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第1章:ルーク・サーベリーの帰還
第66話:帰還
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「おっ帰り~」
「ただいま、師匠」
飛びついてきたイリスにルークが微笑む。
イリスがルークに満面の笑みを向けた。
「遂に根源に触れたみたいだね」
「気付いてたんですか?」
「根源魔法の振動がこっちまで伝わってきたからね。すぐにルークがやったんだと分かったよ。さ、2人きりなことだし今夜はゆっくりと聞かせてもらおうじゃないか」
「ちょっと、私もいるんですけど!」
「なんだ、いたのかい」
「いたのかい、じゃない!」
アルマはため息をつくと荷物を担ぎ直した。
「まあいいわ、それよりも日が暮れる前に屋敷に行きましょう。話はそれからでもいいでしょ」
「そうだね、師匠も一緒に帰りましょう。時間がまだたっぷりありますから」
「……?」
イリスがルークとアルマをまじまじと見つめる。
「あんたたち、何かあったね?」
イリスの言葉に2人の動きが止まる。
「い、いやあ~別にぃ~?」
「嘘だね」
そっぽを向くアルマの顔をイリスががしりと掴む。
「いだだだだだだだだっ!潰れる!潰れる!」
「素直に話しな。そうすりゃ痛い思いをしないで済むよ」
「わかった!わかったから!」
「ふう~ん、そういうことがあったんだ」
イリスが深くため息をついた。
2人はイリスの屋敷に戻ってから大規模討伐で何が起こったのかを詳細に説明していた。
「まさかベヒーモスとやりあったとはね。ま、ルークならなんとかできて当然だね」
「いえ、僕1人の力じゃ無理でした。みんなの協力があってのことです」
「あいつは耐久力だけはあるからね~正直あたしもやりたくはない相手だよ」
イリスは膝に肘をかけるるとルークの方を見た。
「それで根源魔法を実現できたって訳だね」
「はい」
ルークが頷く。
「おそらく時間にして1秒もあったかどうか、でもはっきりと実感できました。この手が根源魔法に触れたのを」
今でも夢のようだと思う。
長らく人類が追い求め、それでも尚到達できなかったものを自分が触れることができたなんて、この瞬間にも目を覚まして夢だったことに気付くのではないかと思うくらいだ。
それでもこの手があれは紛れもなく現実だと教えてくれる。
「でもまだ一瞬のことです。もっと確実に物にできるようにしないと」
「それはそうだね。今はまだドアに手をかけたところだよ。開いてその中にあるものを掴むにはまだまだ練っていく必要がある。でもま、ルークなら絶対にできるよ。あたしが保証する。それはそれとして……」
イリスはそういうと手に顎を乗せて2人を見た。
「あんたら2人に何があったのかを聞かせてもらおうか」
「そ……それはそのぉ……」
アルマが指を合わせた両手をもじもじと動かす。
「告ったんだろ?」
「……はい」
頬を染めながらルークが力強く頷く。
「アルマは僕にとって大事な女性です。今回の件ではっきりとわかったんです」
「ルーク……」
アルマが眼を潤ませてルークを見た。
「ま、別にいいけどお……」
イリスがソファに背を預ける。
「いいんじゃない?ルークはここにいる間中ずっとアルマに会いたがってたしい?あたしがとやかく言うことじゃないっていうの?そういう感じ?」
「……ちょっと、なに拗ねてんのよ」
抗議の声を上げるアルマにイリスがぷいと横を向く。
「別にい、ただ人間同士お似合いかなって。あたしはどこまでいっても魔神だからさ」
「こら」
アルマがイリスの顔を鷲掴みにした。
「あなた、まさか私がルークのことを自慢しに来たとでも思ってんの?これからは2人で仲良くするからあなたはもう用済み、そう言うとでも?」
「いだだだだだ!」
イリスの頭蓋がミシミシと音を立てる。
「見くびらないで!こっちだってルークがあなたと過ごした5年がかけがえのないものだってわかってるんだから!それはイリス、あなたにとってもそうなんでしょ!それをないがしろになんかできるわけないでしょ!」
「そ、そうですよ、師匠!僕にとって師匠は何よりも大事な存在です!」
ルークが立ち上がった。
「確かに僕らは人と魔神です。でも、それが何だっていうんですか!僕はもっと師匠と一緒にいたい、でもそれはあなたが僕の師匠だからじゃない、僕が師匠を好きだからです」
「ほんとに?」
「本当にです」
ルークがイリスの手を取った。
「僕がここに来るのはそのためです。魔法を学ぶなら他でもいい、でも僕は師匠に会いたいんです、一緒にいたいんです」
「でも……」
イリスがアルマを見る。
「いいわよ、別に」
アルマがふいっと横を向く。
「約束したでしょ、山の中ではあなたが優先って。私だって野暮じゃないわよ。しばらくそこらを散歩してくるから2人でゆっくり過ごしたら?」
そう言って立ち上がるアルマだったが、イリスがその肩を強引に組む。
そうしてもう片方の腕でルークと肩を組んだ。
「ルーク、アルマ、あんたたちは最高だよ。あんたらに会えたんなら山の中にいた800年も無駄じゃなかった、そう思うよ」
「師匠……」
「わかった、わかったから手を離してよ!苦しいってば!」
照れ隠しのようにアルマがもがいてもイリスは放そうとしなかった。
「いーや、離さないよ。今夜は3人で大いに楽しむからね!」
「ちょ、ちょっとお!」
「ただいま、師匠」
飛びついてきたイリスにルークが微笑む。
イリスがルークに満面の笑みを向けた。
「遂に根源に触れたみたいだね」
「気付いてたんですか?」
「根源魔法の振動がこっちまで伝わってきたからね。すぐにルークがやったんだと分かったよ。さ、2人きりなことだし今夜はゆっくりと聞かせてもらおうじゃないか」
「ちょっと、私もいるんですけど!」
「なんだ、いたのかい」
「いたのかい、じゃない!」
アルマはため息をつくと荷物を担ぎ直した。
「まあいいわ、それよりも日が暮れる前に屋敷に行きましょう。話はそれからでもいいでしょ」
「そうだね、師匠も一緒に帰りましょう。時間がまだたっぷりありますから」
「……?」
イリスがルークとアルマをまじまじと見つめる。
「あんたたち、何かあったね?」
イリスの言葉に2人の動きが止まる。
「い、いやあ~別にぃ~?」
「嘘だね」
そっぽを向くアルマの顔をイリスががしりと掴む。
「いだだだだだだだだっ!潰れる!潰れる!」
「素直に話しな。そうすりゃ痛い思いをしないで済むよ」
「わかった!わかったから!」
「ふう~ん、そういうことがあったんだ」
イリスが深くため息をついた。
2人はイリスの屋敷に戻ってから大規模討伐で何が起こったのかを詳細に説明していた。
「まさかベヒーモスとやりあったとはね。ま、ルークならなんとかできて当然だね」
「いえ、僕1人の力じゃ無理でした。みんなの協力があってのことです」
「あいつは耐久力だけはあるからね~正直あたしもやりたくはない相手だよ」
イリスは膝に肘をかけるるとルークの方を見た。
「それで根源魔法を実現できたって訳だね」
「はい」
ルークが頷く。
「おそらく時間にして1秒もあったかどうか、でもはっきりと実感できました。この手が根源魔法に触れたのを」
今でも夢のようだと思う。
長らく人類が追い求め、それでも尚到達できなかったものを自分が触れることができたなんて、この瞬間にも目を覚まして夢だったことに気付くのではないかと思うくらいだ。
それでもこの手があれは紛れもなく現実だと教えてくれる。
「でもまだ一瞬のことです。もっと確実に物にできるようにしないと」
「それはそうだね。今はまだドアに手をかけたところだよ。開いてその中にあるものを掴むにはまだまだ練っていく必要がある。でもま、ルークなら絶対にできるよ。あたしが保証する。それはそれとして……」
イリスはそういうと手に顎を乗せて2人を見た。
「あんたら2人に何があったのかを聞かせてもらおうか」
「そ……それはそのぉ……」
アルマが指を合わせた両手をもじもじと動かす。
「告ったんだろ?」
「……はい」
頬を染めながらルークが力強く頷く。
「アルマは僕にとって大事な女性です。今回の件ではっきりとわかったんです」
「ルーク……」
アルマが眼を潤ませてルークを見た。
「ま、別にいいけどお……」
イリスがソファに背を預ける。
「いいんじゃない?ルークはここにいる間中ずっとアルマに会いたがってたしい?あたしがとやかく言うことじゃないっていうの?そういう感じ?」
「……ちょっと、なに拗ねてんのよ」
抗議の声を上げるアルマにイリスがぷいと横を向く。
「別にい、ただ人間同士お似合いかなって。あたしはどこまでいっても魔神だからさ」
「こら」
アルマがイリスの顔を鷲掴みにした。
「あなた、まさか私がルークのことを自慢しに来たとでも思ってんの?これからは2人で仲良くするからあなたはもう用済み、そう言うとでも?」
「いだだだだだ!」
イリスの頭蓋がミシミシと音を立てる。
「見くびらないで!こっちだってルークがあなたと過ごした5年がかけがえのないものだってわかってるんだから!それはイリス、あなたにとってもそうなんでしょ!それをないがしろになんかできるわけないでしょ!」
「そ、そうですよ、師匠!僕にとって師匠は何よりも大事な存在です!」
ルークが立ち上がった。
「確かに僕らは人と魔神です。でも、それが何だっていうんですか!僕はもっと師匠と一緒にいたい、でもそれはあなたが僕の師匠だからじゃない、僕が師匠を好きだからです」
「ほんとに?」
「本当にです」
ルークがイリスの手を取った。
「僕がここに来るのはそのためです。魔法を学ぶなら他でもいい、でも僕は師匠に会いたいんです、一緒にいたいんです」
「でも……」
イリスがアルマを見る。
「いいわよ、別に」
アルマがふいっと横を向く。
「約束したでしょ、山の中ではあなたが優先って。私だって野暮じゃないわよ。しばらくそこらを散歩してくるから2人でゆっくり過ごしたら?」
そう言って立ち上がるアルマだったが、イリスがその肩を強引に組む。
そうしてもう片方の腕でルークと肩を組んだ。
「ルーク、アルマ、あんたたちは最高だよ。あんたらに会えたんなら山の中にいた800年も無駄じゃなかった、そう思うよ」
「師匠……」
「わかった、わかったから手を離してよ!苦しいってば!」
照れ隠しのようにアルマがもがいてもイリスは放そうとしなかった。
「いーや、離さないよ。今夜は3人で大いに楽しむからね!」
「ちょ、ちょっとお!」
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