外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人

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ボーハルト復興

17.ベッドを作ろう

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 翌日、俺は再びボーハルトにやってきた。

 今日はみんなも一緒だ。


「どうしたのだ?面白いものがあるから来てくれなどと」

「まあまあ、ちょっと見ててくれよ」


 俺は昨日と同じように空き家の鉄製品からバネをいくつも作りだした。

 作ったバネをマットレスの形に並べて更に針金で動かないように固定する。

「さて、あとはこいつで布で包むんだけど、誰か裁縫はできないか?」

 俺の言葉にみんなが首を横に振った。


「あいにくと家事全般は苦手でな」

「私も子供の頃に指を穴だらけにしてしまって以来、針はトラウマで」

「縫物はしたことがない」

「キリも裁縫はちょっと苦手なんだよね~」


 がーん。

 そう言えばみんなが針を使っているのは見たことがなかった。

 ま、まさか、こんなことで俺のベッド計画がとん挫するなんて…


「あ、あの~」

 地面にがっくりと跪いていると声がした。

 振り向くとそこには一人の女性が立っていた。

 確か名前はアマンダさんと言っていたような。


「私、奴隷だった頃に縫子をやっていました。お力になれますか?」

「ほ、本当ですか!?」

「ええ、テツヤさんには本当にお世話になりましたから。私にできることがあれば良ければ喜んでお手伝いします」

「是非お願いします!」


 ということでアマンダさんにマットレスの仕上げをやってもらうことにした。

 空き家に残っていたキルトやフェルトを使ってマットレスを包むように縫っていく。

 アマンダさんはかなり腕のいい縫子だったらしく、あっという間にマットレスが出来上がった。


「うわああああああいっ!!!!」

 出来上がったマットレスを空き家にあったベッドに乗せて体を投げ出した。

 スプリングコイルが全身を柔らかく包み、そして反発する。

 この感触、これこそがベッドだ。

「はあ~~~」

 思わず至福の声が漏れる。


「テ、テツヤ、私にも試させてくれ!」

 俺の様子を見て我慢できなくなったのかアマーリアが飛び込んできた。

 ベッドが大きく弾む。


「な、なんだこれは?まるで体が浮いてるみたいじゃないか!」

 アマーリアは驚きの声を上げると体を揺らした。

 弾みでアマーリアの体の色んな所が俺にぶつかってくる。


「わ、私もだ!」

 そこにソラノが飛び込んできた。

「私も…」

「みんなずるい!キリも!」

 フラムとキリまで飛び乗ってきた。

 ベッドがギシギシと危険な音を立てている。

「ま、待て、流石にこの人数はまずいって!」



「これは凄い!こんなベッドは初めてだぞ!」

「…面白い感触」

「なにこれ!凄い!面白い!」


 みんな初めてのベッドの感触に驚喜しながら跳ねまわっている。

 弾みで四人の身体が俺の身体にぶつかり絡みついてくる。

 いかん、このままだと色んな意味でやばい。


「ちょ、ちょっと待った、一旦ベッドから出させてくれ」

「そうは言ってもだな、体が言うことを聞いてくれんのだ」

「そ、そうだぞ、と言うか起き上がりたくても起き上がれないぞ、どうやって立ち上がればいいんだ?」



「お主ら、楽しそうだのう」

 ベッドから出られずにもがいていると頭上から声がした。

 見上げるとそこにはジト目でこちらを見下ろすリンネ姫の顔が。


「リ、リンネ…いつからそこに…?というか何故ここに…?」

「ボーハルトの今後を話し合うために今日そちらに行くと言ってあるではないか」

 そ、そう言えばそうだった。色々あってすっかり忘れてた…


「それよりもずいぶんと面白そうなものを作ったようだのう。これは是非とも私も試さねばなるまい」

 そう言ってじりじりと近づきながら腰を落として飛び掛かる体勢になった。


「ま、待て、流石に今は…」

「問答無用!」

 言うなりリンネ姫が飛び込んできた。







「テツヤよ…」

 リンネ姫が口を開いた。

「はい」

「今すぐ私の分を作れ。王城とトロブの屋敷用に二つだ。父上と母上の分も入れて三つだな」

「仰せのままに」

 リンネ姫は俺が作ったベッドから動こうとしなかった。

 よっぽど気に入ったらしい。


「テツヤ、私たちの分も作ってくれないか?これを知ってしまってはもう今までのベッドで眠るのは無理だ」

「そうだ、なんてものを教えてくれたのだ。この責任を取ってくれ」

「キリも欲しい!」

「私はいい。テツヤのベッドで寝るから」

「その手があったか!じゃあ私もいいや」

「ず、ずるいですよ、アマーリア様!それなら私だって…」



「わかった、みんなの分も作るから落ち着いてくれ」

 これは今日も一日ベッド作りかな。

 申し訳なさそうにアマンダさんの方を見るとアマンダさんは笑顔を返してきた。


「大丈夫ですよ。縫子仲間に声をかければすぐにできると思います」

「ほんとにすいません、お手数おかけします」

「そのついでと言っては何ですけど…私たちの分も作っていただけないでしょうか?いえ、すぐじゃなくていいんですけど、できれば…」


「それは全然構わないですよ。というか構造的に難しいものじゃないから材料の針金と鉄細工の腕があれば他の人にも作れると思いますけど」

「だ、だったら私にも作り方を教えてもらえませんか?こう見えて昔は鍛冶をやってたんで鉄の扱いには心得があります」

 そう言ってきたのはハウエルだった。


「テツヤさんたちにお世話になりっぱなしじゃ申し訳がない。私にも手伝わせてください」

「お、俺もだ!俺は細工師をしてたから道具の扱いはばっちりだ!」

「俺もやるぞ!何もしないで飯だけもらうなんてまっぴらだからな!」

 ハウエルに続いて手を挙げる人が続々と出てきた。


 その光景を見て俺の頭に閃くものがあった。

 これからボーハルトをどうしていこうか悩んでいたけど、これなら何とかなるかもしれない。

「…これは…もしかしたら」

「ああ、ボーハルトの産業が決まったようだな」

 ベッドに寝ころびながらリンネ姫がにやりと笑いながら俺の言葉を続けた。
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