外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人

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トロブ防衛戦

31.リンネ姫の決断

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「つまり、リュースとカドモイン辺境伯が繋がっている可能性があるということか」

 リンネ姫が顎をつまんだ。

「ああ、でもそれもリュースのブラフかもしれない。あるいは俺が洗脳かなにかをされて幻覚を見せられたという可能性だってあるかも」

「それはないだろうな」

 リンネ姫が手を振った。

「それであったらお主に与えた指輪が反応しているはずだ。それに先生の調べでも問題ないとでておるしな」

 俺は頷いた。

 あれからトロブに帰って事情を話し、まずは俺に何らかの魔法がかけられていないのか調べたのだった。

「なにもかもリュースの思惑ということもあり得るけどカドモイン辺境伯の周辺で何かが起こっていることも確かだ」

 ランメルスの差し金でレッサーベヒモスが出現したのも、今回オーガウルフが出てきたのもカドモイン領内だ。

「そのリュースとやらはカドモイン辺境伯に私たちのことを報告すると思うか?」

「わからない」

 リュースの問いに俺は素直に答えた。

「でもリュースとカドモインの間には何か複雑な事情があるみたいだ。俺はリュースが今回のことをカドモインに知らせないと思う。少なくともしばらくは」

 これは単なる勘でしかない、それでも不思議と俺にはその確信があった。


「ふん、お主がそういうならそう信じよう」


 そう言ってリンネ姫が立ち上がった。

「決めた!準備ができ次第すぐにカドモイン辺境伯の元に行くぞ!テツヤ、お主もついてくるのだ!」

「ま、待ってくれ!俺は別に構わないけどそんなに急に決めてもいいのか?相手は王国転覆を企てている黒幕なのかもしれないんだぞ?もっとしっかり準備をしてからの方が良いんじゃ?」

 俺の言葉にリンネ姫は頭を振った。

「いや、大勢で押し掛ければ向こうもしっかりと隠ぺいしてしまうだろう。リュースが報告しようがしまいが動くのならば早い方が良い」

 アマーリアの方を向くと困ったように首を振っている。

 どうやら言い出したら聞かないらしい。

 俺はため息をついた。

「わかった。どちらにしろ渡らなきゃいけない橋だ。その代わりしっかり護衛は付けていってもらうからな」

「当然だ。いよいよ面白くなってきたではないか」

 リンネ姫はにやりと笑った。




    ◆




 その日の夜はケンタウロス討伐の祝勝会が開かれた。

 どうやら俺が帰ってくるまで待ってくれていたらしい。

 グランの村のメンバーも加わって宴会は大いに盛り上がった。

「さあさあテツヤさん、ぐっといってくださいよ!ぐっと!」

 イノシロウが俺に杯を押し付けてくる。

「いやもう飲めないって」

「またまたそんな!テツヤさんならいけますって!」

「いや、めでたい!ケンタウロスもいなくなったしこれで町は一安心だ!」

「これもみなテツヤさんのお陰!ささ、もう一献」

「いやいや、私の酒も飲んでいただかないと!」

 俺の周りに酔っ払いたちが群がって酒を押し付けてくる。

「貴様らけい!」

 そんな一行がいきなり吹き飛ばされた。

「テェツゥヤァ~」

 その声の主はソラノだった。

 白いブラウスに臙脂色のビスチェとスカートがよく似合っている。

 が、既にべろべろに酔っぱらっていて、ブラウスも大きくはだけられている。


「あんら、あのリュ、リュ、リュースとやらと、ふ、二人で一夜すごしたんらってえ?」

 真っ赤な顔で俺に絡んできた。

 あまり近寄られるとはだけきったブラウスから真っ白な谷間が。

「そ、それは成り行きと言うか、不可抗力と言うか……」

「ず~る~い~!」

 しどろもどろになる俺をぽかぽかと殴ってきた。

 いや、鍛えた騎士の拳だから正直かなり痛いぞ。

「わたしも~!わたしもテツヤと一晩過ごすぅ~」

「いいぞ!ソラノ!そのまま押し倒せ!」

「そこでやらなきゃ女が廃るぞ!」

「抱けーっ!抱けーっ!」

 王立騎士隊の面々がソラノを囃し立てている。

 やめてくださいお願いします。

「テ、テ、テ、テツヤはさあ、や、やっぱりああいうリュースみたいな女が好きなわけぇ?おっぱいとか足とか出してるのがさあ」

「その辺私も詳しく聞きたいなあ」

 横にどかっとアマーリアが座ってきた。

 袖なしで襟を大きく開けたシャツから大きな胸が盛り上がっている。

 流石に飲みまくってきたのかほんのり朱に染まった顔がやけに艶めかしい。

「テツヤの話だとそのリュースはカドモインのことは話さなかったそうじゃないか。どうやってその情報を知りえたのか詳細に知りたいんだけどねえ?」

 そう言って俺に体をすり寄せてきた。

 やばい、これは絶対に分かっている、分かったうえで俺に言わせようとしている。


 この状況を抜け出す方法は一つしかない。


 俺はテーブルの上に並んだグラスを手に取って片っ端から飲み干していった……





「うう、酷い目に遭った……」

 宴会も終盤へと差し掛かり、俺は一人テーブルに突っ伏していた。

 他の面々はみなそれぞれ盛り上がったり酔いつぶれたりしている。

「なかなか盛り上がったようだの」

 俺の目の前にリンネ姫が腰かけた。

 顔が少し赤くなっている

「そっちこそ、大丈夫なのか?酒なんて飲んでも」

「私は今年で飲酒年齢になったのだ。このくらいどうってこと」

 そう言いながらも頭がぐらぐら揺れている。

「あんま無茶するなよ」

「そっちこそ」

 そう言ってリンネ姫は俺が差し出した水を飲みほした。

「それにしても安心したよ」

「何の話だ?」

「お主のことよ」

 リンネ姫はそう言って微笑んだ。

「全くのよそ者であるお主がこのような場所に何の伝手つてもなく行って上手くやっていけるか気にかけておったのだが、いらぬ心配だったな」

 そう言って辺りを見渡す。

 なんだ、俺のことも心配してくれてたのか。

「ああ、ここは良いところだよ。みんな良い人たちだ」

「いや、それはお主がそうであろうと務めたからよ。だからみなそれに応えたのだ」

「そう、なのかな」

「そうだとも。今のこの光景は間違いなくお主の力があってこそよ」

 リンネ姫はそう言って立ち上がった。

「さて、私はもう休むぞ。お主も休むがよい」

 リンネ姫は去り、俺もそろそろ帰ろうかと立ち上がった時、目の前に一人の影が立っていた。

「ついてきて」

 それはフラムだった。
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