26 / 65
25.とりあえず話し合う
しおりを挟む
「悪かったな。俺はカイル・レイドワーク。レイドワークの第一子だ。」
「僕はセイン・レイドワークです。」
アリシアと再会し、アリシアから説明を受けた兄二人は、とりあえず周囲の声を聞くという事が出来るようになったようだ。
ちなみにアリシアは両サイドを兄二人によってキッチリと守られている。
兄達が乗ってきた馬は、既に満身創痍で寝転んでいる。
「植民地ねぇ」
興味なさそうにカイルが答える傍ら、セインは少し考え込んだ様子で、アリシアは少し不安そうな顔でセインを見る。
レイドワーク領は守りの要であるが故、長男であるカイルはひたすら武術・剣術・体術を学び領民の為に腕を奮っていたが、次男であるセインはカイルがほぼ魔獣を倒しきってしまう為、兄を支える為にと参謀として色んな知識を学んできていたのだ。
「…簒奪」
ポツリとセインが呟いた。
「別にアズールの国が欲しいわけじゃないなら、簒奪すれば良いのでは?」
「誰が次の王になるんだよ」
「ラルド殿下」
「嫌です。人間に囲まれるより獣人に囲まれたいです」
兄二人の話題に、即答で断りを入れるラルド様の理由も気になるが、簒奪という結論に至ったセイン兄の考えも気になる。
セイン兄曰く、第一王子から王太子の座を第二王子に変えるのは現状十分出来ることだが、どうしても国王が邪魔になるだろうとの事で、国王もろとも退いてもらうという事らしい。
ルフィル国の配下に置いたとしても、誰が統治するのかに問題が残るし、アズール国は獣人を認めて居ない為、国が乱れるだけで統治など出来ないだろうという。
レイドワークに人々が流れてくる事は予測しているが、どれだけの人数が来るのかもわからず、受け入れ可能な人数もそんなに多いわけではない。
このまま国が廃れていくが、獣人の配下になったとしてもレイドワーク領土に人間全てが集ってしまって結局受け入れる事も出来ず魔獣に襲われるという最悪な未来予測もあるのだ。
「狙ったかのように、ちょうど良くラルド殿下がいらっしゃるのなら、存分に活用すれば良いと思います」
「一応、私に殿下という敬称を使って目上だと理解しているのに、扱いが雑すぎますね」
セインのサラっと言ってのける不敬に対し、肩を震わせ笑いを嚙み殺しながらラルドが答える。
「脳筋長男、腹黒次男、破天荒妹か~」
「マユ?喧嘩売ってる?」
「いや、何かうまい具合な兄妹だから、どうにかなるかな~って」
マユが視線を彷徨わせながら、少し言いにくそうにしているのを、とっとと先を述べろと言わんばかりにジッと見つめる。
「うん。すでに王都の3割ほどが移動開始してるみたいね。レイドワーク領土に。……………王妃様も含めて」
最後の一文にとんでもない爆弾発言を付けて、マユが覚悟を決めたように答えた。
「僕はセイン・レイドワークです。」
アリシアと再会し、アリシアから説明を受けた兄二人は、とりあえず周囲の声を聞くという事が出来るようになったようだ。
ちなみにアリシアは両サイドを兄二人によってキッチリと守られている。
兄達が乗ってきた馬は、既に満身創痍で寝転んでいる。
「植民地ねぇ」
興味なさそうにカイルが答える傍ら、セインは少し考え込んだ様子で、アリシアは少し不安そうな顔でセインを見る。
レイドワーク領は守りの要であるが故、長男であるカイルはひたすら武術・剣術・体術を学び領民の為に腕を奮っていたが、次男であるセインはカイルがほぼ魔獣を倒しきってしまう為、兄を支える為にと参謀として色んな知識を学んできていたのだ。
「…簒奪」
ポツリとセインが呟いた。
「別にアズールの国が欲しいわけじゃないなら、簒奪すれば良いのでは?」
「誰が次の王になるんだよ」
「ラルド殿下」
「嫌です。人間に囲まれるより獣人に囲まれたいです」
兄二人の話題に、即答で断りを入れるラルド様の理由も気になるが、簒奪という結論に至ったセイン兄の考えも気になる。
セイン兄曰く、第一王子から王太子の座を第二王子に変えるのは現状十分出来ることだが、どうしても国王が邪魔になるだろうとの事で、国王もろとも退いてもらうという事らしい。
ルフィル国の配下に置いたとしても、誰が統治するのかに問題が残るし、アズール国は獣人を認めて居ない為、国が乱れるだけで統治など出来ないだろうという。
レイドワークに人々が流れてくる事は予測しているが、どれだけの人数が来るのかもわからず、受け入れ可能な人数もそんなに多いわけではない。
このまま国が廃れていくが、獣人の配下になったとしてもレイドワーク領土に人間全てが集ってしまって結局受け入れる事も出来ず魔獣に襲われるという最悪な未来予測もあるのだ。
「狙ったかのように、ちょうど良くラルド殿下がいらっしゃるのなら、存分に活用すれば良いと思います」
「一応、私に殿下という敬称を使って目上だと理解しているのに、扱いが雑すぎますね」
セインのサラっと言ってのける不敬に対し、肩を震わせ笑いを嚙み殺しながらラルドが答える。
「脳筋長男、腹黒次男、破天荒妹か~」
「マユ?喧嘩売ってる?」
「いや、何かうまい具合な兄妹だから、どうにかなるかな~って」
マユが視線を彷徨わせながら、少し言いにくそうにしているのを、とっとと先を述べろと言わんばかりにジッと見つめる。
「うん。すでに王都の3割ほどが移動開始してるみたいね。レイドワーク領土に。……………王妃様も含めて」
最後の一文にとんでもない爆弾発言を付けて、マユが覚悟を決めたように答えた。
34
あなたにおすすめの小説
異世界から本物の聖女が来たからと、追い出された聖女は自由に生きたい! (完結)
深月カナメ
恋愛
十歳から十八歳まで聖女として、国の為に祈り続けた、白銀の髪、グリーンの瞳、伯爵令嬢ヒーラギだった。
そんなある日、異世界から聖女ーーアリカが降臨した。一応アリカも聖女だってらしく傷を治す力を持っていた。
この世界には珍しい黒髪、黒い瞳の彼女をみて、自分を嫌っていた王子、国王陛下、王妃、騎士など周りは本物の聖女が来たと喜ぶ。
聖女で、王子の婚約者だったヒーラギは婚約破棄されてしまう。
ヒーラギは新しい聖女が現れたのなら、自分の役目は終わった、これからは美味しいものをたくさん食べて、自由に生きると決めた。
【完結】捨てられた聖女は王子の愛鳥を無自覚な聖なる力で助けました〜ごはんを貰ったら聖なる力が覚醒。私を捨てた方は聖女の仕組みを知らないようで
よどら文鳥
恋愛
ルリナは物心からついたころから公爵邸の庭、主にゴミ捨て場で生活させられていた。
ルリナを産んだと同時に公爵夫人は息絶えてしまったため、公爵は別の女と再婚した。
再婚相手との間に産まれたシャインを公爵令嬢の長女にしたかったがため、公爵はルリナのことが邪魔で追放させたかったのだ。
そのために姑息な手段を使ってルリナをハメていた。
だが、ルリナには聖女としての力が眠っている可能性があった。
その可能性のためにかろうじて生かしていたが、十四歳になっても聖女の力を確認できず。
ついに公爵家から追放させる最終段階に入った。
それは交流会でルリナが大恥をかいて貴族界からもルリナは貴族として人としてダメ人間だと思わせること。
公爵の思惑通りに進んだかのように見えたが、ルリナは交流会の途中で庭にある森の中へ逃げてから自体が変わる。
気絶していた白文鳥を発見。
ルリナが白文鳥を心配していたところにニルワーム第三王子がやってきて……。
私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!
近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。
「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」
声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。
※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です!
※「カクヨム」にも掲載しています。
「偽聖女」と追放された令嬢は、冷酷な獣人王に溺愛されました~私を捨てた祖国が魔物で滅亡寸前?今更言われても、もう遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢フィーア・エメラインは、地味で効果が現れるのに時間がかかる「大地の浄化」の力を持っていたため、派手な治癒魔法を使う異母妹リシアンの嫉妬により、「偽聖女」として断罪され、魔物汚染が深刻な獣人族の国へ追放される。
絶望的な状況の中、フィーアは「冷酷な牙」と恐れられる最強の獣人王ガゼルと出会い、「国の安寧のために力を提供する」という愛のない契約結婚を結ぶ。
偽聖女の汚名を着せられ婚約破棄された元聖女ですが、『結界魔法』がことのほか便利なので魔獣の森でもふもふスローライフ始めます!
南田 此仁@書籍発売中
恋愛
「システィーナ、今この場をもっておまえとの婚約を破棄する!」
パーティー会場で高らかに上がった声は、数瞬前まで婚約者だった王太子のもの。
王太子は続けて言う。
システィーナの妹こそが本物の聖女であり、システィーナは聖女を騙った罪人であると。
突然婚約者と聖女の肩書きを失ったシスティーナは、国外追放を言い渡されて故郷をも失うこととなった。
馬車も従者もなく、ただ一人自分を信じてついてきてくれた護衛騎士のダーナンとともに馬に乗って城を出る。
目指すは西の隣国。
八日間の旅を経て、国境の門を出た。しかし国外に出てもなお、見届け人たちは後をついてくる。
魔獣の森を迂回しようと進路を変えた瞬間。ついに彼らは剣を手に、こちらへと向かってきた。
「まずいな、このままじゃ追いつかれる……!」
多勢に無勢。
窮地のシスティーナは叫ぶ。
「魔獣の森に入って! 私の考えが正しければ、たぶん大丈夫だから!」
■この三連休で完結します。14000文字程度の短編です。
裏切られた氷の聖女は、その後、幸せな夢を見続ける
しげむろ ゆうき
恋愛
2022年4月27日修正
セシリア・シルフィードは氷の聖女として勇者パーティーに入り仲間と共に魔王と戦い勝利する。
だが、帰ってきたセシリアをパーティーメンバーは残酷な仕打で……
因果応報ストーリー
【完結】経費削減でリストラされた社畜聖女は、隣国でスローライフを送る〜隣国で祈ったら国王に溺愛され幸せを掴んだ上に国自体が明るくなりました〜
よどら文鳥
恋愛
「聖女イデアよ、もう祈らなくとも良くなった」
ブラークメリル王国の新米国王ロブリーは、節約と経費削減に力を入れる国王である。
どこの国でも、聖女が作る結界の加護によって危険なモンスターから国を守ってきた。
国として大事な機能も経費削減のために不要だと決断したのである。
そのとばっちりを受けたのが聖女イデア。
国のために、毎日限界まで聖なる力を放出してきた。
本来は何人もの聖女がひとつの国の結界を作るのに、たった一人で国全体を守っていたほどだ。
しかも、食事だけで生きていくのが精一杯なくらい少ない給料で。
だがその生活もロブリーの政策のためにリストラされ、社畜生活は解放される。
と、思っていたら、今度はイデア自身が他国から高値で取引されていたことを知り、渋々その国へ御者アメリと共に移動する。
目的のホワイトラブリー王国へ到着し、クラフト国王に聖女だと話すが、意図が通じず戸惑いを隠せないイデアとアメリ。
しかし、実はそもそもの取引が……。
幸いにも、ホワイトラブリー王国での生活が認められ、イデアはこの国で聖なる力を発揮していく。
今までの過労が嘘だったかのように、楽しく無理なく力を発揮できていて仕事に誇りを持ち始めるイデア。
しかも、周りにも聖なる力の影響は凄まじかったようで、ホワイトラブリー王国は激的な変化が起こる。
一方、聖女のいなくなったブラークメリル王国では、結界もなくなった上、無茶苦茶な経費削減政策が次々と起こって……?
※政策などに関してはご都合主義な部分があります。
完【恋愛】婚約破棄をされた瞬間聖女として顕現した令嬢は竜の伴侶となりました。
梅花
恋愛
侯爵令嬢であるフェンリエッタはこの国の第2王子であるフェルディナンドの婚約者であった。
16歳の春、王立学院を卒業後に正式に結婚をして王室に入る事となっていたが、それをぶち壊したのは誰でもないフェルディナンド彼の人だった。
卒業前の舞踏会で、惨事は起こった。
破り捨てられた婚約証書。
破られたことで切れてしまった絆。
それと同時に手の甲に浮かび上がった痣は、聖痕と呼ばれるもの。
痣が浮き出る直前に告白をしてきたのは隣国からの留学生であるベルナルド。
フェンリエッタの行方は…
王道ざまぁ予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる