強くて転生わからせ魔戦王!~最強魔力を得た私は最年少で女帝を目指す。もう大人?いいえ三歳児です。ざぁこな大人どもを逆に蹴散らし屈服無双!

日奈 うさぎ

文字の大きさ
14 / 45

第14話 私はお前が欲しい

しおりを挟む
「僕は君と、戦いたい。いい、でしょ?」

 エルエイスが私の用意した魔導人形を四体破壊して見せた。
 しかもそれだけに飽き足らず、今度は私に対して戦いを挑んで来たのだ。

「あの人形、すごかった。なら、あれを造れる君は、もっとすごい、でしょ?」
「いやしかしな、あれを造ったのがミルカ殿という訳では――」
「いいですよ。その願い、受けましょう」
「なっ!?」

 その類稀なる戦闘能力。
 高位魔術をも扱える才能。
 貪欲なまでの戦いへの渇望。

 それはもはや、常人では理解出来ない領域。

「私ももう、うずいてしまいましたわ。なんだかわかりませんが、こう頬や胸が熱くなってぇ、今すぐすべてを晒け出してしまいたい――そう思えてしまうくらいに……ッ!」
「わかるよ、僕もそう。君と戦える事が、すごく興奮する。身体が、たかぶるんだ」
「ミ、ミルカ殿……!? エ、エルエイスまで!?」

 最高だ。
 完璧だ。
 私はこの男が欲しい!

 この男は私が心より求めていた存在だ。
 魔導人形よりも、後見人よりも、後々の計画よりも。
 後から補填の利く物などよりも何よりも、今すぐコイツがただ欲しい……ッ!

 私に並ぶ強者を育てる――それが魔導王だった時の願望だったからこそ。

 コイツの素質は本物だ。
 まだまだ未熟で粗削りだが、潜在能力ポテンシャルは存分に高い。
 磨けばいくらでも輝き、その際限はもはや未知数!

 ならば私自身が鍛えれば絶対に今の何倍も強くなれるだろう。
 力も技術も精神も、知識も知恵も才能さえも限界を超えて。
 果てには寿命さえ超越し、常識を打ち破る存在にさえなれる。

 そう、この、魔戦王デュランドゥのように。

 そこに至ったならば、共に高め合うのだ。
 その力が極限の更にその先へ到達し、また超えるまで。
 終わりなき成長と、果ての真なる究極を探求し続けよう。



 そして俺が、貴様を喰らってやろう……!



 俺はずっと、そのような相手を求めてきた。
 人を救い、世界を守り、最悪の破界神さえも討ち滅ぼしながら。
 目的を果たす為に力を欲し、その際限ない能力の限界を求め続けたのだ。

 だが気付けば、俺のように強い者は一人もいなくなった。

 狩り尽くしたのもあるだろう。
 しかしそれと同時に、強くなろうという者がいなくなってしまったのも大きい。
 世界が「魔戦王に任せればどうにでもなる」と安心しきってしまったがゆえに。

 俺はそうして自分のやり方が間違っていたのだと気付いた。
 狩るだけでは駄目で、育てなければならないのだと。

 だから俺は人生をやり直した際に決めたのだ。
 逸材を見つけたならば育てると。
 何が何でも鍛え上げ、俺の夢を成就させるのだと。

 その機会がこうも早々とやって来るとは思ってもみなかった。

 ならばやり合おうか。
 その上で生かし、お前に心から思い知らせやろう。
 その才能はまだまだずっと先へと伸ばし続けられるという事を……!

 俺が!
 この力で!
 お前を!
 徹底的にィ!
 愛してやるぞおッッッ!!!!!

 だが今、そのエルエイスはというと私に土下座してた。
 
 なぜかはわからない。
 おそらくラギュース達も。
 ただエルエイスは全力で伏せきっていて。

「すんまっせェェェーーーん!!! イキっちゃってホントすんまっせェェェーーーん!!!!!」

 この通り、もう完全に怯え尽くしていた。

 しかもかなり震えてる。
 座ってるのに膝がガクガクし過ぎて土面が削れているよ。
 なんか額も打ち付け過ぎて、どんどん土の中に埋まっていってるんだけど。

「許して下さぁいホントマジで! 僕もう二度とイキりませんからァーーー!!!」
「「「エ、エルエェーイスッ!!!??」」」

 このままだと地面に埋まって自ら埋葬されそうな雰囲気だ。
 これには私もさすがに唖然とせざるを得ない。

 でも、なんとなく原因はわかってしまった。
 ふと自分の足元の変化に気付いた事で。

 足元に生えていた草が炭化していたのだ。
 おそらく、私の膨大な魔力を受けて生命力が蒸発したんだと思う。
 それでようやく悟ってしまった。「ああ、そういう事ね……」って。

 私はきっと、興奮のあまり潜在的な魔力波動を解き放ってしまっていたのだ。
 叔母上を屈服させた時と同じ、いやそれ以上の魔力量で。

 この手段は相手が魔力を使えないと効かない。
 なのでラギュース達は気付いていないのだろう。

 けどエルエイスは違う。
 才能があるゆえに影響をダイレクトに受けてしまったのだ。
 で、潜在能力が高過ぎるから効果もすさまじかったと。

「あのね、ちょっとだけでもいいの。あそぼ?」
「無ゥ理無理無理無理無理無理ィィィ~~~!!!」
「えぇ~~~……」

 こうなっては時すでに遅し。
 魂が委縮しきってしまって、才能さんが自ら蓋をしてしまった。
 おめでとうエルエイス君。無事、凡人の仲間入りです。

 不本意だけど、屈服わからせ・完了?

 えぇ、まぁた盛大にしくじりましたとも。
 ひさしぶりに興奮し過ぎてやっちゃいました、テヘペロ☆

 こうなったら何かきっかけが無い限り、元には戻らないだろう。
 戻し方までは私もさすがにわからない。
 詰みですね。新しい子を探した方が早そう。

 なので現実に戻り、ひとまずラギュースに微笑んで頷いてみせる。

「……じゃあとりあえず全員クビって事で」
「そんな、あっさりし過ぎではないかい?」
「うんまぁ。でもちょっと拍子抜けだったので、もういっかなーって」
「投げやりにならんといて!」
「この失われた純情と情熱を返してくれるなら」
「なら今夜、どう?」
「「「閣下ァァァ~~~!!!!!」」」

 でも結局これ以上の成果は得られそうになかったのでもう諦める事にした。
 隊長五人は全員戦闘不能と、一応は私の勝利という事になったし。

 この不完全燃焼感だけはどうにも納得いかないけどね。



 ――という訳で、私の提案が領主承諾の下で行われる事となった。

 ただし総員クビとは言ったが解雇という訳では無い。
 魔導人形の運用者としてこれからも働いてもらうつもりだ。
 戦うのは壊れてもかまわない魔導人形だけでいいからな。

 今はその魔導人形も少ないが、どんどんと量産して対応していく予定だ。
 ゆくゆくは国を守れるくらいにまで戦力増強させたいものだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...