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第三章
第105話 世界を救う為に発つ
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白空界に訪れて二〇日が経った。
しかしこの日、俺達はもうこの大陸を発とうとしている。
まだ一ヵ月には少し早いが、出来るだけ急ごうと思ってな。
神より託された使命を果たす為にも。
ただ、その準備は村に帰った時から行っていて。
資金には糸目を付けず、用意出来るものを片っ端から揃えてある。
お金が無かったんじゃないかって?
いや、実はそんな事無かったのさ。
というのも、クアリオがちゃっかりやってくれていたからな。
緑空界での戦いの時、俺達は四体のメタルゴーレムを倒した訳だが。
実はその拍子に落ちた破片をアイツが知らぬ間にくすねていたんだ。
しかもその後がまた凄い。
クアリオの奴、こっそりその破片を加工して魔導具に造り換えててさ。
それを村人Aさんに託して売ったらどうなったと思う?
なんと安い機空船なら買える程の儲けになったんだよ。
正直驚いたね。
これで相場の半額だって言うんだから。
足が付かない様にと中古の叩き値で売った結果がこれだ。
まぁそれをしっかり売って帰ってきた村人Aさんも凄いんだが。
という事もあって資材は全部彼に調達してもらった。
旅費とマージンをたっぷり渡した上でしっかりとな。
おまけに【ラビリッカー】達へのお土産も付けてもらって。
それでようやく今、準備が完了した。
村人達とも別れの挨拶を交わし、もう思い残す事は無い。
後はもう飛び立つだけだ。
そう思っていたんだけどな。
「ニペル、その大荷物は何なんだ? 見送りにしては随分と重々しいんだが」
「何と言われましても、乙女には旅の衣服が多く必要となるでしょう?」
「待って。付いてくる気なの?」
「フフッ、〝ルルル~♪ どうせ最期なのでぇ~主様よりお許しを頂きましたぁ~~~♪ 初めてのォ~外の世界~たぁのしみねぇ~~~♪〟」
ニペルが仲間になりたそうにこちらを見ている。歌って踊りながら。
これはあざといにも程があり過ぎるだろう。
クソッ、下手に神の前で友宣言しちゃったから断るにも断れん。
それに仲間達を見れば皆ニッコニコじゃないか。
やめろ、まるで俺の気持ちをわかってるみたいにサムズアップするな。
むしろ俺は先日の騒動が割とトラウマになったから嫌なんだ。
なのにそう簡単と受け入れられる訳が無いだろう。
まぁあの出来事は一切伝えてないからね、仕方ないね!
こうして仲間達の無垢な許可もあってニペルが仲間に。
ただし荷物の九割は置いていくと約束した上で。
いや、だって荷物だけで船底室が埋まるくらいの規模だよ?
「アークィンさんは鬼なのですか? コレクションの大半を棄てろだなんて」
「一体何をしたらあれだけ服が集まるんだ。それと積載量くらい考えてくれ。機空船にも重量制限があるんだから」
「では装甲の一つや二つ剥がせば済むのでは」
「ならその装甲代わりにお前のコレクションを壁面へ貼り付けるとしよう」
「あら、ではアークィンさんの新しいズボンも一緒にいかが?」
それで解決したと思いきや。
船内へ入った途端にこの応酬劇だ。
確かに似た者同士という実感はあったけれども。
しかしまさかこれ程の負けず嫌いとはな。
全く、この先が思いやられるよ。
「まぁまぁ二人とも、それくらいにしておこうか。さて次の目的地だけど、ひとまず【オーバーマウンテン】に向かうって事でいいかな?」
「異議なーしー」
「ま、そこしか選択肢が無いんだけどねぇ」
とはいえ彼女はこんな行先を決める話には入って来ないが。
外界を知らないからな、その辺りはお任せというスタンスなのだろう。
深く考えない、というのもあるのだろうが。
ちなみにこれから向かおうとしているのは黄空界。
その大陸に唯一、陽珠へと辿り着ける可能性があってね。
それというのも、陽珠にはただ飛んだだけでは辿り着けないから。
【陽珠領域】に阻まれてとても近づけないのさ。
【陽珠領域】とは陽珠と大陸の間に存在する層を指す。
急激な気圧差によって出来る強風の層で、一種の壁の様なものだ。
それも人など一瞬でミンチにしてしまう威力を誇るほどの。
お陰で機空船であろうとも軽く木っ端微塵にされてしまう。
突破出来るのは精々、国家所有の巨大機空船だけだ。
皇位継承などで赴く時に乗る船だな。
けど当然、一般人の俺達にそんな物へ乗る資格なんて無い。
恩を売った紫空界か赤空界なら多少はチャンスもあるかもしれないが。
それでも緑空界でやらかした俺達を簡単に乗せてくれるとは思えない。
【訪陽日】でも無いしな。
だとすれば俺達は自力で陽珠へと向かわねばならない。
そこで黄空界にある【オーバーマウンテン】へと目星を付けた。
【オーバーマウンテン】とは世界で唯一【陽珠領域】を越えた山の事。
切り立った山がしっかりと芯を保ち、今なお領域に穴を開け続けているんだ。
つまりその山沿いに進めば強風圏を無事に越える事が出来る。
普通の機空船であろうとも陽珠へと辿り着けるのさ。
まぁもちろんタダで通れる訳じゃないけれど。
だからまずはそこを通る為の方法を求めて黄空界へ行く。
後は現地で情報を集め、正式に通る為に一働きすればいい。
行き当たりばったりだが、今の所はこれしか方法が無いからな。
それに、行き当たりばったりなら銀麗騎志団の本領さ。
今の勢いで進めば何かしら道は開けるハズだ。
その為の実績を世界中で積み上げてきたからこそ。
「よぉし、話は付いたな? じゃあそろそろ出発するぜーっ!」
「「「オッケェーイ↑!」」」
「あら、こういう時は一緒に言った方が良かったかしらオッケェ~~~イ♪」
「ハッハー! それでもアークィンよりはノリがいいね!」
「俺を比較対象にするんじゃあない」
その自信を胸に、俺達は遂に空へと飛び立った。
今日までお世話になった村人達に手を振りながら。
彼等の優しさはきっと忘れない事だろう。
――いや、この大陸で体験した事全てを俺は絶対に忘れない。
仲間達との思い出も、山登りで得た経験も。
全てが皆の成長に繋がる事だらけだったから。
だからこそ全力で応えよう。
この大陸との別れに、そしてこれからの旅路に。
村人達の親切心と、【ラビリッカー】達の犠牲に報いる為にも。
俺達は必ずやり遂げるよ。
貴方達の未来を繋げる為に、この世界を絶対に救ってみせるから。
しかしこの日、俺達はもうこの大陸を発とうとしている。
まだ一ヵ月には少し早いが、出来るだけ急ごうと思ってな。
神より託された使命を果たす為にも。
ただ、その準備は村に帰った時から行っていて。
資金には糸目を付けず、用意出来るものを片っ端から揃えてある。
お金が無かったんじゃないかって?
いや、実はそんな事無かったのさ。
というのも、クアリオがちゃっかりやってくれていたからな。
緑空界での戦いの時、俺達は四体のメタルゴーレムを倒した訳だが。
実はその拍子に落ちた破片をアイツが知らぬ間にくすねていたんだ。
しかもその後がまた凄い。
クアリオの奴、こっそりその破片を加工して魔導具に造り換えててさ。
それを村人Aさんに託して売ったらどうなったと思う?
なんと安い機空船なら買える程の儲けになったんだよ。
正直驚いたね。
これで相場の半額だって言うんだから。
足が付かない様にと中古の叩き値で売った結果がこれだ。
まぁそれをしっかり売って帰ってきた村人Aさんも凄いんだが。
という事もあって資材は全部彼に調達してもらった。
旅費とマージンをたっぷり渡した上でしっかりとな。
おまけに【ラビリッカー】達へのお土産も付けてもらって。
それでようやく今、準備が完了した。
村人達とも別れの挨拶を交わし、もう思い残す事は無い。
後はもう飛び立つだけだ。
そう思っていたんだけどな。
「ニペル、その大荷物は何なんだ? 見送りにしては随分と重々しいんだが」
「何と言われましても、乙女には旅の衣服が多く必要となるでしょう?」
「待って。付いてくる気なの?」
「フフッ、〝ルルル~♪ どうせ最期なのでぇ~主様よりお許しを頂きましたぁ~~~♪ 初めてのォ~外の世界~たぁのしみねぇ~~~♪〟」
ニペルが仲間になりたそうにこちらを見ている。歌って踊りながら。
これはあざといにも程があり過ぎるだろう。
クソッ、下手に神の前で友宣言しちゃったから断るにも断れん。
それに仲間達を見れば皆ニッコニコじゃないか。
やめろ、まるで俺の気持ちをわかってるみたいにサムズアップするな。
むしろ俺は先日の騒動が割とトラウマになったから嫌なんだ。
なのにそう簡単と受け入れられる訳が無いだろう。
まぁあの出来事は一切伝えてないからね、仕方ないね!
こうして仲間達の無垢な許可もあってニペルが仲間に。
ただし荷物の九割は置いていくと約束した上で。
いや、だって荷物だけで船底室が埋まるくらいの規模だよ?
「アークィンさんは鬼なのですか? コレクションの大半を棄てろだなんて」
「一体何をしたらあれだけ服が集まるんだ。それと積載量くらい考えてくれ。機空船にも重量制限があるんだから」
「では装甲の一つや二つ剥がせば済むのでは」
「ならその装甲代わりにお前のコレクションを壁面へ貼り付けるとしよう」
「あら、ではアークィンさんの新しいズボンも一緒にいかが?」
それで解決したと思いきや。
船内へ入った途端にこの応酬劇だ。
確かに似た者同士という実感はあったけれども。
しかしまさかこれ程の負けず嫌いとはな。
全く、この先が思いやられるよ。
「まぁまぁ二人とも、それくらいにしておこうか。さて次の目的地だけど、ひとまず【オーバーマウンテン】に向かうって事でいいかな?」
「異議なーしー」
「ま、そこしか選択肢が無いんだけどねぇ」
とはいえ彼女はこんな行先を決める話には入って来ないが。
外界を知らないからな、その辺りはお任せというスタンスなのだろう。
深く考えない、というのもあるのだろうが。
ちなみにこれから向かおうとしているのは黄空界。
その大陸に唯一、陽珠へと辿り着ける可能性があってね。
それというのも、陽珠にはただ飛んだだけでは辿り着けないから。
【陽珠領域】に阻まれてとても近づけないのさ。
【陽珠領域】とは陽珠と大陸の間に存在する層を指す。
急激な気圧差によって出来る強風の層で、一種の壁の様なものだ。
それも人など一瞬でミンチにしてしまう威力を誇るほどの。
お陰で機空船であろうとも軽く木っ端微塵にされてしまう。
突破出来るのは精々、国家所有の巨大機空船だけだ。
皇位継承などで赴く時に乗る船だな。
けど当然、一般人の俺達にそんな物へ乗る資格なんて無い。
恩を売った紫空界か赤空界なら多少はチャンスもあるかもしれないが。
それでも緑空界でやらかした俺達を簡単に乗せてくれるとは思えない。
【訪陽日】でも無いしな。
だとすれば俺達は自力で陽珠へと向かわねばならない。
そこで黄空界にある【オーバーマウンテン】へと目星を付けた。
【オーバーマウンテン】とは世界で唯一【陽珠領域】を越えた山の事。
切り立った山がしっかりと芯を保ち、今なお領域に穴を開け続けているんだ。
つまりその山沿いに進めば強風圏を無事に越える事が出来る。
普通の機空船であろうとも陽珠へと辿り着けるのさ。
まぁもちろんタダで通れる訳じゃないけれど。
だからまずはそこを通る為の方法を求めて黄空界へ行く。
後は現地で情報を集め、正式に通る為に一働きすればいい。
行き当たりばったりだが、今の所はこれしか方法が無いからな。
それに、行き当たりばったりなら銀麗騎志団の本領さ。
今の勢いで進めば何かしら道は開けるハズだ。
その為の実績を世界中で積み上げてきたからこそ。
「よぉし、話は付いたな? じゃあそろそろ出発するぜーっ!」
「「「オッケェーイ↑!」」」
「あら、こういう時は一緒に言った方が良かったかしらオッケェ~~~イ♪」
「ハッハー! それでもアークィンよりはノリがいいね!」
「俺を比較対象にするんじゃあない」
その自信を胸に、俺達は遂に空へと飛び立った。
今日までお世話になった村人達に手を振りながら。
彼等の優しさはきっと忘れない事だろう。
――いや、この大陸で体験した事全てを俺は絶対に忘れない。
仲間達との思い出も、山登りで得た経験も。
全てが皆の成長に繋がる事だらけだったから。
だからこそ全力で応えよう。
この大陸との別れに、そしてこれからの旅路に。
村人達の親切心と、【ラビリッカー】達の犠牲に報いる為にも。
俺達は必ずやり遂げるよ。
貴方達の未来を繋げる為に、この世界を絶対に救ってみせるから。
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