実家が先行実装ダンジョンだった俺、同級生の女子に誘われたので今度は正式実装版で無双をやってみた。え、配信された攻略動画がバズってるって!?

日奈 うさぎ

文字の大きさ
50 / 126

第50話 本当なら争っている場合じゃない

しおりを挟む
 よし、中央ルートは殲滅完了だ。
 普通の流れならあとは部屋奥にあるダンジョンコアを破壊すればいい。

「す、すまない、助かったよ」
「いや、礼には及ばないよ。これが俺達の役目だしさ」
「そ、そうだよな、いがみ合う方がおかしいんだよな……本当にすまない」
「五位のメンバーから頼まれてもいたしね。昔の仲間を助けてやってくれって」
「彼等がそんな事言っていたのね……みんな、心配してくれてたんだ」

 一位のメンバー達もそこまで好戦的って訳でもなさそうだ。
 こうやって頭も下げてくれている辺り、いい人達ではあるんだろうな。

「じゃあ早くダンジョンコアを破壊して撤収しないと――」
「いや、待ってくれ。まだコアは破壊しない方がいい」
「え?」

 おっと、だけどコアを今破壊される訳にはいかない。
 俺達にはこのダンジョンでやらなければならない事がまだまだあるのだから。

「人質がまだ一人しか救助できていないんだ。おそらく残るすべての人質は右ルートに集められているんだと思う。奴らは人質を有効利用する術も持ち合わせているし、相当な苦戦を強いられているはずだ」
「な、なんだって!?」
「それに入口の子も蘇生しないとだしね!」
「そ、蘇生!? そ、そんな事が本当にできるのか!?」
「ああ。だからまだ時間が欲しい。それに戦力も。今頃は二位三位も合流していると思うけど、それでも正面からのぶつかり合いで勝てるかどうかも怪しいから」

 右ルートを制圧し、人質の探索と救助をしなければいけない。
 けどコアを破壊すれば三〇分という時間制限が発生して、達成が困難になってしまう。

 そうならないためにも今はコアを放っておくのが一番だ。

「だから頼む、無事な奴は力を貸して欲しい」
「!?」
「この戦いでこれ以上の被害者を生まないためにも!」

 そして人手も欲しいからこそ俺も頭を下げる。
 匠美さん達や東北チームもそうだけど、四位五位だって助けたいから。
 俺は誰にも、深い傷を負ったまま帰って欲しくない。

「そ、そうだな。僕達もまだ戦える」
「そうよ、私達だってトップスなんだから」
「なら無事な俺達だけでも戦おうぜ!」
「じゃあその前にケガした人を治さないとな」
「回復ならあたしにまっかせてよー!」

 しかし彼等のヒーラーはすでに大ケガを負ってしまっているようだ。
 オークが狡猾だったから真っ先に狙われたんだろう。

 なら戦力は落ちると思うが、つくしの出番だな。

「えへへー、こんな時のために範囲大回復魔法を覚えました!」
「範囲回復だって!?」
「よしケガ人をここへ集めよう」
「もしかして遥様も? あなた達と対決しているのに……」
「当然だろ。怪我しているなら治さないと」
「連れてきたぞ!」
「よぉし、それじゃあいっくよー! 【範囲上級回癒術オールケアレイショーン】!」

 おお、本当に範囲回復魔法を使えている。
 でもさりげなく範囲外に出ておく事にしよう。怖いから。

 お、やるなぁつくし。みんなのケガがみるみる治っていくぞ。
 しかも軽傷だった人は副作用が無いみたいだ。

「ひっぎぃぃぃ!? お腹がいったぁぁぁあい!!!」
「うっげぇぇぇ! 腹が、腹がぁぁぁぁ!!?」
「あー安心して出口まで走っていいからねーもう敵はいないと思うから。お帰りはあちらでーす」
「「「ひぃぃいいいん!!?」」」

 あ、彼等の仲間が次々の気絶から復帰した。
 ほんと飛び起きるくらい痛いんだな、副作用。

「い、一体なんだったの今の!? えええ~!?」
「あー、つくしの治癒魔法って強力だけど副作用があるんだよ。極度の腹痛になるっていうさ」
「「「ええ~~~……」」」

 さすがトップスでもつくしのよくわからない副作用は認知していなかったらしい。
 うん、この反応がもう懐かしいよ。
 ほんの二週間前に知ったばかりの事なのにな。

「ふ、ふざけた事を……冗談じゃ、ありませんわ……!」
「ん? あれ、お前腹痛は?」
「!? こ、こんな痛みなどわたくしにかかれば有って無いようなものですわよ!」
「そういう割には膝がすごい笑ってるけど?」
「う、うるさいですわーっ!」

 しかしまさか司条遥がこの副作用に耐えるなんて。すごい精神力だ。
 実は痛みってそれほどでもないのか? あるいは傷が浅かったとか。

 あ、でも脂汗がすごいし表情筋がバッキバキに浮き出てる。
 むっちゃくちゃ無理してる顔だこれ。

「ま、まぁいいや。よし、右ルートを援護しにいこう」
「まままちなさい! あなた達はわたくしを援護しつつ一旦外へ出ますわよ!」
「「「ッ!?」」」
「何を言ってるんだ司条! まずは残った仲間の援護を――」
「知った事ではありませんわ!」
「何っ!?」

 だが相変わらずだ。
 相変わらずコイツは人の話をききやしない。
 それどころか自分を守る事ばかりで……!

 まぁた面倒な事になりそうだぞ、これは……!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

魔力ゼロの俺だけが、呪いの装備を『代償なし』で使い放題 ~命を削る魔剣も、俺が持てば『ただのよく切れる剣』~

仙道
ファンタジー
現代日本で天才研究者だった相模登(さがみ のぼる)は、ある日突然、異世界へ転移した。  そこは『スキル』と『魔力』が全てを決める世界。   しかし登には、ステータス画面もなければ、魔力も、スキルも一切存在しなかった。   ただの一般人として迷宮に放り出された彼は、瀕死の女騎士と出会う。彼女の前には、使う者の命を瞬時に吸い尽くす『呪いの魔剣』が落ちていた。   武器はそれしかない。女騎士は絶望していたが、登は平然と魔剣を握りしめる。 「なぜ……生きていられるの?」  登には、剣が対価として要求する魔力は存在しない。故に、魔剣はデメリットなしの『ただのよく切れる剣』として機能した。   これは、世界で唯一「対価」を支払う必要がない登が、呪われた武具を次々と使いこなし、その副作用に苦しむ女騎士やエルフ、聖女を救い出し、無自覚に溺愛されていく物語。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。 なお、シリーズ第二作目が、現在なろう様、カクヨム様で連載しています。 2月13日完結予定。 その後、アルファポリス様にも投稿する予定でいます。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

処理中です...