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「勿論、クレシー領で式をあげるでしょう? 既に教会の手配は終えておいたわよ! ドレスのデザインも、既に要望を伝えておいたわ!」
式の打ち合わせをする為にクレシー侯爵家へ出向けば、何故か業者と一緒に居たブリジット嬢が、笑顔でそんな事を言ってきた。
どういう事だという意味を込めて、ジャンへ鋭い視線を向けるが、ジャンは気が付く事なくブリジット嬢の方へ歩みを進めた。
「義姉さん、体調は大丈夫なのか?」
「大丈夫よ! ジャンの結婚式なのだもの! 私も張り切っちゃって」
「ありがとう! 流石、義姉さんだね」
「いや、関係ないだろ」
「マリー」
二人のやり取りに対し、私にだけしか聞こえないよう、ドスの聞いた小さな声で呟いたマリーに、牽制の意味で名前を呼んだ。
勿論、私も同じような言葉を二人に対して投げかけたい思いは十分すぎる程ある。だけれど、とりあえず今は、言葉の意味を理解するのが先だ。
「あの……クレシー領の教会を手配したとは……?」
「勿論、侯爵家の領地で式を挙げるのでしょう? 流石に侯爵家が子爵家に合わすのは……ね?」
ブリジット嬢は、貴族なのだから家格が上の方に合わせるのは当然よね、と言外に匂わせてきた。
それは、お互い親の意向を聞いて、二人で擦り合わせる予定だったのに……。
「ジャンも、わざわざ子爵の領地へ出向くなんて嫌よね?」
「そうだね、義姉さんの言う通りだ」
ちなみに、私の両親は、子爵の領地で小さな二次会程度のパーティでも良いから顔見せ程度にしようと言っていたのだ。……それはジャンにも手紙で伝えていた筈なのに。
ジャンとブリジット嬢のやり取りを目の当たりにするのは初めてで、ここまで義姉の言いなりだとは思わなかった。
仕方ない。私の領地ではパーティ程度をして、それにジャンも出席すれば良いだけだ。
「……ドレスの要望とは?」
1つずつ……その言葉を紐解いていくように。そして、私の中で整理できるように訊ねる。
「アンヌ嬢には絶対ベルラインのドレスが良いと思ったのよ! ウエストを細く見せられるし、お尻の大きさもカバーしてくれるわ! それにウエスト部分を少し上に持っていけばスタイルアップも狙えるし……あ、胸や腕をカバーする為にも長袖をお願いしておいたわ」
「流石、義姉さんだね! アンヌの為にありがとう!」
この馬鹿は気が付かないのか。
親切なアドバイスを進言するように、思いっきり私がけなされている事に。ウエストが太く、お尻が大きく、スタイル悪くて腕が太く、胸がないと言われているのだ。
貴族同士、言外に言葉の意味を含む事はあるけれど、ブリジット嬢はあからさまだと言うのに……。
これが次期クレシー侯爵で、私の旦那になると思えば、頭痛案件だ。
式の打ち合わせをする為にクレシー侯爵家へ出向けば、何故か業者と一緒に居たブリジット嬢が、笑顔でそんな事を言ってきた。
どういう事だという意味を込めて、ジャンへ鋭い視線を向けるが、ジャンは気が付く事なくブリジット嬢の方へ歩みを進めた。
「義姉さん、体調は大丈夫なのか?」
「大丈夫よ! ジャンの結婚式なのだもの! 私も張り切っちゃって」
「ありがとう! 流石、義姉さんだね」
「いや、関係ないだろ」
「マリー」
二人のやり取りに対し、私にだけしか聞こえないよう、ドスの聞いた小さな声で呟いたマリーに、牽制の意味で名前を呼んだ。
勿論、私も同じような言葉を二人に対して投げかけたい思いは十分すぎる程ある。だけれど、とりあえず今は、言葉の意味を理解するのが先だ。
「あの……クレシー領の教会を手配したとは……?」
「勿論、侯爵家の領地で式を挙げるのでしょう? 流石に侯爵家が子爵家に合わすのは……ね?」
ブリジット嬢は、貴族なのだから家格が上の方に合わせるのは当然よね、と言外に匂わせてきた。
それは、お互い親の意向を聞いて、二人で擦り合わせる予定だったのに……。
「ジャンも、わざわざ子爵の領地へ出向くなんて嫌よね?」
「そうだね、義姉さんの言う通りだ」
ちなみに、私の両親は、子爵の領地で小さな二次会程度のパーティでも良いから顔見せ程度にしようと言っていたのだ。……それはジャンにも手紙で伝えていた筈なのに。
ジャンとブリジット嬢のやり取りを目の当たりにするのは初めてで、ここまで義姉の言いなりだとは思わなかった。
仕方ない。私の領地ではパーティ程度をして、それにジャンも出席すれば良いだけだ。
「……ドレスの要望とは?」
1つずつ……その言葉を紐解いていくように。そして、私の中で整理できるように訊ねる。
「アンヌ嬢には絶対ベルラインのドレスが良いと思ったのよ! ウエストを細く見せられるし、お尻の大きさもカバーしてくれるわ! それにウエスト部分を少し上に持っていけばスタイルアップも狙えるし……あ、胸や腕をカバーする為にも長袖をお願いしておいたわ」
「流石、義姉さんだね! アンヌの為にありがとう!」
この馬鹿は気が付かないのか。
親切なアドバイスを進言するように、思いっきり私がけなされている事に。ウエストが太く、お尻が大きく、スタイル悪くて腕が太く、胸がないと言われているのだ。
貴族同士、言外に言葉の意味を含む事はあるけれど、ブリジット嬢はあからさまだと言うのに……。
これが次期クレシー侯爵で、私の旦那になると思えば、頭痛案件だ。
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