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カレーライス

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塾の教室は、学校の教室より少し小さい。
席に着くと、少しお腹が張って苦しい。
夕飯食べすぎた。
お母さんのカレー美味しいんだもん。
朝から仕込んだ牛肉が柔らかくて、噛めば肉の旨みとカレーの味の快楽ダブルパンチだ。
いつまででも噛んでいたいのに、柔らかくてあっさり喉を通過してしまう。
そして我が家では、カレーにお味噌汁がつく。
お母さん曰く、カレーに合うおかずが見つからないから迷走中、せめて味噌汁なのだそうだ。
ほうれん草と味噌汁にそのまま落とした卵の味噌汁。
卵を入れた味噌汁大好き。
食べ過ぎで苦しくなるなんてなんて贅沢なんだろう。
前世とは大違い。
村に魔物が出没し始めて、勇者がやってきた。
勇者一行が魔物の討伐にかかった時間は、下調べ含めて1週間。
村に滞在したのは6日間だった。
確かに魔物は討伐されたのだけど。
村も滅びた。
勇者一行を雇うのは国だから、それは良かったのだけど。
お世話は村がしなくてはならなかった。
勇者一行は、よく食べよく飲んだ。
村の状況を知らなかったのだと思う。
そのおかわりの一皿を出すために、村中から食料をかき集めていたことを。
戦ってお腹が空いていたのだから。
命懸けで戦ってくれたのだから、食事くらい風呂くらい、提供されて当たり前、なんだと思う。
それでも、勇者一行が次の目的地に去っていった後、村には食料も薪も残っていなかった。
決断力と体力のある一部の村人は早々に村を離れ、私を含めて残った者は1人また1人と次の収穫まで保たずに餓死していった。
誰かが悪いわけでもない。
勇者も村人も。
ただ相性が決定的に悪かった。
それだけ。
今はそう思える。
今は、だ。
満腹だし、幸せだ。
食べ物のことだけじゃない。
前は受けられなかった教育も受けられている。
暖かい布団もあるし、隙間風の入らない家に住んでいる。
この幸せを無くしたくない。

だから私は絶対勇者達には関わらない。
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みんなの感想(1件)

ねねね
2023.10.28 ねねね

このお話大好きで何度も読み返してます。

小さい時はひもじくて、お金を稼げるようになったら、食べてるか食べ物のことばかり考えてたのを思い出しました。

まだ名前の知らない彼女が幸せそうで嬉しいです。

いつか続きを読みたいです。

解除
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