断罪された悪役令嬢はそれでも自分勝手に生きていきたい

たかはし はしたか

文字の大きさ
30 / 52

サーラの場合 後編

しおりを挟む
我が国は、実力主義を掲げている。
功績があれば平民から一代で貴族になれるし、逆もある。
それは我が国の置かれた環境によるものである。
めぼしい資源も産業もない国。
鉱山も海もない。
あるのは険しい山と寒暖の激しい気候。
民の多くが国外に出稼ぎに出る。
優秀なものだけが国に残れる。
それゆえに、昔から家柄よりも実力がものをいう土地柄だった。
貴族も平民も教育熱心で、競い合う。
競うこと、争うことが是とされるのが我が国である。
それは王太子の妃の座を巡っても。

公爵令嬢のリーラと私は従兄弟同士ということもあり、生まれた時からライバルだった。
そこに中等学校から伯爵令嬢のライラが加わった。
そして最後の高等学校。
伝統的に王太子は高等学校の卒業式後のパーティーで婚約者と踊る。
それがそのまま婚約者のお披露目となる。
私とリーラ、ライラは競い合った。
王太子の妃になる条件は一つだけ。
強きものであること。
かつては、戦場を国王とともに駆けて平民から妃になった方がいた。
かつては疫病のなか民を支えた妃がいた。
ここ100年ほど国は安定していた。
今の主戦場は、学校である。 
皮肉なことに、競って子供に教育をつけていたら、いつのまにかそれが産業になった。
レベルの高い学校への進学、優秀な教師の獲得を競った。
結果、研究施設の充実され、それまでなかった新しい発明や発見、学問分野の広がりが起きた。
そして、諸外国から我が国へ子息子女を留学させるのがステイタスになった。
私もリーラもライラも、己を磨き優秀な成績をとり王太子の妃となるべくしのぎを削った。
そこに現れたのがマリーだった。
平民のマリーは、平民でありながら最高学府に来られるほどに賢いにもかかわらず、女を武器とした。
ただただ恋に落ちたということだけを武器に私たちの前に立ち塞がったのだ。
そんな彼女が評価されるわけありません。
気に食わなかった者は多い。
いつの頃からか、マリーはいじめられるようになった。
そしてそれがますます彼女を王太子のもとへと向かわせることになった。
そして事件が起こった。
詳細は省く。
だが、誰かが悪者にならなくてはならなくて、穏便に収めるなら状況的に誰かが貧乏くじを引かなくてはならないとしたら。
そして自分が貧乏くじを引くか誰かの二番手に甘んじるかを選べというなら、私サーラは公爵令嬢としてプライドを持って貧乏くじを引く。
もちろんただ流されるつもりはない。
断罪され、王太子妃候補として2度と浮上することはないとしても。
「どうして」
助けを求めているマリーを顧みることなく王太子はリーラの手を取って卒業パーティー会場の真ん中に進みます。
マリーは、信じられないのでしょう。
ほんの数分前までその腕に手を絡ませていた王太子が他の女の手を取っていること。
断罪されたはずの女が、受け入れられ微笑んでいること。
衛兵に引き摺り出されていくマリーに声をかける者はいない。
彼女のいく先は、生涯出ることのできない祈りの施設。
それでも、衣食住保証されているのですから。
私が貧乏くじを引かなければ或いは、がありえたのに残念でしたね。
マリーあなたは賢いはずなのに恋を感情をどうしてそんなに万能だと思ったのでしょうか。
王族の婚約が整ったら、それまで関係のあった女性は排除されるなんて良くあることですわ。
後から隠し子なんて面倒な芽はつんでおくものです。
王太子に近づきすぎましたね。
その衛兵は、王太子が手配したのですよ。
誰が連行されるかは紙一重でしたが。
王太子は兄弟が多いから、少しの瑕疵も許されないのです。
さて、私は王太子妃にはなれませんが、身分的には側妃にはなれるのにそうしなかった。
そのことをリーラもわかっています。
私は実務のトップ女官長となり国を動かすこととします。
断罪されることで自分の立場を確保した私の知識と交渉力を王族の皆様に評価いただいたことですし。
リーラとは痛み分けといったところでしょうか。
人生は続く。
断罪されるのも悪くない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完 婚約破棄の瞬間に100回ループした悪役令嬢、おせっかいしたら王子に溺愛されかけた為、推しと共に逃亡いたします。

水鳥楓椛
恋愛
 藤色の髪にアクアマリンの瞳を持つ公爵令嬢ヴァイオレット・エレインは、ある瞬間を起点に人生をループしている。その瞬間とは、金髪にサファイアの瞳を持つ王太子ディートリヒ・ガーナイトに婚約破棄される瞬間だ。  何度も何度も婚約破棄をされては殺されてを繰り返すヴァイオレットの人生の行先は———?

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

気がついたら乙女ゲームの悪役令嬢でした、急いで逃げだしました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 もっと早く記憶を取り戻させてくれてもいいじゃない!

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~

プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。 ※完結済。

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

笑う令嬢は毒の杯を傾ける

無色
恋愛
 その笑顔は、甘い毒の味がした。  父親に虐げられ、義妹によって婚約者を奪われた令嬢は復讐のために毒を喰む。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

処理中です...