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第二章
第70話 呪術を何とかする為には
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混血の村には何かがある。
そう思って探ってみたのだが。
「これは、呪術だねー」
「呪術、だと……!? 村一つにか!?」
まさかこんな有り得るはずの無いモノが仕組まれていたとは!
そんなバカな!?
村一つを包む程の呪術だと!?
有り得る訳が無いだろう!!
呪術っていうのは言わば代償を必要とする術法だ。
その上で深い怨念や呪詛を相手に浴びせ、不幸や状態異常をもたらすという。
ただ、その規模が大きくなればなるほど代償も大きくなる。
場合によっては相手の不幸より強い対価が必要となる事もあるんだ。
それなのに村一つ分。
そんな物、並大抵の人間が出来る事じゃあない!
最悪の場合、呪詛を掛けた時点で術者が死ぬクラスだぞ!?
「アークィン、君の予想は多分外れているよ。規模はあっても、力の作用次第で代償は調整出来るんだ。例えば〝僅かづつ力を奪う呪い〟とかね」
「ッ!?」
「そゆこーと。この呪いはー力を薄めーてー、少しづつ力を奪ーう。それも、誰にもわからないよーにー、巧妙に隠してーる」
――そうか、規模の希釈化か!
これは弱体魔法などでもよく利用される範囲化技術。
魔力などの媒体を極力減らす為に、効果を薄めて放つという高等技術だ。
それを呪術に応用して村一つ分を呪ったという訳だな!
つまり掛けた相手はこの村の人々を今すぐどうにかしたかったんじゃない。
ジワジワと弱らせていくだけでよかったんだ。
誰もがわからないくらいにゆっくりと。
「このまま呪いが進行したらー近い内に村人みんな死んじゃうー」
「これは不味いな。ひとまずクアリオ達に教えないと」
「そうだね、すぐにでもここを離れないと不味いかも」
「んーん、それもだめー」
「「「えッ!?」」」
しかもこの呪いは既にかなり進行している。
故に、もう生半可な対策では対処しきれないらしい。
フィーの真剣な眼差しがそう物語っていたんだ。
「皆の魂が、呪いと強く結びあーてる。だから離れようとしても離れられないー」
なんて事だ……!
つまり対策するには手遅れって事じゃないか!
このままじゃミラリア達が呪い殺されてしまうぞ!?
――でも待てよ?
それなら何故クアリオは平気なんだ?
アイツは元気そのものじゃないか。
「クアリオが元気な理由もわかるか?」
「それは簡単ー。この土地に依存していないーからー。皆を守る為にがんばてるけどー、心はいつも外にあるーと思うー」
「そうか、クアリオは夢があるもんな。いつか自分の機空船を手に入れるって夢が。その為に頑張ってるから……!」
「おう、そうだぜー。よく知ってんなー?」
「「「ッ!?」」」
なんて話をしていたら想定外の声が背後から。
それで振り向いてみればやはりクアリオの姿があって。
どうやら俺達の行動に気付いて近寄ってきていたらしい。
「一体何をコソコソ話してんだー? ま、まさかアークィンお前、姉ちゃんの事狙ってたりしねーだろうな!?」
「んな訳あるかァ!! って、そんなふざけた事を抜かしている場合じゃない!」
「はい?」
でもまだ事情に気付いてはいない。
恐らく話自体はほとんど聞いてなかったのだろう。
だから俺達はクアリオに全てを語ったんだ。
姉達が決して栄養失調ではなく呪いで弱っているという事を。
死の危機が迫っている事まで、何一つ余さず。
「そ、そんなの嘘だ! だって医者が言ったんだぞ!? 姉ちゃんは美味しい物を食べればすぐ元に戻るってぇ!」
ただやはりすぐに信じられはしないだろうな。
自分達だけの土地がまさか呪われているとは思ってもみないから。
だけどなクアリオ、フィーはこの手の事に詳しいんだ。
恐らく、その医者よりもずっと。
それに、もう証拠は幾つも挙がっているから。
作物が育たないのも、土そのものが弱っているからなんだって。
「でも戻らなかっただろ? 昨日の飯は俺でさえ三日間疲れ知らずになるくらい強力な料理だったんだ。なのに全く効果が出ていない」
「そ、それは……」
それに放って置けばマズいっていうのはクアリオもわかっていたハズだ。
信じたくは無くとも、心のどこかでは不安に思っていて。
本当は何とかしたいと、心のどこかで焦っていたんだよ。
だから必死にお金を稼いで、良い物を食べさせようとしていたんだろ!?
自分の夢もおざなりにして、家族を守る為に全力で頑張っていたんだろ!?
「けどなクアリオ、治せない訳じゃあないんだ。この呪いを今すぐに何とかすればいいだけなんだ!」
「で、出来るのか!? それがアンタ達に出来るのかよ!?」
「ん、できーる。まだどうやるかまではーわからにゃーけど。呪術もー魔法と同じやーよー。使い手どうにかするのー」
「なら、術者を探せば何とかなるって事だな!」
「お、おおっ……! なら頼む、何とかしてくれえッ!! 姉ちゃん達を助けてやってくれよぉ!!」
だけどクアリオじゃあミラリア達を救う事は出来ないかもしれない。
なら俺達が救ってやるんだ。
いや、絶対に救わなければならない。
なにせここまで手の込んだ呪いだからな。
だったらここにあるのは明らかな悪意に他ならない。
その悪意が、希望抱く者を容赦無く絞め殺す処刑場に仕立てたんだ。
俺達がそんな所業を犯した外道どもを許す訳が無いだろうッ!!!
呪術の主よ、すぐに見つけ出してやるぞッ!!
なんたって俺達にはもう、その手段があるんだからな……ッ!!
そう思って探ってみたのだが。
「これは、呪術だねー」
「呪術、だと……!? 村一つにか!?」
まさかこんな有り得るはずの無いモノが仕組まれていたとは!
そんなバカな!?
村一つを包む程の呪術だと!?
有り得る訳が無いだろう!!
呪術っていうのは言わば代償を必要とする術法だ。
その上で深い怨念や呪詛を相手に浴びせ、不幸や状態異常をもたらすという。
ただ、その規模が大きくなればなるほど代償も大きくなる。
場合によっては相手の不幸より強い対価が必要となる事もあるんだ。
それなのに村一つ分。
そんな物、並大抵の人間が出来る事じゃあない!
最悪の場合、呪詛を掛けた時点で術者が死ぬクラスだぞ!?
「アークィン、君の予想は多分外れているよ。規模はあっても、力の作用次第で代償は調整出来るんだ。例えば〝僅かづつ力を奪う呪い〟とかね」
「ッ!?」
「そゆこーと。この呪いはー力を薄めーてー、少しづつ力を奪ーう。それも、誰にもわからないよーにー、巧妙に隠してーる」
――そうか、規模の希釈化か!
これは弱体魔法などでもよく利用される範囲化技術。
魔力などの媒体を極力減らす為に、効果を薄めて放つという高等技術だ。
それを呪術に応用して村一つ分を呪ったという訳だな!
つまり掛けた相手はこの村の人々を今すぐどうにかしたかったんじゃない。
ジワジワと弱らせていくだけでよかったんだ。
誰もがわからないくらいにゆっくりと。
「このまま呪いが進行したらー近い内に村人みんな死んじゃうー」
「これは不味いな。ひとまずクアリオ達に教えないと」
「そうだね、すぐにでもここを離れないと不味いかも」
「んーん、それもだめー」
「「「えッ!?」」」
しかもこの呪いは既にかなり進行している。
故に、もう生半可な対策では対処しきれないらしい。
フィーの真剣な眼差しがそう物語っていたんだ。
「皆の魂が、呪いと強く結びあーてる。だから離れようとしても離れられないー」
なんて事だ……!
つまり対策するには手遅れって事じゃないか!
このままじゃミラリア達が呪い殺されてしまうぞ!?
――でも待てよ?
それなら何故クアリオは平気なんだ?
アイツは元気そのものじゃないか。
「クアリオが元気な理由もわかるか?」
「それは簡単ー。この土地に依存していないーからー。皆を守る為にがんばてるけどー、心はいつも外にあるーと思うー」
「そうか、クアリオは夢があるもんな。いつか自分の機空船を手に入れるって夢が。その為に頑張ってるから……!」
「おう、そうだぜー。よく知ってんなー?」
「「「ッ!?」」」
なんて話をしていたら想定外の声が背後から。
それで振り向いてみればやはりクアリオの姿があって。
どうやら俺達の行動に気付いて近寄ってきていたらしい。
「一体何をコソコソ話してんだー? ま、まさかアークィンお前、姉ちゃんの事狙ってたりしねーだろうな!?」
「んな訳あるかァ!! って、そんなふざけた事を抜かしている場合じゃない!」
「はい?」
でもまだ事情に気付いてはいない。
恐らく話自体はほとんど聞いてなかったのだろう。
だから俺達はクアリオに全てを語ったんだ。
姉達が決して栄養失調ではなく呪いで弱っているという事を。
死の危機が迫っている事まで、何一つ余さず。
「そ、そんなの嘘だ! だって医者が言ったんだぞ!? 姉ちゃんは美味しい物を食べればすぐ元に戻るってぇ!」
ただやはりすぐに信じられはしないだろうな。
自分達だけの土地がまさか呪われているとは思ってもみないから。
だけどなクアリオ、フィーはこの手の事に詳しいんだ。
恐らく、その医者よりもずっと。
それに、もう証拠は幾つも挙がっているから。
作物が育たないのも、土そのものが弱っているからなんだって。
「でも戻らなかっただろ? 昨日の飯は俺でさえ三日間疲れ知らずになるくらい強力な料理だったんだ。なのに全く効果が出ていない」
「そ、それは……」
それに放って置けばマズいっていうのはクアリオもわかっていたハズだ。
信じたくは無くとも、心のどこかでは不安に思っていて。
本当は何とかしたいと、心のどこかで焦っていたんだよ。
だから必死にお金を稼いで、良い物を食べさせようとしていたんだろ!?
自分の夢もおざなりにして、家族を守る為に全力で頑張っていたんだろ!?
「けどなクアリオ、治せない訳じゃあないんだ。この呪いを今すぐに何とかすればいいだけなんだ!」
「で、出来るのか!? それがアンタ達に出来るのかよ!?」
「ん、できーる。まだどうやるかまではーわからにゃーけど。呪術もー魔法と同じやーよー。使い手どうにかするのー」
「なら、術者を探せば何とかなるって事だな!」
「お、おおっ……! なら頼む、何とかしてくれえッ!! 姉ちゃん達を助けてやってくれよぉ!!」
だけどクアリオじゃあミラリア達を救う事は出来ないかもしれない。
なら俺達が救ってやるんだ。
いや、絶対に救わなければならない。
なにせここまで手の込んだ呪いだからな。
だったらここにあるのは明らかな悪意に他ならない。
その悪意が、希望抱く者を容赦無く絞め殺す処刑場に仕立てたんだ。
俺達がそんな所業を犯した外道どもを許す訳が無いだろうッ!!!
呪術の主よ、すぐに見つけ出してやるぞッ!!
なんたって俺達にはもう、その手段があるんだからな……ッ!!
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