断罪された悪役令嬢はそれでも自分勝手に生きていきたい

たかはし はしたか

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番外編  ジョシュアの場合 前編

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えへ、断罪されちゃった。
我、この国の第一王子にして王太子ジョシュア。
さっきまでは。





あんな奴が兄だなんて、半分とはいえ血が繋がっているなんて、屈辱でしかない。
ユージーンはずっと耐えてきた。
ユージーンは王妃の第一子である。
ただし、ほんの三日早く生まれた兄がいた。
兄などと思いたくはない。
父王が母である王妃の妊娠中に手につけた侍女が、早産で産んだ子供が兄だった。
早産で生まれたために、結果として王の、そしてこの国の第一王子となった兄ジョシュア。
予定日よりも3月も早く生まれたから、どうせ上手く育つまいと王妃も相手にせず捨て置かれたが、予想に反して無事に成人したのだ。
この国の王位はまず第一子に相続権がある。
王妃の子として、父について帝王学を学ぼうと希望した6歳のユージーンに、兄がいると教えたのは同席していた宰相だった。
今でも覚えている。
その時宰相は、兄が学ぶのに同席したらいいと言ったのだ。
それを聞いた母王妃は激怒した。
あんなものを兄と呼ぶ必要はないと、母は言った。
母にとっては他人でも、ユージーンにとっては間違いなく兄弟である。
周りの側近の子息たちを見て、ひそかに、兄という存在に憧れていたこともあった。
だが、会ってみた兄ジョシュアはりがりに痩せていて目ばかり大きくて、背は自分より頭ひとつ低く、歩く姿はよろよろとしていた。
兄さんと呼ぼうとした言葉を飲み込んだ。
ジョシュアは異様だった。
いつも母親の侍女について回る。
声を聞いたものはいなかった。
帝王学の一環として講義を受けるときも、一言も話さないだけでなく、母親が同席しなくては絶対に出席しなかった。
そして、誰にも頭を下げなかった。
いくら王妃が言っても、後ろで母親である侍女が頭を下げていても。
そればかりか、周りのものを不快にさせる行動ばかりとる。
例えば、わざとお茶を溢したり、お菓子をメイドに投げつけたり。
言葉はなくとも周りにあたるのだ。
奇声を発して、窓から飛び出して行ったり。
頭が悪いわけではなく、教師に与えられた課題はこなしていた。
大きな目で、いつも周りを睨みつけていた。
侍女であった母親が亡くなってもそれは変わらなかった。
ユージーンは、まともにジョシュアと話した覚えがない。
母の王妃はジョシュアをいないものと扱い、そのうちユージーンもそれに倣った。
話こともない兄に、親しみを持てという方が難しい。
この国では、地位の高いものがまず話しかける。
一度も話しかけてくれない兄と、どう付き合っていけばいいのか、わからなかった。
そんなジョシュアも15となり、王侯貴族として夜会に出るようになった頃、婚約した。
もちろんユージーンも。
ジョシュアは先先代の王の姉を祖母にもつ名門公爵令嬢マリーと、ユージーンは隣国の王女アメリアと。
そして婚約と同時にジョシュア 王太子となり、王宮を出た。
通常王太子は王侯貴族の学園には通わない。
側近は決まっているし、権威を高めるためにもあまり同年代のものと親しく交わらないのが常だった。
だがジョシュアは学園に通っただけではなく、寄宿舎に入った。
異例のことだった。
本来学園に通う立場のユージーンは王宮に残された。
表向き、ジョシュアには側近も後ろ盾もないから同年代の貴族と繋がりを持ちにいくと言われた。
だが、誰もがジョシュアが王位継承権を放棄したと考えた。

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