強くて転生わからせ魔戦王!~最強魔力を得た私は最年少で女帝を目指す。もう大人?いいえ三歳児です。ざぁこな大人どもを逆に蹴散らし屈服無双!

日奈 うさぎ

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第38話 女王らしい事はしておかないとね

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「ようこそおいでくださいましたミルカ様。ではまず城へ御案内いたします。そこで多くの者達が貴女様をお待ちですよ」

 王都へ着いて早々、私はトゥルディーヨの歓迎を受けた。
 街中が復興に賑わっている中で。

 それで案内されたのはこの間の戦場、元国王が壊し尽くした城跡だった。

 確かに庭園は戦時の時と比べて随分と綺麗になっている。
 ガレキや矢なども取り除かれたし、草花もしっかり息を吹き返しているし。
 けど城らしいものなんて崩れた跡くらいしか見えやしない。

「待って。今さっき、城って言ってたけど壊されたんじゃ」
「ええ、ですので皆で協力して立て直したのです。どうぞご覧ください、あれが我々の努力の結晶、その名もミルカ城です!」

 しかしトゥルディーヨはそんな中へと私を誘い、そして自信満々に指し示したのだ。
 私達が国を運営するためにと造り上げられた新拠点を。

 木の板で構築された、ボロいほったて小屋を……!

「んなーーーっ!!?」
「いかがですかミルカ様? あれが皆の努力の結晶です! あいにく大工が皆市民街の整備で手一杯だったため、貴族組で力を合わせて造り上げました!」
「あれが……私の城……ガクッ」

 そのあまりの悲惨な造りを目の当たりにして、うっかり膝から崩れ落ちてしまった。
 本当に木の板を貼っただけみたいな造り出し、既にもう崩れそうだし!
 これなら私の実家の方がずーっと豪華だし広いしィ!

 そうこうしていると、小屋の中から大勢の貴族達が出てきて私へと敬礼する。
 待って貴方達、そんな人数がどうやってこの小さな小屋に入っていたの!?
 というかこんな小屋じゃなくてアンタ達の家をどこか貸せばいいでしょ!?

 しかも全員無駄に爽やかでにこやかって!?
 やめてその純粋な笑顔! やりきってもう満足みたいな!
 そんなピュアッピュアだと城の出来をもうツッコめないじゃないーーー!!!

 貴族達の気持ちは嬉しいけどォォォ!!!

 ……もし次の魔導人形を開発するなら大工仕様を作るわ。
 これはもう決定事項よ。

「ミルカ様、あまりにも喜ばしい気持ちはわかりますが今はどうかこらえてください。まずは皆の意志をまとめ、救世に挑む為の決意を表明していただきたいのです」
「そ、そうね……ま、まぁいいわ」

 ただ今は魔導人形を開発している暇も無い。
 少しでも早く事を進め、できるだけ多くの人を救わなければならないのだから。

 その枠組みに組み込まれた以上、多少は私情を捨てないといけない。

 ゆえに立ち上がり、皆を流すように見つめる。
 それで、ここまでにずっと考えていた言葉をようやくこの口から解き放った。

「ならこうしてもう集まっているのだし、皆様の心も決まっている事でしょう。ですから小難しい事をベラベラと並べるつもりはありません」
「「「陛下……」」」
「ただこうして私を担ぎ上げた以上、皆様には全力を尽くしてもらいます。その責任は貴方達が知る以上に重いという事を理解しなさい」

 私は確かに強いし賢いし可愛いが、政治にそれほど詳しい訳では無い。
 それはデュランドゥも同じだし、彼と同じで前線で暴れる方が性に合っている。

 だから私にできるのは、彼等を物理的に引っ張っていく事だけ。
 矢面に立って暗闇に突き進んで、灯台のごとく道を差し示すの。
 それはどんな魔導人形にもできない大切な役目だから。

 でも彼等は私の事を知らなさすぎる。
 そんな謎の人物を信頼しろなんてとても無理な話だ。

 だから彼等には知ってもらわなければならない。
 そんな大切な役目をどんな人物が担う事になるのかを。

 その上で信頼してもらわねば、救世なんて夢のまた夢なのだから。

「いいですか、皆様はたかが三歳児であるこの私に頼りました。その事実がどういう事かわかりますか?」
「えっ?」「三歳児……?」「何を言って……」
「ミルカ殿、何を馬鹿な冗談を――」
「いいえ冗談ではありません。私はもう間も無く四歳となる幼児です。ちゃんと出生記録もありますし、シルス村の者に確認すればすぐにわかるでしょう」
「「「え、ええーーーっっっ!!!??」」」

 そこでいっそ、と私の年齢を明かす。
 きっと彼等にとっては寝耳にウォータースプラッシュでしょうね。
 だって大の大人が、たかが三歳児に頼るなんて冗談にもならないもの。

「ですが皆様にはその三歳児に心から従ってもらいます。そのくだらない恥や誇りさえも棄てられなければ、世界を救うなどという偉業なんて到底はたせる訳がありませんから」

 だけどそれでも付いてこられないならば、彼等の覚悟などその程度。
 いずれ近い内に志をへし折られて土に還るだけよ。

 私が欲しいのは、どんな境遇にも負けない強い意志。
 力よりも知恵よりも何よりも、その意志がなければ人は強くなれないと知っているからね。

 それゆえに目標は、この場にいる全員を最後まで前線に立ち続けさせる事。
 誰一人として後ろでふんぞり返らせるつもりなんて無いわ。

「ですが従わせる以上、私は貴方達を引っ張っていく。最後の最後まで、先々代の王が納得できるほどに貴方達を強く鍛えながら。そのためにも――」

 彼等には強くなってもらわなければならないの。
 私に頼るだけでなく、私に付いてこられる強さを得て世界を救って欲しい。
 そうすれば誰かにすがる必要はなくなるのだから。

 象徴は一人である必要なんてないんだ。

「魔物は容赦なく撃滅! どのような者でも人命は救助! 国を越え、歴史としがらみを越え、私達は同胞を救います! そして世界を再び人類の手に取り戻しましょう! そのためにも、まずは貴方達の力を存分に奮いなさいッ!!!」
「「「うおおおーーーーーーッッッ!!!!!」」」

 その想いが届いたのか、貴族達は皆荒々しく咆え上げていた。
 あのトゥルディーヨやラギュースでさえ例外なく、ただただ感情のままに。

 きっと彼等は今まで思いもしなかっただろう。
 まさかこうして三歳児の少女と共に前線に立つ事になるなんて。

 けどその常識外れな事実があるからこそ、吹っ切れられたというのもあるかもしれない。

 おかげで皆、この演説直後の目の輝きは本物になっていた。
 本気で世界を救う為に立ち上がろうと思ってくれていたんだ。

 なら私はその想いに応えよう。
 最後の最後まで戦い抜いて、彼等を英雄へと押し上げるその日まで。
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