝国は武力を求めていたのだ。
フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。
帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。
「ここから逃げて、田舎に籠るか」
給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。
帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。
鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。
「私も連れて行ってください、お兄様」
「いやだ」
止めるフェアに、強引なマトビア。
なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。
※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる