死んだ姉の代わりなんて、できるわけが無い ~深窓令嬢嫁と無口夫~

ブリリアント・ちむすぶ

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姉妹

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 マナはラナが助けを呼びに行ったのを確認すると、少しでも雨風がしのげる木の下に身体を移動させる。
 少しの移動だけでマナの右足は炎を押し付けられているのかと思うほどに暑く、熱を持っている。
 さすっただけでもジンジンと痛む足をマナは眺めた。
 息を吐き、マナは大きくため息を吐いた。
 そして、ぽつりぽつりと話始める。

「…ミアナ、聞こえる?」
 
 ラナは言っていた。
 マナが見たミアナは偽物で、本当のミアナはマナのことを抱きしめているのだと。
 なら、マナの言葉が聞こえているはずだ。
 マナはゆっくり話始めた。

「…私、ミアナのことが大好きだった。ううん、大好き。貴方の幸せそうな顔を見ると、私までも幸せになった気分でいたわ」


 花の淑女といわれたミアナ。
 その名前に恥じることないミアナの美しさはマナがどれだけドレスを着飾り、髪を整えたとしても美しくなろうと全くかなわないものであった。
 それでも、この美しいミアナの妹としてマナは誇らしかったのだ。
 そのミアナの婚約者であるタルドもミアナを幸せにしてくれる存在として、マナは決してタルドのことを嫌いにはなっていなかった。

「貴女が亡くなって、いろんな人が悲しんだわ。私も、タルド様も、貴女のお友達も」

 ミアナの葬式は彼女を愛する人たちが会場を埋め尽くすほど集まり、彼女の死を皆で悼んだ。
 それをみてどれだけ自分と代わりたいと思ったことか。

「私、ミアナの妹として貴女に嫉妬したことなんて一つもなかった。貴女は太陽そのものよ。だから、私、貴女に抱かれて死ねるなら、きっと後悔はないわ」

 マナの瞳から涙があふれてくる。
 ミアナが逝ってしまった時、なぜ自分も一緒に行けないのだろうとマナは思った。
 そのままミアナの代わりとしてタルドと結婚するくらいなら、何度命を絶ってしまおうと思ったことか。
 けど、勇気が出なかったのだ。
 けど、今なら、きっとマナはミアナに抱かれて死ねる。
 
「……ミアナ」

 マナは、瞳をゆっくりと降ろそうとした時だった。

「マナ様!!!」
「マナ!」

 叫ぶように言われた自分を呼ぶ声に、マナは驚きながら上を見た。
 
「マナ様、お待たせいたしました!」

 ラナのはじけるほどの笑顔がマナの目にはどれだけまぶしく思えただろうか。
 
「マナ、大丈夫か!」

 こんな安心したような表情のタルドも、マナは初めて見た。
 マナの心の暗雲が少しずつ晴れていくのを感じた。
 それと同調するように、嵐の後の星空の美しさもまぶしいほどにきらめいていた。
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