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第三章
第87話 霊峰への挑戦
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【霊峰ングルトンガ】。
これは白空界中央より突き出す様にしてそびえる山の名で。
余りの高さ故に雲さえ抜け、その傾斜もほぼ崖となっている。
更には山頂部が巨大な鉤爪状となっており、遠くから眺めるだけでも圧巻だ。
ただし相応に厳しい環境で、ふもとですらそう簡単には近づけない。
想像を絶する程の極寒世界が待ち構えている為に。
ふもと付近でならまだ動物や魔物がいるだろう。
しかし一度崖を登れば、その先一切の生物が姿を見せなくなるのだ。
余りにも過酷過ぎて如何な生物も生存出来ないのである。
故に、完全踏破した者は歴史上たった二人しかいないという。
一人は冒険家アキーシャ=クェン。
およそ二四〇年前に世界のあらゆるダンジョンを踏破し尽くした伝説の男だ。
あの識園の塔を漁り尽くしたのも彼だそうな。
ただ、この山を登り終えた後に行方不明となったそうだが。
で、二人目が何を隠そう我が父ウーイールー。
およそ四二歳の頃に挑戦し、見事登り切ったそうだ。
詳細は教えてくれなかったけどな。
けれど俺にこう教えてくれたのさ。
〝もし白空界に行く事があるならば霊峰踏破に挑戦してみせよ〟ってね。
力試しをするのにも丁度いいって話だから。
だから五日目の今日、俺は一人で霊峰踏破へと旅立とうとしていた。
もちろん仲間にも反対されたよ。
こればかりは余りにも危険過ぎるってね。
なんたって挑戦者は過去数千人といて、そのほとんどが帰って来なかったから。
生きて帰って来た者も人格が変わるくらいに恐ろしいという話なもので。
けど、それでも俺は彼女達を説得し通した。
こればかりは絶対に譲れないのだとして。
ただ、生きて帰る事も約束したよ。
無理だと感じたら必ず引き返すのだとね。
ま、俺もまだ無駄死にするつもりはないし。
まだこの世界に悪意が蔓延る限りはな。
今回はその為の息抜きみたいなもんさ。
気軽とはいかないが、俺の人生を彩る為の礎の一つとしてやろうってね。
父がそうやって偉業を積み上げたのと同様にして。
「それじゃあ行ってくる。ノオン、テッシャ、帰るまでにその腕輪外しておけよな」
「わかった。じゃあアークィンの帰還とどちらが早いか競争だ」
「テッシャがんばるーっ!」
その為の装備ももうしっかり用意した。
登山装備一式と食料、暖房器具にテントと寝袋、おまけに防寒服とフル装備を。
地元村の人達が応援として用意してくれたんだ。
「アークィン、ほんと無茶だけはするんじゃないよ?」
「ま、いない間の事はオイラに任せときなっ!」
「心配はいらないさ、すぐ帰る。クアリオもクアリオで気を付けろよな」
その想いに応え、俺は村から出発する事にした。
もし踏破成功したら、この村もが歴史に名を刻まれる事となるからな。
それがせめてもの恩返しとなるだろう。
「アークィン。一つだけおしえーる」
「ん? なんだフィー?」
「己の力だけをたよーれ。他に委ねればー命をも持っていかれ~る~」
「……ありがとう。肝に銘じておこう」
そんな村人達を焚き付けたであろうフィーから儀式を受ける。
霊峰へ挑む為の祝福の杖叩きを、頭と肩と太ももにコンコンと。
昔から続く慣習なのだそうな。
その儀式をしっかり身に受け、遂に俺は一人旅立つ。
これだけの人に見送られたから気持ちも足取りも軽い。
お陰で今ならあんな岩山なんて簡単に飛び越えられそうだよ。
ま、今回は気持ちだけじゃどうにもならない相手なんだろうけど。
けれど、なんとしてでもやってやるさ。
父を超える為にも、こんな所で立ち止まっている訳にはいかないからな。
それで村を後にして、およそ半時間ほど歩いた。
天候は深い曇りで、今にも雪が降って来そうな雰囲気だ。
山からも冷たい風が吹き降ろしてきて中々に寒い。
おまけに雪も深いから一歩踏み出すだけでも辛いな。
本当にここを歩いて辿り着くのかっていう不安さえ湧いてくるよ。
なにせ道という道が無くて。
だから雪原の傾斜をまっすぐ進むしか無いんだ。
幸い、目標が常に見えているから迷う事は無いけども。
とはいえ障害はそれだけとは済まなさそうだが。
いざ雪原を見上げると妙な跡があるんだよ。
坂上から下に続く線状の跡がさ。
まるで重い何かが幾つも滑り落ちて来たかの様に。
――あれは恐らく、【ラビリッカー】の滑走痕だな。
【ラビリッカー】とは白空界にのみ生息する魔物の事だ。
元は兎人族と同じ源流を持つ獣人だったそう。
けれど温厚な兎人族と違い、彼等はとても獰猛でイタズラ好きだった。
その所為で決別し、以降は人に迷惑を掛けて回る存在に。
末に知能をも失って、今では魔物として扱われ疎外されているって話さ。
つまりこの辺りは奴等の生息地か。
だとすれば戦闘は避けられないな。
ほら見ろ、早速奴等のお出ましだ。
遥か坂の先を見上げれば沢山の影が。
それも十や二十じゃ利かない程の多数ときた。
クッ、いくら何でも多過ぎだろう。
しかもどうやら俺に気付いたらしい……!
早速と一匹づつ滑走してきたぞッ!!
一列を維持しながらこっちへ向けて一直線に!
負けじとこちらも剣を抜き、応戦の意志を見せつける。
それでも速度を一切緩めない所は魔物らしいよ、全く!
近づいて来た事でその容姿が明らかに。
確かに、言われて見ればどこか兎人族の面影があるな。
全身が白と茶の長毛で覆われていて、赤目はとても鋭い。
頭より大きな耳を掲げている辺り、恐らくは姿勢制御を担っているのだろう。
あと体は細くも腕がやたら長くて太い。兎人版ドワーフって感じか。
その腕をソリに見立てて滑走してくる姿はまるで弾丸だ!
思っていた以上に速いぞ、コイツラッ!?
大量の雪を跳ね上げて遂に俺の目前まで迫って来た!
故に横へと跳ね退ける。
闘氣功で脚力を強化し、大量の荷物ごと空へと高く。
だがこの時、奴等はとんでもない行動を起こしていた。
なんと奴等は先頭の仲間を台にして跳ね、空中で軌道修正していたんだ……!
「「「ギュッギィィィ!!」」」
「うおおおーーーッ!?」
なんなんだこの追尾性能は!?
まさしく雪を走る追跡弾丸じゃないかッ!!!
しかもその数は五匹と多い。
とても剣を振り回して凌げる数じゃない!
だからと先頭を切り払った拍子に剣を投げ捨てて。
そしてそのまま拳打乱撃で迎撃だ。
一、二、三、四、五、まとめて雪原に切り・叩き落として凌ぎきる。
しかしその直後に俺も雪原へと落ち、身体の半分が埋もれる事に。
クッ、雪が想定以上に動き辛いッ!!
それにまだ多数の後続がこっちに向かってくるッ!!
軌道修正したんだ。
俺が動けなくなった所を狙って!
なんて奴等だ!
先頭部隊はこの為に送り込んだって言うのかよッ!?
このままじゃこっちが轢き殺されかねないぞッ!?
全く、なんて所だ霊峰ってのは。
山にすら辿り着くのがここまで困難だとは思っても見なかったよ……!
これは白空界中央より突き出す様にしてそびえる山の名で。
余りの高さ故に雲さえ抜け、その傾斜もほぼ崖となっている。
更には山頂部が巨大な鉤爪状となっており、遠くから眺めるだけでも圧巻だ。
ただし相応に厳しい環境で、ふもとですらそう簡単には近づけない。
想像を絶する程の極寒世界が待ち構えている為に。
ふもと付近でならまだ動物や魔物がいるだろう。
しかし一度崖を登れば、その先一切の生物が姿を見せなくなるのだ。
余りにも過酷過ぎて如何な生物も生存出来ないのである。
故に、完全踏破した者は歴史上たった二人しかいないという。
一人は冒険家アキーシャ=クェン。
およそ二四〇年前に世界のあらゆるダンジョンを踏破し尽くした伝説の男だ。
あの識園の塔を漁り尽くしたのも彼だそうな。
ただ、この山を登り終えた後に行方不明となったそうだが。
で、二人目が何を隠そう我が父ウーイールー。
およそ四二歳の頃に挑戦し、見事登り切ったそうだ。
詳細は教えてくれなかったけどな。
けれど俺にこう教えてくれたのさ。
〝もし白空界に行く事があるならば霊峰踏破に挑戦してみせよ〟ってね。
力試しをするのにも丁度いいって話だから。
だから五日目の今日、俺は一人で霊峰踏破へと旅立とうとしていた。
もちろん仲間にも反対されたよ。
こればかりは余りにも危険過ぎるってね。
なんたって挑戦者は過去数千人といて、そのほとんどが帰って来なかったから。
生きて帰って来た者も人格が変わるくらいに恐ろしいという話なもので。
けど、それでも俺は彼女達を説得し通した。
こればかりは絶対に譲れないのだとして。
ただ、生きて帰る事も約束したよ。
無理だと感じたら必ず引き返すのだとね。
ま、俺もまだ無駄死にするつもりはないし。
まだこの世界に悪意が蔓延る限りはな。
今回はその為の息抜きみたいなもんさ。
気軽とはいかないが、俺の人生を彩る為の礎の一つとしてやろうってね。
父がそうやって偉業を積み上げたのと同様にして。
「それじゃあ行ってくる。ノオン、テッシャ、帰るまでにその腕輪外しておけよな」
「わかった。じゃあアークィンの帰還とどちらが早いか競争だ」
「テッシャがんばるーっ!」
その為の装備ももうしっかり用意した。
登山装備一式と食料、暖房器具にテントと寝袋、おまけに防寒服とフル装備を。
地元村の人達が応援として用意してくれたんだ。
「アークィン、ほんと無茶だけはするんじゃないよ?」
「ま、いない間の事はオイラに任せときなっ!」
「心配はいらないさ、すぐ帰る。クアリオもクアリオで気を付けろよな」
その想いに応え、俺は村から出発する事にした。
もし踏破成功したら、この村もが歴史に名を刻まれる事となるからな。
それがせめてもの恩返しとなるだろう。
「アークィン。一つだけおしえーる」
「ん? なんだフィー?」
「己の力だけをたよーれ。他に委ねればー命をも持っていかれ~る~」
「……ありがとう。肝に銘じておこう」
そんな村人達を焚き付けたであろうフィーから儀式を受ける。
霊峰へ挑む為の祝福の杖叩きを、頭と肩と太ももにコンコンと。
昔から続く慣習なのだそうな。
その儀式をしっかり身に受け、遂に俺は一人旅立つ。
これだけの人に見送られたから気持ちも足取りも軽い。
お陰で今ならあんな岩山なんて簡単に飛び越えられそうだよ。
ま、今回は気持ちだけじゃどうにもならない相手なんだろうけど。
けれど、なんとしてでもやってやるさ。
父を超える為にも、こんな所で立ち止まっている訳にはいかないからな。
それで村を後にして、およそ半時間ほど歩いた。
天候は深い曇りで、今にも雪が降って来そうな雰囲気だ。
山からも冷たい風が吹き降ろしてきて中々に寒い。
おまけに雪も深いから一歩踏み出すだけでも辛いな。
本当にここを歩いて辿り着くのかっていう不安さえ湧いてくるよ。
なにせ道という道が無くて。
だから雪原の傾斜をまっすぐ進むしか無いんだ。
幸い、目標が常に見えているから迷う事は無いけども。
とはいえ障害はそれだけとは済まなさそうだが。
いざ雪原を見上げると妙な跡があるんだよ。
坂上から下に続く線状の跡がさ。
まるで重い何かが幾つも滑り落ちて来たかの様に。
――あれは恐らく、【ラビリッカー】の滑走痕だな。
【ラビリッカー】とは白空界にのみ生息する魔物の事だ。
元は兎人族と同じ源流を持つ獣人だったそう。
けれど温厚な兎人族と違い、彼等はとても獰猛でイタズラ好きだった。
その所為で決別し、以降は人に迷惑を掛けて回る存在に。
末に知能をも失って、今では魔物として扱われ疎外されているって話さ。
つまりこの辺りは奴等の生息地か。
だとすれば戦闘は避けられないな。
ほら見ろ、早速奴等のお出ましだ。
遥か坂の先を見上げれば沢山の影が。
それも十や二十じゃ利かない程の多数ときた。
クッ、いくら何でも多過ぎだろう。
しかもどうやら俺に気付いたらしい……!
早速と一匹づつ滑走してきたぞッ!!
一列を維持しながらこっちへ向けて一直線に!
負けじとこちらも剣を抜き、応戦の意志を見せつける。
それでも速度を一切緩めない所は魔物らしいよ、全く!
近づいて来た事でその容姿が明らかに。
確かに、言われて見ればどこか兎人族の面影があるな。
全身が白と茶の長毛で覆われていて、赤目はとても鋭い。
頭より大きな耳を掲げている辺り、恐らくは姿勢制御を担っているのだろう。
あと体は細くも腕がやたら長くて太い。兎人版ドワーフって感じか。
その腕をソリに見立てて滑走してくる姿はまるで弾丸だ!
思っていた以上に速いぞ、コイツラッ!?
大量の雪を跳ね上げて遂に俺の目前まで迫って来た!
故に横へと跳ね退ける。
闘氣功で脚力を強化し、大量の荷物ごと空へと高く。
だがこの時、奴等はとんでもない行動を起こしていた。
なんと奴等は先頭の仲間を台にして跳ね、空中で軌道修正していたんだ……!
「「「ギュッギィィィ!!」」」
「うおおおーーーッ!?」
なんなんだこの追尾性能は!?
まさしく雪を走る追跡弾丸じゃないかッ!!!
しかもその数は五匹と多い。
とても剣を振り回して凌げる数じゃない!
だからと先頭を切り払った拍子に剣を投げ捨てて。
そしてそのまま拳打乱撃で迎撃だ。
一、二、三、四、五、まとめて雪原に切り・叩き落として凌ぎきる。
しかしその直後に俺も雪原へと落ち、身体の半分が埋もれる事に。
クッ、雪が想定以上に動き辛いッ!!
それにまだ多数の後続がこっちに向かってくるッ!!
軌道修正したんだ。
俺が動けなくなった所を狙って!
なんて奴等だ!
先頭部隊はこの為に送り込んだって言うのかよッ!?
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