39 / 109
マッサージ
しおりを挟む
「失礼します」
アランの自室の扉を開ける。そこには寝間着を着たアランがベッドに深く体を預けていた。
シャオが現れたのを視線だけで確認したアランは、シャオのその手に持っている道具でこれからマッサージをするのだと察したようだ。
「主、お体に触れてもよろしいでしょうか?」
シャオを跪き、アランの体に触れる許可を伺う。
二日ぶりのシャオのその姿をアランは見つめた。
「体はよいのか?」
「はい、この通り、問題ありません」
シャオは跪いたまま、アランに微笑む。
自分よりもアランの方が心配だった。何せ二日もマッサージをしていない。
体がどれほど強張っているのか。今日はいつもより時間をかけてマッサージをする必要がありそうだ。
「よい」
アランは簡潔にそう言い放つ。許可をもらったのでシャオはアランの体に手を伸ばした。
アランの身の包む寝間着の紐を解くと二日ぶりのアランの神々しい肌の美しさにシャオの喉がごくりと鳴る。それと同時に今朝の夢の内容が頭の中で再生し、顔が熱くなる。
ーー落ち着け! これはただのマッサージだ!
そう頭の中で自分を叱咤激励し、頭をよぎる夢の情景を追い出すように、頭を数度振るとシャオは湯に浸した布でアランの体を軽く拭いて行く。
念のため体の状態を見ながらだが、想像より体の強張りは酷くない。
ーーよかった
思わず顔が緩み、小さな笑みをシャオは向けた。
そのまま、手に香油をたっぷりと垂らし、アランの体の隅々まで丹念にマッサージをしていく。
「……ッ」
だが、二日ぶりのせいだろう、時折足の付け根などを押すとアランの顔がほんの少し歪んだ。
この押したときの痛みを痛いからとそのままにすると、後々足の痺れがひどくなる原因にもなるのだ。
アランには申し訳ないが、ここは心を鬼にし念入りに足の付け根を押していかねばならない。
「申し訳ございません、少しばかり、辛抱を」
「……」
足の付け根だけではなく、足のあちらこちらも痛いのだろう。
わずかながら力んだ顔をするアランを気にしないふりをしてシャオはマッサージを続けた。
ある程度、マッサージを続けるとアランの感じている痛みはなくなり、白を通り越し、青白い足にも血色が戻ってくる。その血色の良さにシャオの顔は達成感で綻んでしまう。
この調子で背中もやり続ければ、問題ないだろう。
「主、後ろを――」
「もう良い」
アランの自室の扉を開ける。そこには寝間着を着たアランがベッドに深く体を預けていた。
シャオが現れたのを視線だけで確認したアランは、シャオのその手に持っている道具でこれからマッサージをするのだと察したようだ。
「主、お体に触れてもよろしいでしょうか?」
シャオを跪き、アランの体に触れる許可を伺う。
二日ぶりのシャオのその姿をアランは見つめた。
「体はよいのか?」
「はい、この通り、問題ありません」
シャオは跪いたまま、アランに微笑む。
自分よりもアランの方が心配だった。何せ二日もマッサージをしていない。
体がどれほど強張っているのか。今日はいつもより時間をかけてマッサージをする必要がありそうだ。
「よい」
アランは簡潔にそう言い放つ。許可をもらったのでシャオはアランの体に手を伸ばした。
アランの身の包む寝間着の紐を解くと二日ぶりのアランの神々しい肌の美しさにシャオの喉がごくりと鳴る。それと同時に今朝の夢の内容が頭の中で再生し、顔が熱くなる。
ーー落ち着け! これはただのマッサージだ!
そう頭の中で自分を叱咤激励し、頭をよぎる夢の情景を追い出すように、頭を数度振るとシャオは湯に浸した布でアランの体を軽く拭いて行く。
念のため体の状態を見ながらだが、想像より体の強張りは酷くない。
ーーよかった
思わず顔が緩み、小さな笑みをシャオは向けた。
そのまま、手に香油をたっぷりと垂らし、アランの体の隅々まで丹念にマッサージをしていく。
「……ッ」
だが、二日ぶりのせいだろう、時折足の付け根などを押すとアランの顔がほんの少し歪んだ。
この押したときの痛みを痛いからとそのままにすると、後々足の痺れがひどくなる原因にもなるのだ。
アランには申し訳ないが、ここは心を鬼にし念入りに足の付け根を押していかねばならない。
「申し訳ございません、少しばかり、辛抱を」
「……」
足の付け根だけではなく、足のあちらこちらも痛いのだろう。
わずかながら力んだ顔をするアランを気にしないふりをしてシャオはマッサージを続けた。
ある程度、マッサージを続けるとアランの感じている痛みはなくなり、白を通り越し、青白い足にも血色が戻ってくる。その血色の良さにシャオの顔は達成感で綻んでしまう。
この調子で背中もやり続ければ、問題ないだろう。
「主、後ろを――」
「もう良い」
20
あなたにおすすめの小説
【完結済】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜
キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」
平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。
そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。
彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。
「お前だけが、俺の世界に色をくれた」
蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。
甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー
【完結】マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜
明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。
その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。
ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。
しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。
そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。
婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと?
シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。
※小説家になろうにも掲載しております。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。
みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。
愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。
「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。
あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。
最後のエンドロールまで見た後に
「裏乙女ゲームを開始しますか?」
という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。
あ。俺3日寝てなかったんだ…
そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。
次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。
「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」
何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。
え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね?
これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
炎の精霊王の愛に満ちて
陽花紫
BL
異世界転移してしまったミヤは、森の中で寒さに震えていた。暖をとるために焚火をすれば、そこから精霊王フレアが姿を現す。
悪しき魔術師によって封印されていたフレアはその礼として「願いをひとつ叶えてやろう」とミヤ告げる。しかし無欲なミヤには、願いなど浮かばなかった。フレアはミヤに欲望を与え、いまいちど願いを尋ねる。
ミヤは答えた。「俺を、愛して」
小説家になろうにも掲載中です。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる