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第三十節「誓いの門出 龍よ舞い上がれ 歌姫を胸に抱きて」
~烈風 巨龍の咆哮~
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その時、空島全体が大きく震えた。
周囲を覆っていた光学迷彩でもある黒の突風が途端に晴れ渡り、青空の直下へとその姿を晒す。
振動の影響か……島底部の空中を漂っていた小さな小岩がたちまち島の引力圏を外れ、次々と落下していった。
当然、変化はそれで終わった訳ではない。
地表を覆う岩々に亀裂が走り始め、そこかしこで砕け始める。
頭頂部ではその岩が拍子に崩れ落ち、坂から転がり落ちていった。
中には自生していた木々に岩の塊が当たり、へし折られていく。
島に住んでいたであろう鳥がそれに驚き、島の外へと向けて飛び立っていった。
なお振動は続き、徐々にその激しさを増す。
頭頂部周辺のそそり立つ様に切り立った岩の突起部がとうとう振動に負け、その身を崩し始めた。
亀裂に沿うままに砕け、その勢いのままに落下していく。
全長三十メートルほどもある巨大な岩の塊……それが遂に空島の地表へと激しく叩き落ちた。
たちまち、その衝撃が空島の地表に大きな亀裂を呼び込んだ。
「ビキビキ」という軋み音を掻き鳴らし、入り口前の広場を構築していた地盤に裂け目が生まれる。
そこだけではない。
横に広がる様に伸びていた地表部の外縁がとうとう、崩れ始めたのだ。
亀裂が亀裂を呼び、砕け、落下していく。
下は海……全てを受け入れるかの如く、落下する岩々を飲み込むのみ。
地表に打ち降ろした大岩は一つに限らない。
そそり立つ岩壁は島に幾つも存在している。
それらが一つ落ち、大きな衝撃を与えた事で……一つ、また一つと大きな力が加わり、その身を支える下腹部を押し潰し始めた。
落下していく岩から見てわかる通り、岩を支える引力が何かしらの理由で失われたのだ。
二つの要因が重なり、遂にまた一つ地表へと大岩が落下する。
その衝撃が続き、遂に亀裂は地表深くにまで達していった。
その時、遂に大きな衝撃が島の底部に走る。
島の底部を覆っていた岩が自重を支えられなくなり、剥がれる様に落ち始めたのだ。
「バキバキ」と破砕音を立て、根付いた草木と共に落下していく。
崩壊が崩壊を呼び、底部を構成する岩々が絶え間ない落下を続けていった。
こうなったらもはや止まりはしない。
外縁の一部、最も突起した部分が大きな亀裂を走らせる。
とうとう自重に支えられなくなった巨大な岩の塊は、千切れとれるかの如き様相で周囲の岩肌を巻き込みながら「メキメキ」と音を立てて傾いていく。
それを完全に支える事が出来なくなった時……遂に大岩は空島を離れ、海へと落下する。
全長で言えば二百メートル程もある巨大な岩である。
激しく打ち付けられた岩が大きな水しぶきを上げ、空島にまでその雫を到達させていた。
周辺への津波が予見出来る程に激しい落下衝撃であった。
一つ、また一つと岩が崩れ落ち、巨大だった空島の形が見る見るうちに削れたかの様に小さくなっていく。
削り取られ、崩れ落ち、吹き飛ばされて。
地表にあった砂や土は亀裂に飲み込まれて消え、岩と共に海へと消える。
自生していた植物はもはや見られず、殆どの地表部が消えた事を意味していた。
それでもなお振動は続く。
今までは横に向いた菱形状を成していた島が、覆う岩を崩した事で縦の菱形状へとその身を細めていく。
崩れ、角張った岩々が断裂して激しい崖の様相を生み続け、なお破砕しながら落下していく。
その度に海上が大きな水しぶきを幾度と無く打ち上げ、海水をぶちまけていった。
崩壊は続き、とうとうそれは人の手が入った部分にまで影響を及ぼし始めた。
入口前に設営されていたテントや機械類を岩が押し潰し、亀裂が飲み込んでいく。
破片や残骸を弾き飛ばしながら入口前の地表をも砕き、激しい音を掻き鳴らしながら落下していった。
そして遂に……島中心を覆う内縁部の岩肌にも亀裂が走る。
それは一見先程の様子と同じ様で、全く違うものだった。
振り落とさんとばかりに震えていた先程と異なり……今度はまるで内部から押し広げるような力が加わっていたのだ。
まるで卵を破らんとばかりに幼鳥が暴れる様に……島全体が内圧による膨張を始めたのである。
至る箇所が内側からの力によって弾き飛ばされ始めた。
それはもう、かつての古代人が造った外縁螺旋通路すら例外では無かった。
崩壊は進み、最終局面が訪れる。
「メキメキ」と音を立て、内圧が遂に外縁部を強く押し広げた。
途端、周囲を覆っていた岩々が激しく弾き飛ばされたのだ。
その拍子に見た事のある物までがそれらと共に宙を舞う。
それはエレベーターのカゴ……先程勇達が乗っていた物である。
幾度と無く、激しい衝撃が破片を撃ち出した。
それはまるで内部から風を吹き出すかの様だった。
気付けばもはや、岩肌のほとんどが取り除かれていた。
その代わりに現れたのは……僅かにスモークがかった銀色の肌。
今なお浮き続ける島の中核……その表皮の至る場所が、銀色だった。
太陽の光を受け、強く反射するその様は……今なお出来たばかりの様に美しく煌めく。
なお巨大さを残すその中核は、まるで折り畳まれた様な何か。
天に突く様に伸びたそれは、形容するならば……開かれる前の折り紙の鶴のよう。
そして時が訪れた時……遂に中核が動き始めた。
天を突く様に伸びていた各部が動き始め、中心を素に開き始める。
激しい起動音を掻き鳴らし、中核が『変形』を始めたのだ。
各部には警告回転灯がしきりに回り、光を放つ。
現代でも見られる、周囲への注意を表す信号だ。
きっとこれはこの時の為にカプロ達が設置した現代の品。
銀色の塊はとうとうその身を開き、その真の姿を現す。
誰が想像しただろうか。
誰が信じただろうか。
知っていたのは彼等だけ。
空島は……龍を産むのだという事を。
その姿はまさに……空駆ける龍の如く。
銀色の機械龍……それが空島の正体だったのである。
勇達が居るのは管制室。
それは龍の頭部に当たる部分に存在し、百メートル程もある長い首の先に存在する。
胴体部はまるで龍の抱く丸籠の如く、四本の巨大なフックが抱え支えている。
そこにあるのは先程の居住区だ。
それに加え、高さ幅も相当である。
居住区の上部は、それを覆い隠せる程に巨大な胴体部が存在する。
首や尾、翼を維持するだけあって、胴体の強度は見る限りでも強固さがわかる程に機械らしい角ばった構造が目立つ。
翼は龍の揚力を支えるだけの事もあってとても巨大で、鋭く尖り二つに別れた先端部と、膨らんだ翼腹部の意匠が龍を彷彿とさせるのだろう。
後部には推進用のバーニアの様なノズルが幾つも備えられ、尻尾の様に伸びた尾翼が全長を押し伸ばす。
縦幅全長で言えばおおよそ七百メートルにも達する。
横幅全長で言えば約一キロメートルにも到達……凄まじき巨大さだ。
周囲の雲をも振り払い、青の空に佇むその姿は……計り知れない力強さを感じさせる程。
古代の知恵が生み出した機械仕掛けの龍が今ここで……再誕を果たす。
その時、空を突く様に打ち上がった機動音は……まるで誕生に打ち震えた巨龍の咆哮の様であった……。
周囲を覆っていた光学迷彩でもある黒の突風が途端に晴れ渡り、青空の直下へとその姿を晒す。
振動の影響か……島底部の空中を漂っていた小さな小岩がたちまち島の引力圏を外れ、次々と落下していった。
当然、変化はそれで終わった訳ではない。
地表を覆う岩々に亀裂が走り始め、そこかしこで砕け始める。
頭頂部ではその岩が拍子に崩れ落ち、坂から転がり落ちていった。
中には自生していた木々に岩の塊が当たり、へし折られていく。
島に住んでいたであろう鳥がそれに驚き、島の外へと向けて飛び立っていった。
なお振動は続き、徐々にその激しさを増す。
頭頂部周辺のそそり立つ様に切り立った岩の突起部がとうとう振動に負け、その身を崩し始めた。
亀裂に沿うままに砕け、その勢いのままに落下していく。
全長三十メートルほどもある巨大な岩の塊……それが遂に空島の地表へと激しく叩き落ちた。
たちまち、その衝撃が空島の地表に大きな亀裂を呼び込んだ。
「ビキビキ」という軋み音を掻き鳴らし、入り口前の広場を構築していた地盤に裂け目が生まれる。
そこだけではない。
横に広がる様に伸びていた地表部の外縁がとうとう、崩れ始めたのだ。
亀裂が亀裂を呼び、砕け、落下していく。
下は海……全てを受け入れるかの如く、落下する岩々を飲み込むのみ。
地表に打ち降ろした大岩は一つに限らない。
そそり立つ岩壁は島に幾つも存在している。
それらが一つ落ち、大きな衝撃を与えた事で……一つ、また一つと大きな力が加わり、その身を支える下腹部を押し潰し始めた。
落下していく岩から見てわかる通り、岩を支える引力が何かしらの理由で失われたのだ。
二つの要因が重なり、遂にまた一つ地表へと大岩が落下する。
その衝撃が続き、遂に亀裂は地表深くにまで達していった。
その時、遂に大きな衝撃が島の底部に走る。
島の底部を覆っていた岩が自重を支えられなくなり、剥がれる様に落ち始めたのだ。
「バキバキ」と破砕音を立て、根付いた草木と共に落下していく。
崩壊が崩壊を呼び、底部を構成する岩々が絶え間ない落下を続けていった。
こうなったらもはや止まりはしない。
外縁の一部、最も突起した部分が大きな亀裂を走らせる。
とうとう自重に支えられなくなった巨大な岩の塊は、千切れとれるかの如き様相で周囲の岩肌を巻き込みながら「メキメキ」と音を立てて傾いていく。
それを完全に支える事が出来なくなった時……遂に大岩は空島を離れ、海へと落下する。
全長で言えば二百メートル程もある巨大な岩である。
激しく打ち付けられた岩が大きな水しぶきを上げ、空島にまでその雫を到達させていた。
周辺への津波が予見出来る程に激しい落下衝撃であった。
一つ、また一つと岩が崩れ落ち、巨大だった空島の形が見る見るうちに削れたかの様に小さくなっていく。
削り取られ、崩れ落ち、吹き飛ばされて。
地表にあった砂や土は亀裂に飲み込まれて消え、岩と共に海へと消える。
自生していた植物はもはや見られず、殆どの地表部が消えた事を意味していた。
それでもなお振動は続く。
今までは横に向いた菱形状を成していた島が、覆う岩を崩した事で縦の菱形状へとその身を細めていく。
崩れ、角張った岩々が断裂して激しい崖の様相を生み続け、なお破砕しながら落下していく。
その度に海上が大きな水しぶきを幾度と無く打ち上げ、海水をぶちまけていった。
崩壊は続き、とうとうそれは人の手が入った部分にまで影響を及ぼし始めた。
入口前に設営されていたテントや機械類を岩が押し潰し、亀裂が飲み込んでいく。
破片や残骸を弾き飛ばしながら入口前の地表をも砕き、激しい音を掻き鳴らしながら落下していった。
そして遂に……島中心を覆う内縁部の岩肌にも亀裂が走る。
それは一見先程の様子と同じ様で、全く違うものだった。
振り落とさんとばかりに震えていた先程と異なり……今度はまるで内部から押し広げるような力が加わっていたのだ。
まるで卵を破らんとばかりに幼鳥が暴れる様に……島全体が内圧による膨張を始めたのである。
至る箇所が内側からの力によって弾き飛ばされ始めた。
それはもう、かつての古代人が造った外縁螺旋通路すら例外では無かった。
崩壊は進み、最終局面が訪れる。
「メキメキ」と音を立て、内圧が遂に外縁部を強く押し広げた。
途端、周囲を覆っていた岩々が激しく弾き飛ばされたのだ。
その拍子に見た事のある物までがそれらと共に宙を舞う。
それはエレベーターのカゴ……先程勇達が乗っていた物である。
幾度と無く、激しい衝撃が破片を撃ち出した。
それはまるで内部から風を吹き出すかの様だった。
気付けばもはや、岩肌のほとんどが取り除かれていた。
その代わりに現れたのは……僅かにスモークがかった銀色の肌。
今なお浮き続ける島の中核……その表皮の至る場所が、銀色だった。
太陽の光を受け、強く反射するその様は……今なお出来たばかりの様に美しく煌めく。
なお巨大さを残すその中核は、まるで折り畳まれた様な何か。
天に突く様に伸びたそれは、形容するならば……開かれる前の折り紙の鶴のよう。
そして時が訪れた時……遂に中核が動き始めた。
天を突く様に伸びていた各部が動き始め、中心を素に開き始める。
激しい起動音を掻き鳴らし、中核が『変形』を始めたのだ。
各部には警告回転灯がしきりに回り、光を放つ。
現代でも見られる、周囲への注意を表す信号だ。
きっとこれはこの時の為にカプロ達が設置した現代の品。
銀色の塊はとうとうその身を開き、その真の姿を現す。
誰が想像しただろうか。
誰が信じただろうか。
知っていたのは彼等だけ。
空島は……龍を産むのだという事を。
その姿はまさに……空駆ける龍の如く。
銀色の機械龍……それが空島の正体だったのである。
勇達が居るのは管制室。
それは龍の頭部に当たる部分に存在し、百メートル程もある長い首の先に存在する。
胴体部はまるで龍の抱く丸籠の如く、四本の巨大なフックが抱え支えている。
そこにあるのは先程の居住区だ。
それに加え、高さ幅も相当である。
居住区の上部は、それを覆い隠せる程に巨大な胴体部が存在する。
首や尾、翼を維持するだけあって、胴体の強度は見る限りでも強固さがわかる程に機械らしい角ばった構造が目立つ。
翼は龍の揚力を支えるだけの事もあってとても巨大で、鋭く尖り二つに別れた先端部と、膨らんだ翼腹部の意匠が龍を彷彿とさせるのだろう。
後部には推進用のバーニアの様なノズルが幾つも備えられ、尻尾の様に伸びた尾翼が全長を押し伸ばす。
縦幅全長で言えばおおよそ七百メートルにも達する。
横幅全長で言えば約一キロメートルにも到達……凄まじき巨大さだ。
周囲の雲をも振り払い、青の空に佇むその姿は……計り知れない力強さを感じさせる程。
古代の知恵が生み出した機械仕掛けの龍が今ここで……再誕を果たす。
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