実家が先行実装ダンジョンだった俺、同級生の女子に誘われたので今度は正式実装版で無双をやってみた。え、配信された攻略動画がバズってるって!?

日奈 うさぎ

文字の大きさ
85 / 126

第85話 今こそ真に力を合わせる時

しおりを挟む
 ようやく現場に辿り着き、先に着いていたチームと合流。
 その中には匠美さんと凜さんら大阪チームもいた。
 ダンジョンミミック戦以来の再会だ。

 でも久しぶりの話題はと言えばあまり明るくは無いが。

「剛司さんの事、残念でしたね」
「まぁあれは仕方ないでしょう。私達も他人事やないですし」
「そうか、そういえば匠美さんと凜さんももうすぐ二〇歳になるんでしたっけ」
「せやで! 来年の成人式にゃあド派手にいったるでぇ!」

 匠美さんは勢いだけならハタチ越えなんだけどな。
 凜さんも含め、どこか達観している所があるから。

「そういえば、二人とも引退したらどうするつもりなんです?」
「どうって……今まで通りやね。私は昔みたいにサバゲでも楽しむつもりよ」
「トップスなってぎょうさん稼がせてもらったしのぉ、大学出たら働かんでしばらく遊ぶのもありやな。あ、ワシらな、元々サバゲチームやっててん。〝大阪ソルジャースイーパーズ〟ってのでな、全国大会やって日本一にもなった事あるゥ」
「おぉ~~~それはすごい!」
「おもろいで! 彼方達も遊びに来たらええ!」

 サバゲか。どんなものかはわからないけど何かすごそうだ。
 二人とも、そのジャンルでもかなり強いんだろうな。
 匠美さんが盾になって凜さんが撃つ、そんな二人のコンビネーションはきっと昔から培われてきたんだろう。

「あ、そうだ。匠美さん、凜さん」
「「なんや?」」
「この後全員が集まったら話し合いたい事があるんで、ちょっと他チームとの顔合わせの際に手伝ってもらえません?」

 この二人の息ピッタリな所も今回では肝になる。
 長年トップスに君臨しているからこそ顔も利くし。
 だったら有効利用しない手はないよな。

「……せやな、今回はちと声を合わせていかんとキツいと思うわ。そこんとこ、お前さんに何か考えがあるんやろ?」
「ええ、ちょっと試したい事があるんです」
「ほぉ? というと?」
「これは普通じゃできない事です。けど、トップス達の統制力ならおそらくは……!」

 幸い、二人はほどよく賢い。
 きっと俺の意図をこれだけでもしっかり読み取ってくれているはず。

 だからか、匠美さんが俺と熱い握手を交わしてくれた。
 しかも真剣な顔つきで、力強く。
 それだけ今回の攻略戦には気合いが籠っているんだろうな。

 仲の良かった剛司さん、ないしは東北チームの仇討ちのために。

 それから少しすると、招集された人達が続々とやってきた。
 今回もトップスである一位から十位までが集められたらしい。
 加えて三位欠場の代替として十一位と十二位も来るのだそう。

 人数的には百人規模の大所帯となりそうだ。
 その人数を統制する事が俺にできるだろうか……?

 ――いや、その心配は杞憂だな。
 集まってきた人達の面構えが今までと違う。
 みんな今回の戦いが厳しくなるとわかっているんだろう。

 それなら。

「みんな集まってくれてありがとう。さっそくだけど本題に入る。今回の戦いが厳しい事はみんなわかっていると思うんだ。だからこそ今回は全員が声を合わせて協力して戦いたいと考えている」

 収集自体は問題無かった。
 俺達宝春と大阪チームそして麗聖もすでに集まっていたから、自然と流れが俺達の方へと向かうようになっていたらしい。
 それで気付けば俺を中心にして百人規模の大きな円が生まれていた。

 だったらあとは、どう説明するかだ。

「そこで俺に一つ提案がある」
「何をする気なんだ?」
「囮でも決めていくか?」
「実は俺達宝春は一度、四人だけでダンジョンを攻略した事があるんだ」
「「「なっ!!!??」」」
「「「四人だけでだって!?」」」
「そう、これは紛れも無い事実です。ただ公式戦じゃないから公表されていない。それはダンジョン攻略委員会の人達なら知っていますよね?」
「え、ええ、知っています。ですがそれは――」
「もう隠しても仕方ないんですよ。ここでこそあの手段を使わなければ、どっちみちパワーゲームになってしまうんですから」

 この際だからダンジョン攻略委員会も巻き込んでいく。
 役員のおっさんも捕まえてあるから大々的に行くつもりだ。

 もしかしたら俺が力を発揮すれば一人ででも勝てるかもしれない。
 けどそれではダメなんだ。一人だけが強くても後が続かないから。

 ここにいる全員が「こうすれば勝てる」と理解しなければ、プレイヤーの技術は一向に向上しない!

「これから伝えるのは、その少人数でもクリアした手法だ。ただし、これは全員が理解して立ち回らないとできない作戦でもある」
「「「ゴクリ……」」」
「ひとまず今の所わかっている相手の分だけでも詳細な戦い方は伝えるけど、先が続く場合にはアドリブでやっていく必要がある。だからみんな、しっかり理解して欲しい」
「「「ざわざわ……」」」
「でもトップオブトップスや、そこに至れる実力のある人達もいるからこそ、俺はできるんだって信じていますから!」
「「「ッ!!?」」」
 
 これは決してそこまで難しい戦いではない。
 ただ理論を組み立て、より簡単な戦い方を導くだけなのだから。

 それをたった一戦だけで構築するというだけで。

 そして、そのヒントはもう俺の手の内にある。
 だったらそのヒントをみんなに周知させればいいだけなんだ。

「ではこの中に、上級魔法〝泡滑浄化術バブリッシャー〟を覚えている、あるいは習得可能な人がいたら教えて欲しい」

 それだけで円滑に事が進むはず。
 俺はそう信じたい。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

魔力ゼロの俺だけが、呪いの装備を『代償なし』で使い放題 ~命を削る魔剣も、俺が持てば『ただのよく切れる剣』~

仙道
ファンタジー
現代日本で天才研究者だった相模登(さがみ のぼる)は、ある日突然、異世界へ転移した。  そこは『スキル』と『魔力』が全てを決める世界。   しかし登には、ステータス画面もなければ、魔力も、スキルも一切存在しなかった。   ただの一般人として迷宮に放り出された彼は、瀕死の女騎士と出会う。彼女の前には、使う者の命を瞬時に吸い尽くす『呪いの魔剣』が落ちていた。   武器はそれしかない。女騎士は絶望していたが、登は平然と魔剣を握りしめる。 「なぜ……生きていられるの?」  登には、剣が対価として要求する魔力は存在しない。故に、魔剣はデメリットなしの『ただのよく切れる剣』として機能した。   これは、世界で唯一「対価」を支払う必要がない登が、呪われた武具を次々と使いこなし、その副作用に苦しむ女騎士やエルフ、聖女を救い出し、無自覚に溺愛されていく物語。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。 なお、シリーズ第二作目が、現在なろう様、カクヨム様で連載しています。 2月13日完結予定。 その後、アルファポリス様にも投稿する予定でいます。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

処理中です...