よくある令嬢転生だと思ったら

甘糖むい

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エルシャールが目を覚ますと、見慣れない天井があった。

「私……」
「お目覚めになられましたかお嬢様」

どこか心配そうな表情でエルシャールの顔を覗き込むナーサ。
その顔を見て、エルシャールは自分が気を失ってしまったことを思いだした。

(そうだ、私、エルシャールの過去を思い出そうとして……)

「ごめんなさい、私……」
「謝らないでくださいな、怪我で発熱をされて気持ちが悪いでしょう?着替えますか?」

ナーサは申し訳なさそうな表情をするエルシャールに明るく声を掛けた。
ナーサに言われてエルシャールは身体を起こしながら頷くと、エルシャールは着替えをとって来る間にとナーサに薬とコップを手渡された。

水に口づけると、爽やかな香りがエルシャールの鼻を通りぬけた。

「……おいしい」
「もう一杯飲みますか?」
「いいえ、ありがとうございます」

喉を鳴らしてコップの中身を空にしたエルシャールの飲みっぷりを笑ったナーサはそう言ってくれたが、エルシャールは首を振って断ってコップをナーサに返した。

「では服を脱ぎましょうか、エルシャール様は身体を楽にしていてくださいね」

そう言ったナーサはあっという間にエルシャールの服を脱がしてしまう。
その手際に感心していると、今度は背中に温かいタオルが当てられた。

「痛かったり温度が適切でなければおっしゃってください」
「大丈夫です、気持ちいいです」
「お薬も塗りましょうね、ザジ製の物はとてもよく効きますから」

そう言ってナーサはエルシャールの清められた身体に軟膏を塗り広げる。
どこかで嗅いだことのある独特の香りの軟膏は冷たく、エルシャールが小さく悲鳴を上げると、ナーサは小動物を愛でるような声で笑った。

手際よく上半身を清められ、下半身もそのまま拭かれそうになってエルシャールは慌てふためいた。

「あの、私、自分でやります!」
「あら?そんなの私どもに任せて下さって構わないのに……」

そんなナーサの言葉にエルシャールは頭を横に振ってタオルを半ば強引に受け取ろうとしたが、ナーサは一枚上手だった。
エルシャールの手をかいくぐって、ナーサは動かせない足から順に汗を拭うと、エルシャールが制止する暇もなく全身をあっと言う間に綺麗に拭き終えた。

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