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#11 Claw Strike(クロウ ストライク)
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#11 Claw Strike
波乱の展開を迎えた霊否たちとプリームスパールスの対決は16-21のまま一時休憩となった。破壊されたフィールドを修復するためである。
試合の展開をフィールドの外から見ていた玖源煌玉は、一度腰をあげ、選手達の控え室がある方へ向かった。観客の歓声を背に聞きながら静かな廊下を1人歩いていると人影が見えた。大宗平善がひっそりと立ちこちらを見ている。
「どうした?こんなところで」
「試合はいいんですか?」
大宗は質問には答えず、玖源に質問を返した
「私が参加するとこちらが有利すぎるかと思ってね。ハンデだよ。君こそこんなところでなにをしているんだい?応援なら観客席でー」
「僕はあなたに用があるんですよ」
「私に?」
大宗からこちらを睨め付ける鋭い視線を感じた。
「あなたに聞きたいことがありましてね」
「なにかな?」
「玖源さん、いや、源 玉子」
その名前を聞いた途端、玖源の表情が僅かに強張った。その反応を見て、大宗は確信した。
「貴様が二十年前の壇ノ浦学園殺人事件の犯人——————少女Aだな」
***
16-21で霊否達赤チームの逆転、そして一名の脱落。そう、戦局は赤チームがかなり優勢となっている。
飛来悠李の戦闘不能で白チームは七海入鹿だけとなった。七海入鹿は霊否たち三人を相手取る必要がある。
加えて制限時間はあと三分足らず。この点差のまま制限時間を迎えた場合、赤チームの勝利となるのだ。この奇跡的とも言える試合展開に会場の誰もが困惑していた。
赤チームとしては、無理に攻撃して失点するより全員守りに徹してこの5点の点差を守り切る方が得策であった。霊否たち赤チームはそのように作戦を立てた。
学園最強のプリームスパールスに勝てば、あとは消化試合だ。いや、それどころか学園最強が、霊否たち三人にすげ変わるー!
「ふん‥」
七海は16-21という点差と残り三分足らずという制限時間を改めて分析する。学園最強の称号を手にしてから勝ち続けていた自分たちがこのような形で追い詰められたのは思ってもみないことであった。
万が一にも負けるなど許されない。残り三分足らず。この短時間でどのように戦うか。敵はおそらく防御に徹し、徹底的にこちらの得点を防ぎにくるだろう。三対一という状態でどうやって効率的に得点を稼ぐべきか‥
「おい、アレを持ってくるにゃ」
七海は付き人にそう告げた。しばらくすると三人の男達が一本の巨大な斧を抱えてやってきた。
「七海さん、これやっぱめちゃくちゃ重いですって‥‥!」
男達はそう言いながらよいしょよいしょと声を揃えて斧を運ぶ。三人ともその斧の重さに喘いでいる。
「まったく情けないにゃ」
恐るべきことに、七海は片手でそれを受け取ると、軽々と二、三回大きく振り回す。ブォンブォンと風を切る音がする。そして地面に力強く突き立ててみせる。ドスンと図太い音が響き、揺れる地面が斧の重量感を物語っている。
「礼装神器 ギガグリフォン」
七海は短く告げた。
——————そりゃもってるよな・・・礼装神器‥‥!!——————
霊否は苦虫を噛み潰したような思いに駆られた。
飛来のケリュケイオン、そして霊否のアダマファルクスとくれば、同じく異能を持っている七海も礼装神器を持っているとみてまず間違いなかった。
上星も怪物のように巨大な斧を目の前にし、衝撃を隠せなかった。いままでの戦闘で、自分はなんとか七海に食らいついてこれたと思っていたのに‥‥
こいつ‥手ェ抜いてやがったのか!
自分が対等に戦えていると思っていた相手は実は本気を出していなかったという事実は上星の心を折るのに充分だった。
「試合再開!」
霊否たちの失望をよそに、開戦の合図が告げられる。
霊否、上星、姫子の三人で七海を囲む。相手は一人だ。いくらプリームスパールスだろうが、三人を同時に相手するなんて不可能だ。
上星が最初に仕掛ける。それとほぼ同時か僅かに早く七海が斧を振りおろす。上星は紙一重でかわし、空振りした斧が地面に突き刺さる。轟音が響き、大地が砕ける。この重さの斧となれば、地面を破壊することなど容易であった。上星は斧の驚異的な破壊力に衝撃を覚えながらも、躊躇わずに叫ぶ。
「今だ!」
次の瞬間、左後方から霊否、右後方から姫子がほぼ同時に攻撃する。それを瞬時に察知した七海は素早く斧の標的を霊否に向ける。斧は弧を描き、その重量では考えられないほどのスピードで横なぎに振り抜かれる。
ブレイブヘラクレス!
霊否は瞬時にアダマファルクスで受け止めるが、斧の重量と七海の剛腕に完全に押し負ける。霊否でも扱いやすいように軽量にデザインされたアダマファルクスはギシギシと音を立て今にもへし折れるのではないかと思えるくらいに撓む。
吹き飛ばされた霊否は、後ろにいた姫子に激突。七海の僅か一撃で2人まとめて牽制されてしまった。
***
試合が再開したのか、フィールドの方から歓声が聞こえてくる。まるで別世界のように静かな控え室へ続く廊下で、玖源と大宗は相対していた。
「なにを言ってる?どうしたんだ大宗」
「とぼけなくてい。全部わかってる。」
冷たく言った大宗はポケットから古い写真を撮り出した。
「この写真は昭和六十二年度の2年B組の写真だ。ここに写ってる女子生徒、少しわかりにくいが、あなたによく似てる。あんたは二十六年前、この学園の2年B組の生徒だった。鞍上先生、宮尾先生はあんたの同級生か?」
玖源は何も答えない。
「わからないのは‥」
大宗の表情が、恐ろしい怪物を見るような表情へと変化する。
「なぜお前は高校生のような若々しい姿をしている?」
大宗は、自分が震えているのがわかった。
「あんたは一体何者なんだ、玖源 煌玉」
玖源はいまどんな表情をしている。大宗がまっすぐ見つめる玖源は、気色の悪い、不気味な笑みを浮かべていた。
***
「さぁー、まさかの学園最強が追い詰められる展開となったこの戦い!残り時間を考えても逆転はかなり厳しいと思われたが?!
七海入鹿はたった一人で得点を重ねる!三対一という数的不利をものともしない、これが学園最強の意地かー?!」
海星の解説通り、七海はたった一人で旗を奪ったり、場外は吹き飛ばしたりを繰り返し、驚異的なスピードで得点を重ねていく。現在の得点は19-21。残り時間は、一分———
この一分が霊否たちにはとてつもなく長く感じられた。たった一分だと思って侮っていると瞬く間に逆転されてしまうだろう。一瞬たりとも気を抜くことができない攻防が繰り広げられる。
七海の異能は———獣の異能———
能力は猛獣のような巨大な爪、そして人知を超えた驚異的な身体能力だ。男三人が持つだけで精一杯の斧を、片手で軽々と持ち上げるほどの筋力。そして素早さと持久力を備えた脚力。まるでジャングルを支配する猛獣の王のような身体能力が人間である彼女に備わっている。
霊否とメドゥーサにだけ見える、七海の精霊。三つの頭を持つ、猛獣、”ケロべロス”がその姿を見せた。淡いオレンジ色の美しい毛で全身を覆い、真っ赤な双眸でこちらを睨んでいる。巨大な牙の間からよだれが垂れ、顎下を伝う。とくにこちらに攻撃を仕掛けてくるわけではなく、ただ七海の横に携えている。
だが、時折こちらに噛みついてきそうな勢いで「バウッ!!」と威嚇してくる。その獰猛さにメドゥーサも手が出せない。
「まさに接戦!制限時間ギリギリで、得点がめまぐるしく動く!!どちらが勝つか?まったく予想ができない!」
会場はこれまでにないほどの盛り上がりを見せていた。立ち上がって手を振るもの、枯れるほど声を張り上げる者などさまざまだ。
霊否が、七海が斧を振り下ろした瞬間を見計らって、決死の覚悟で七海に接近する。七海の右腕に意識を集中させブラットウィップで捕えようとする。霊否の渾身の一撃を七海は腕をひねってわずかに避けた。———これに触れるのはまずい——— 七海も先の戦いでこの鞭の脅威は充分に理解していた。
「下がれ下がれ!」
上星が吠え、霊否の首根っこを掴んで、素早く七海から引き剥がす。その直後、ギガグリフォンが霊否の目と鼻の先で空振りして地を抉る。直撃すれば即戦闘不能になる斬撃を寸でのところで避けた。
「1人で行くな、タイミングを合わせろ!数の利点を活かせ!
リードしてるのはこっちだ。時間まで耐えればいい!無理に攻めるな、守りに徹しろ!この点差のまま制限時間がくればこっちの勝ちだ!」
姫子も合流し、三人で七海を囲む。
「せー‥のっ!」
息を揃え、今度は三人がほぼ同時に七海に飛びかかる。七海はギガグリフォンを横殴りにブンブンと振り回す。あまりの速さに無数にさえ見えるギガグリフォンの切っ先が霊否達三人に浴びせられる。刃が風を切り、獣の咆哮のような唸り声を上げる。その斬撃は三人を同時に薙ぎ払った。
木の葉のように吹き飛ばされた三人をよそに、七海は旗を取る。これで得点は20-21
———もう、20点———
駄目だ。強すぎる。上星は木刀を持つ手が震えていた。七海の一振りで俺たちは一点失点する。俺たちが三人だろうが関係ない。あの斧の前では無意味だ。———あいつ、バケモンか——— 勝つ手段も見つからない。だが、時間はもう十秒もない。ぎりぎり耐えられるか———
意気消沈している上星をよそに霊否が七海へと疾駆する。霊否、さっきも一人で行くなって言ったのに。彼女はきっと焦ってる。ダメだ。冷静になれ。むやみに飛び掛かって勝てる相手じゃない。
その瞬間、ふと上星は思った。残り時間は十秒、そして得点は20-21。逆転するためには二点以上の得点が必要だが、残り十秒で二点なんていくら七海でもかなり難しい。白チームの怒涛の追い上げで霊否は焦り、七海に突っ込むような攻撃を繰り返している。これが七海の思い描くシナリオ通りの展開になっているとしたら。猛烈な得点の追い上げを演出することで焦り、冷静さを欠いた霊否の攻撃が読まれていたとしたら、まさか、七海の真の目的は———、
次の瞬間、七海の振るうギガグリフォンが大きな円を描くように旋回した。強靭な刃が風を唸らせる。その超重量級の巨大な斧は、七海の隙を見て接近した霊否の脳天に向かって振り下ろされている。
ブレイブヘラクレス・ダンテライオン!
————七海の真の目的は、霊否を戦闘不能にして二十点を取ること?!————
「霊否ぁ!!!!」
悲痛さえ感じさせる叫び声をあげた上星は、霊否を助けるべく駆け出す。
上星の声で霊否も七海の攻撃を察知し、即座にアダマファルクスを両手で頭上に掲げ攻撃を受け止める。上星も必死に手を伸ばし、霊否の防御の上からさらに木刀で七海の攻撃を受け止める。霊否と上星で二重の防御。七海の必殺の一撃と、霊否・上星の防御がほぼ同時に行われる。七海の強烈な一撃が上星の木刀をたやすく貫通し、霊否のアダマファルクスまで到達する。刃が欠け、細かい破片が飛び散る。
ブーーーーーーーーーーーッ
その瞬間、空間を切り裂くように時間切れのホイッスルが鳴った。
「霊否!霊否起きろ!」
上星が叫んだ。頭から少し血を流して倒れている霊否を抱えている。
「大丈夫、大丈夫‥ちょっとかすっただけ」
霊否はすぐに目を覚まし、額を押さえながら答えた。
「それより得点は————」
二人は電光掲示板を見ると、21-21となっていた。次に赤チームの旗の方を見ると、ひっくり返っている姫子と、七海の姿が見えた。七海の手には赤旗が握られている。
「えー、時間切れとなる直前に旗を取っていたので、白チーム一点!」
海星が説明した。
————21-21で同点?!
会場全体が再びざわめき出す。両チーム21点で時間切れ。この場合、どうなるんだ。どうやって決着をつける。
「えーーーっと・・・この場合・・・」
海星を含めた審判側が協議している。その様子にさらに会場がざわめき出す。霊否たちは乱れた呼吸を整えながら結果を待っている。数分ほどの協議の末、「赤チーム、白チームそれぞれ1名づつ選出し、一対一の代表戦を取り行います!」ということになった。
「代表戦だと・・・・?」
上星が呟いた。海星が続ける。
「制限時間なしで旗を取る・場外反則・戦闘不能などで先に得点したチームを勝ちとします!」
一名選出。赤チームからは誰が出る?上星の思考に割って入るように七海が吠えた。
「当然霊否ちゃんだよなぁ?」
七海は仁王立ちで、ギガグリフォンを肩に担いで言った。その双眸には炎が宿っている。この戦いの決着は、まだついていない。七海の不満げな表情から、中途半端に打ち切られた戦いを今すぐにでも再開したい、その一心であることが読み取れた。
「決着つけるにゃ」
「おう!」
霊否も力強く答えた。霊否としても父親の謎を知るため、ここで負けるわけにはいかない。双方やる気満々の睨みあい。代表戦はどちらかが失点すれば即敗北の一騎打ち。両チームの選出者は決定かと思われたその時、真横から飛び出した影が二人の間に割って入った。
「いや、私が出よう」
そう発言したのは玖源 煌玉だった。
「玖源さん・・・・・?」
試合開始直前に一切手を出さないと言って、フィールドの外で観戦を決め込んでいた玖源がこのタイミングで急に現れた。どういうことだ。上星は思った。試合開始から募っていた玖源への不信感が再び姿を現した。彼女が一体なにがしたい。なにが目的なんだ。
「玉ちゃん・・・・邪魔するにゃ」
七海が玖源を睨む。せっかくの戦いの機会を邪魔されたことへの不快感が見て取れる。
「霊否ちゃんの異能の覚醒・・・やっと面白くなってきたとこなんだにゃ」
「無理するな」
玖源はそう言い、七海の右手首を軽くひねった。七海の手首に稲妻が落ちたような激痛が走る。「その右手じゃあ、もうギガグリフォンを持てないだろう。」
先ほど七海が放った技、ブレイブヘラクレス・ダンデライオンは振り切った斧をほぼ右手首の力だけで旋回させ、相手の隙をつく大技。円を描くように振り下ろされた斧は遠心力で通常の数倍の威力になる。ただ、右手首の力だけで超重量級のギガグリフォンを旋回させるのは手首に多大な負荷がかかる。結果、いま七海の手首はもうギガグリフォンを持てる状態ではなくなってしまっていた。
だが、そうしなければ引き分けまでこぎつけ、こうして代表戦に持ち込むことができなかった。霊否たちはそれほどまでにプリ―ムスパールスを翻弄していたということだ。
飛来に続き、七海も戦闘不能。
代表戦は赤チーム:霊否、白チーム:玖源という選出となった。
「試合再開!」
海星の合図とともに、霊否と玖源は無言で睨みあう。先ほどまで最大の盛り上がりを見せていたこのフィールドが嘘のように静まり返っている。
「てめぇには聞きたいことが山ほどある‥!」
霊否は玖源を睨んだまま、語りかける。
「そうか、戦えてよかったな」
「異能のこと、知ってたのになんで言わなかった?!」
「飛来と七海の二人をこうして体育祭で貴様と闘わせるためだ」
こいつは敵か、味方か。玖源はこれまで風紀委員を率い、霊否たちを導き、生徒会を壊滅させた。この体育祭も、彼女の中でなにか計画があったのだろうか。彼女はなにが目的なんだ————?聞きたいことは無限にあった。だが霊否は自分が今一番知りたいことを尋ねた。
「あたしの父と面識あるって言ってたな。どういうことだ!」
「さっきも言っただろう?それはこの戦いに勝ったら教えてやる」
霊否は玖源の腹辺りに視線が移動した。玖源の服に血がついていたのだ。こいつはいままで試合を観戦していただけで戦闘には参加していないハズ‥いったい誰の血だ‥?次の瞬間、霊否の頬に玖源の蹴りが入る。
「よそ見すんなよ」
玖源が冷たく言った。
霊否には、彼女の表情、立ち居振る舞い、そのすべてが得体のしれない不気味な何かに思えて仕方なかった。彼女は本当に血の通った一人の人間なのだろうか。自分とは全く別の世界にいるおどろおどろしい化け物に思えた。
いや、恐れるな。ブラットウィップで捕獲した後に、重力無効化で素早く場外へ引っ張り出せばいい。そうすれば即こっちの勝ちだ。
霊否は再び自身の血を束ね、鮮血の鞭を作り上げる。
ブラットウィップ‥‥!
玖源に鞭が届くかと思えたその直後、霊否の心臓が大きくドクンと鼓動した。これまで経験したことのない激しい鼓動に胸が圧迫され、一瞬息ができなくなる。次の瞬間、ルビーのような美しい右目から強烈な熱を感じた。温度は一気に上昇し、高温に熱した鉄球のように熱い。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
瞼が焼けただれるような激痛に、霊否は叫び声をあげ膝をついた。断末魔のような怒号は、フィールドに高く響いていた。
=========================
【次回予告】
憎しみは争いを生み、争いは人を殺める。人を殺めれば、新たな憎しみが生まれる。
多くの憎しみはやがて人を破滅へと導く。
最初は小さな、小さな憎しみだった。
だが、それがだんだん大きくなり、復讐へ変わった時、大きな力が生まれた。
次回、AstiMaitrise #12「Collapse」
すべての謎が明らかになるとき、世界は、その姿を変える——————
波乱の展開を迎えた霊否たちとプリームスパールスの対決は16-21のまま一時休憩となった。破壊されたフィールドを修復するためである。
試合の展開をフィールドの外から見ていた玖源煌玉は、一度腰をあげ、選手達の控え室がある方へ向かった。観客の歓声を背に聞きながら静かな廊下を1人歩いていると人影が見えた。大宗平善がひっそりと立ちこちらを見ている。
「どうした?こんなところで」
「試合はいいんですか?」
大宗は質問には答えず、玖源に質問を返した
「私が参加するとこちらが有利すぎるかと思ってね。ハンデだよ。君こそこんなところでなにをしているんだい?応援なら観客席でー」
「僕はあなたに用があるんですよ」
「私に?」
大宗からこちらを睨め付ける鋭い視線を感じた。
「あなたに聞きたいことがありましてね」
「なにかな?」
「玖源さん、いや、源 玉子」
その名前を聞いた途端、玖源の表情が僅かに強張った。その反応を見て、大宗は確信した。
「貴様が二十年前の壇ノ浦学園殺人事件の犯人——————少女Aだな」
***
16-21で霊否達赤チームの逆転、そして一名の脱落。そう、戦局は赤チームがかなり優勢となっている。
飛来悠李の戦闘不能で白チームは七海入鹿だけとなった。七海入鹿は霊否たち三人を相手取る必要がある。
加えて制限時間はあと三分足らず。この点差のまま制限時間を迎えた場合、赤チームの勝利となるのだ。この奇跡的とも言える試合展開に会場の誰もが困惑していた。
赤チームとしては、無理に攻撃して失点するより全員守りに徹してこの5点の点差を守り切る方が得策であった。霊否たち赤チームはそのように作戦を立てた。
学園最強のプリームスパールスに勝てば、あとは消化試合だ。いや、それどころか学園最強が、霊否たち三人にすげ変わるー!
「ふん‥」
七海は16-21という点差と残り三分足らずという制限時間を改めて分析する。学園最強の称号を手にしてから勝ち続けていた自分たちがこのような形で追い詰められたのは思ってもみないことであった。
万が一にも負けるなど許されない。残り三分足らず。この短時間でどのように戦うか。敵はおそらく防御に徹し、徹底的にこちらの得点を防ぎにくるだろう。三対一という状態でどうやって効率的に得点を稼ぐべきか‥
「おい、アレを持ってくるにゃ」
七海は付き人にそう告げた。しばらくすると三人の男達が一本の巨大な斧を抱えてやってきた。
「七海さん、これやっぱめちゃくちゃ重いですって‥‥!」
男達はそう言いながらよいしょよいしょと声を揃えて斧を運ぶ。三人ともその斧の重さに喘いでいる。
「まったく情けないにゃ」
恐るべきことに、七海は片手でそれを受け取ると、軽々と二、三回大きく振り回す。ブォンブォンと風を切る音がする。そして地面に力強く突き立ててみせる。ドスンと図太い音が響き、揺れる地面が斧の重量感を物語っている。
「礼装神器 ギガグリフォン」
七海は短く告げた。
——————そりゃもってるよな・・・礼装神器‥‥!!——————
霊否は苦虫を噛み潰したような思いに駆られた。
飛来のケリュケイオン、そして霊否のアダマファルクスとくれば、同じく異能を持っている七海も礼装神器を持っているとみてまず間違いなかった。
上星も怪物のように巨大な斧を目の前にし、衝撃を隠せなかった。いままでの戦闘で、自分はなんとか七海に食らいついてこれたと思っていたのに‥‥
こいつ‥手ェ抜いてやがったのか!
自分が対等に戦えていると思っていた相手は実は本気を出していなかったという事実は上星の心を折るのに充分だった。
「試合再開!」
霊否たちの失望をよそに、開戦の合図が告げられる。
霊否、上星、姫子の三人で七海を囲む。相手は一人だ。いくらプリームスパールスだろうが、三人を同時に相手するなんて不可能だ。
上星が最初に仕掛ける。それとほぼ同時か僅かに早く七海が斧を振りおろす。上星は紙一重でかわし、空振りした斧が地面に突き刺さる。轟音が響き、大地が砕ける。この重さの斧となれば、地面を破壊することなど容易であった。上星は斧の驚異的な破壊力に衝撃を覚えながらも、躊躇わずに叫ぶ。
「今だ!」
次の瞬間、左後方から霊否、右後方から姫子がほぼ同時に攻撃する。それを瞬時に察知した七海は素早く斧の標的を霊否に向ける。斧は弧を描き、その重量では考えられないほどのスピードで横なぎに振り抜かれる。
ブレイブヘラクレス!
霊否は瞬時にアダマファルクスで受け止めるが、斧の重量と七海の剛腕に完全に押し負ける。霊否でも扱いやすいように軽量にデザインされたアダマファルクスはギシギシと音を立て今にもへし折れるのではないかと思えるくらいに撓む。
吹き飛ばされた霊否は、後ろにいた姫子に激突。七海の僅か一撃で2人まとめて牽制されてしまった。
***
試合が再開したのか、フィールドの方から歓声が聞こえてくる。まるで別世界のように静かな控え室へ続く廊下で、玖源と大宗は相対していた。
「なにを言ってる?どうしたんだ大宗」
「とぼけなくてい。全部わかってる。」
冷たく言った大宗はポケットから古い写真を撮り出した。
「この写真は昭和六十二年度の2年B組の写真だ。ここに写ってる女子生徒、少しわかりにくいが、あなたによく似てる。あんたは二十六年前、この学園の2年B組の生徒だった。鞍上先生、宮尾先生はあんたの同級生か?」
玖源は何も答えない。
「わからないのは‥」
大宗の表情が、恐ろしい怪物を見るような表情へと変化する。
「なぜお前は高校生のような若々しい姿をしている?」
大宗は、自分が震えているのがわかった。
「あんたは一体何者なんだ、玖源 煌玉」
玖源はいまどんな表情をしている。大宗がまっすぐ見つめる玖源は、気色の悪い、不気味な笑みを浮かべていた。
***
「さぁー、まさかの学園最強が追い詰められる展開となったこの戦い!残り時間を考えても逆転はかなり厳しいと思われたが?!
七海入鹿はたった一人で得点を重ねる!三対一という数的不利をものともしない、これが学園最強の意地かー?!」
海星の解説通り、七海はたった一人で旗を奪ったり、場外は吹き飛ばしたりを繰り返し、驚異的なスピードで得点を重ねていく。現在の得点は19-21。残り時間は、一分———
この一分が霊否たちにはとてつもなく長く感じられた。たった一分だと思って侮っていると瞬く間に逆転されてしまうだろう。一瞬たりとも気を抜くことができない攻防が繰り広げられる。
七海の異能は———獣の異能———
能力は猛獣のような巨大な爪、そして人知を超えた驚異的な身体能力だ。男三人が持つだけで精一杯の斧を、片手で軽々と持ち上げるほどの筋力。そして素早さと持久力を備えた脚力。まるでジャングルを支配する猛獣の王のような身体能力が人間である彼女に備わっている。
霊否とメドゥーサにだけ見える、七海の精霊。三つの頭を持つ、猛獣、”ケロべロス”がその姿を見せた。淡いオレンジ色の美しい毛で全身を覆い、真っ赤な双眸でこちらを睨んでいる。巨大な牙の間からよだれが垂れ、顎下を伝う。とくにこちらに攻撃を仕掛けてくるわけではなく、ただ七海の横に携えている。
だが、時折こちらに噛みついてきそうな勢いで「バウッ!!」と威嚇してくる。その獰猛さにメドゥーサも手が出せない。
「まさに接戦!制限時間ギリギリで、得点がめまぐるしく動く!!どちらが勝つか?まったく予想ができない!」
会場はこれまでにないほどの盛り上がりを見せていた。立ち上がって手を振るもの、枯れるほど声を張り上げる者などさまざまだ。
霊否が、七海が斧を振り下ろした瞬間を見計らって、決死の覚悟で七海に接近する。七海の右腕に意識を集中させブラットウィップで捕えようとする。霊否の渾身の一撃を七海は腕をひねってわずかに避けた。———これに触れるのはまずい——— 七海も先の戦いでこの鞭の脅威は充分に理解していた。
「下がれ下がれ!」
上星が吠え、霊否の首根っこを掴んで、素早く七海から引き剥がす。その直後、ギガグリフォンが霊否の目と鼻の先で空振りして地を抉る。直撃すれば即戦闘不能になる斬撃を寸でのところで避けた。
「1人で行くな、タイミングを合わせろ!数の利点を活かせ!
リードしてるのはこっちだ。時間まで耐えればいい!無理に攻めるな、守りに徹しろ!この点差のまま制限時間がくればこっちの勝ちだ!」
姫子も合流し、三人で七海を囲む。
「せー‥のっ!」
息を揃え、今度は三人がほぼ同時に七海に飛びかかる。七海はギガグリフォンを横殴りにブンブンと振り回す。あまりの速さに無数にさえ見えるギガグリフォンの切っ先が霊否達三人に浴びせられる。刃が風を切り、獣の咆哮のような唸り声を上げる。その斬撃は三人を同時に薙ぎ払った。
木の葉のように吹き飛ばされた三人をよそに、七海は旗を取る。これで得点は20-21
———もう、20点———
駄目だ。強すぎる。上星は木刀を持つ手が震えていた。七海の一振りで俺たちは一点失点する。俺たちが三人だろうが関係ない。あの斧の前では無意味だ。———あいつ、バケモンか——— 勝つ手段も見つからない。だが、時間はもう十秒もない。ぎりぎり耐えられるか———
意気消沈している上星をよそに霊否が七海へと疾駆する。霊否、さっきも一人で行くなって言ったのに。彼女はきっと焦ってる。ダメだ。冷静になれ。むやみに飛び掛かって勝てる相手じゃない。
その瞬間、ふと上星は思った。残り時間は十秒、そして得点は20-21。逆転するためには二点以上の得点が必要だが、残り十秒で二点なんていくら七海でもかなり難しい。白チームの怒涛の追い上げで霊否は焦り、七海に突っ込むような攻撃を繰り返している。これが七海の思い描くシナリオ通りの展開になっているとしたら。猛烈な得点の追い上げを演出することで焦り、冷静さを欠いた霊否の攻撃が読まれていたとしたら、まさか、七海の真の目的は———、
次の瞬間、七海の振るうギガグリフォンが大きな円を描くように旋回した。強靭な刃が風を唸らせる。その超重量級の巨大な斧は、七海の隙を見て接近した霊否の脳天に向かって振り下ろされている。
ブレイブヘラクレス・ダンテライオン!
————七海の真の目的は、霊否を戦闘不能にして二十点を取ること?!————
「霊否ぁ!!!!」
悲痛さえ感じさせる叫び声をあげた上星は、霊否を助けるべく駆け出す。
上星の声で霊否も七海の攻撃を察知し、即座にアダマファルクスを両手で頭上に掲げ攻撃を受け止める。上星も必死に手を伸ばし、霊否の防御の上からさらに木刀で七海の攻撃を受け止める。霊否と上星で二重の防御。七海の必殺の一撃と、霊否・上星の防御がほぼ同時に行われる。七海の強烈な一撃が上星の木刀をたやすく貫通し、霊否のアダマファルクスまで到達する。刃が欠け、細かい破片が飛び散る。
ブーーーーーーーーーーーッ
その瞬間、空間を切り裂くように時間切れのホイッスルが鳴った。
「霊否!霊否起きろ!」
上星が叫んだ。頭から少し血を流して倒れている霊否を抱えている。
「大丈夫、大丈夫‥ちょっとかすっただけ」
霊否はすぐに目を覚まし、額を押さえながら答えた。
「それより得点は————」
二人は電光掲示板を見ると、21-21となっていた。次に赤チームの旗の方を見ると、ひっくり返っている姫子と、七海の姿が見えた。七海の手には赤旗が握られている。
「えー、時間切れとなる直前に旗を取っていたので、白チーム一点!」
海星が説明した。
————21-21で同点?!
会場全体が再びざわめき出す。両チーム21点で時間切れ。この場合、どうなるんだ。どうやって決着をつける。
「えーーーっと・・・この場合・・・」
海星を含めた審判側が協議している。その様子にさらに会場がざわめき出す。霊否たちは乱れた呼吸を整えながら結果を待っている。数分ほどの協議の末、「赤チーム、白チームそれぞれ1名づつ選出し、一対一の代表戦を取り行います!」ということになった。
「代表戦だと・・・・?」
上星が呟いた。海星が続ける。
「制限時間なしで旗を取る・場外反則・戦闘不能などで先に得点したチームを勝ちとします!」
一名選出。赤チームからは誰が出る?上星の思考に割って入るように七海が吠えた。
「当然霊否ちゃんだよなぁ?」
七海は仁王立ちで、ギガグリフォンを肩に担いで言った。その双眸には炎が宿っている。この戦いの決着は、まだついていない。七海の不満げな表情から、中途半端に打ち切られた戦いを今すぐにでも再開したい、その一心であることが読み取れた。
「決着つけるにゃ」
「おう!」
霊否も力強く答えた。霊否としても父親の謎を知るため、ここで負けるわけにはいかない。双方やる気満々の睨みあい。代表戦はどちらかが失点すれば即敗北の一騎打ち。両チームの選出者は決定かと思われたその時、真横から飛び出した影が二人の間に割って入った。
「いや、私が出よう」
そう発言したのは玖源 煌玉だった。
「玖源さん・・・・・?」
試合開始直前に一切手を出さないと言って、フィールドの外で観戦を決め込んでいた玖源がこのタイミングで急に現れた。どういうことだ。上星は思った。試合開始から募っていた玖源への不信感が再び姿を現した。彼女が一体なにがしたい。なにが目的なんだ。
「玉ちゃん・・・・邪魔するにゃ」
七海が玖源を睨む。せっかくの戦いの機会を邪魔されたことへの不快感が見て取れる。
「霊否ちゃんの異能の覚醒・・・やっと面白くなってきたとこなんだにゃ」
「無理するな」
玖源はそう言い、七海の右手首を軽くひねった。七海の手首に稲妻が落ちたような激痛が走る。「その右手じゃあ、もうギガグリフォンを持てないだろう。」
先ほど七海が放った技、ブレイブヘラクレス・ダンデライオンは振り切った斧をほぼ右手首の力だけで旋回させ、相手の隙をつく大技。円を描くように振り下ろされた斧は遠心力で通常の数倍の威力になる。ただ、右手首の力だけで超重量級のギガグリフォンを旋回させるのは手首に多大な負荷がかかる。結果、いま七海の手首はもうギガグリフォンを持てる状態ではなくなってしまっていた。
だが、そうしなければ引き分けまでこぎつけ、こうして代表戦に持ち込むことができなかった。霊否たちはそれほどまでにプリ―ムスパールスを翻弄していたということだ。
飛来に続き、七海も戦闘不能。
代表戦は赤チーム:霊否、白チーム:玖源という選出となった。
「試合再開!」
海星の合図とともに、霊否と玖源は無言で睨みあう。先ほどまで最大の盛り上がりを見せていたこのフィールドが嘘のように静まり返っている。
「てめぇには聞きたいことが山ほどある‥!」
霊否は玖源を睨んだまま、語りかける。
「そうか、戦えてよかったな」
「異能のこと、知ってたのになんで言わなかった?!」
「飛来と七海の二人をこうして体育祭で貴様と闘わせるためだ」
こいつは敵か、味方か。玖源はこれまで風紀委員を率い、霊否たちを導き、生徒会を壊滅させた。この体育祭も、彼女の中でなにか計画があったのだろうか。彼女はなにが目的なんだ————?聞きたいことは無限にあった。だが霊否は自分が今一番知りたいことを尋ねた。
「あたしの父と面識あるって言ってたな。どういうことだ!」
「さっきも言っただろう?それはこの戦いに勝ったら教えてやる」
霊否は玖源の腹辺りに視線が移動した。玖源の服に血がついていたのだ。こいつはいままで試合を観戦していただけで戦闘には参加していないハズ‥いったい誰の血だ‥?次の瞬間、霊否の頬に玖源の蹴りが入る。
「よそ見すんなよ」
玖源が冷たく言った。
霊否には、彼女の表情、立ち居振る舞い、そのすべてが得体のしれない不気味な何かに思えて仕方なかった。彼女は本当に血の通った一人の人間なのだろうか。自分とは全く別の世界にいるおどろおどろしい化け物に思えた。
いや、恐れるな。ブラットウィップで捕獲した後に、重力無効化で素早く場外へ引っ張り出せばいい。そうすれば即こっちの勝ちだ。
霊否は再び自身の血を束ね、鮮血の鞭を作り上げる。
ブラットウィップ‥‥!
玖源に鞭が届くかと思えたその直後、霊否の心臓が大きくドクンと鼓動した。これまで経験したことのない激しい鼓動に胸が圧迫され、一瞬息ができなくなる。次の瞬間、ルビーのような美しい右目から強烈な熱を感じた。温度は一気に上昇し、高温に熱した鉄球のように熱い。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
瞼が焼けただれるような激痛に、霊否は叫び声をあげ膝をついた。断末魔のような怒号は、フィールドに高く響いていた。
=========================
【次回予告】
憎しみは争いを生み、争いは人を殺める。人を殺めれば、新たな憎しみが生まれる。
多くの憎しみはやがて人を破滅へと導く。
最初は小さな、小さな憎しみだった。
だが、それがだんだん大きくなり、復讐へ変わった時、大きな力が生まれた。
次回、AstiMaitrise #12「Collapse」
すべての謎が明らかになるとき、世界は、その姿を変える——————
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