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43.三馬鹿ではなく-マユside-
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「私、生贄じゃないんだけど?」
「存じていますが?」
あれから、ベタベタとしつこい馬鹿をかわそうとしても常に引っ付いてくるし、マユ~マユ~と煩い。
自分の名前が大嫌いになりそうな程だ。
しかも今回はストーカー王子だけでなく、ロイドとアスタまで敬ってくるのだ。
息苦しい。キモイ。
騎士達も禄に居ない王城なのだ。ついうっかり昏睡させて倉庫っぽい場所へ放り投げてきた以上、そう簡単に見つからないからバカ三人を起こされる事もないだろう。
というわけで、苦言を呈しにリスタの元へ来たのだ。
「三馬鹿じゃなかったの?」
「三馬鹿とは?」
「馬鹿三人組」
「……それは殿下、ロイド、アスタの三人ですか?」
リスタは、サラリとその三人の名前を挙げたが、殿下が入っている以上は不敬なんじゃないかな、と思いつつ、きちんと訂正だけはしておく。
「殿下は馬鹿王子、もしくはストーカー王子だね」
「ストーカーとは?」
「異常な執着で付きまとう人?」
「あぁ…」
少し間を置いて何かを考えているのだろう。表情は変わっているようには見えないが。
「マユはレイドワーク嬢とそう呼んでいるのですね」
「いや、精霊ネットワークでそう呼んでるだけ」
「どういう事か色々お伺いしても?」
特に話しても問題ない話題ばかりなので、獣人達との関わり含めて精霊達の事も話していくと、明らかにリスタの表情が驚き、怪訝となり、最後は笑いだした。
「知らぬは人間のみ!我が国の愚かさはそこまで広がったか!」
ほとんど表情を変えることなく淡々としていたリスタが笑っている事にマユも驚きを隠せない。
「それで?聖女様はそちらが本性なのですか?」
「話を聞いてくれない人の前で話すのは疲れません?」
別に隠していたわけでもない、と暗に隠したような言葉で返すと、リスタは成程と更に笑う。
「そして聖女様の目的は何でしょうか」
「リスタも馬鹿ではなさそうなのに、どうしてこの状況を放っておくの?」
核心を突くような言葉に、こちらも核心を突く言葉を返す。
「馬鹿なのは上層部であって、リスタは違うみたいだけど?」
更に言い募った私の言葉に、リスタの瞳に少しだけ悲しさが宿ったような気がした。
そして言ってから気がついたのだ。
上層部のみ…リスタ一人だけがマトモでも、気がついても、どうにかできるものなのだろうか。と
上司に…トップに意見できるのか?できても通るのか?むしろ自分の意見なんて………
そうだ。リスタは常に合わせていた感じがする。余計な事は何も言っていない。
王子の言った事のみを私に繰り返し
王子の望むように私に言葉を紡ぎ
王子が希望する言動を行う
「…ごめんなさい」
つい謝罪が口についてしまったのは、向こうの世界での癖かもしれない。
私の考えに気がついたのか、少し苦笑してリスタはこう言った。
「私は…ただ見ているだけですよ。」
「存じていますが?」
あれから、ベタベタとしつこい馬鹿をかわそうとしても常に引っ付いてくるし、マユ~マユ~と煩い。
自分の名前が大嫌いになりそうな程だ。
しかも今回はストーカー王子だけでなく、ロイドとアスタまで敬ってくるのだ。
息苦しい。キモイ。
騎士達も禄に居ない王城なのだ。ついうっかり昏睡させて倉庫っぽい場所へ放り投げてきた以上、そう簡単に見つからないからバカ三人を起こされる事もないだろう。
というわけで、苦言を呈しにリスタの元へ来たのだ。
「三馬鹿じゃなかったの?」
「三馬鹿とは?」
「馬鹿三人組」
「……それは殿下、ロイド、アスタの三人ですか?」
リスタは、サラリとその三人の名前を挙げたが、殿下が入っている以上は不敬なんじゃないかな、と思いつつ、きちんと訂正だけはしておく。
「殿下は馬鹿王子、もしくはストーカー王子だね」
「ストーカーとは?」
「異常な執着で付きまとう人?」
「あぁ…」
少し間を置いて何かを考えているのだろう。表情は変わっているようには見えないが。
「マユはレイドワーク嬢とそう呼んでいるのですね」
「いや、精霊ネットワークでそう呼んでるだけ」
「どういう事か色々お伺いしても?」
特に話しても問題ない話題ばかりなので、獣人達との関わり含めて精霊達の事も話していくと、明らかにリスタの表情が驚き、怪訝となり、最後は笑いだした。
「知らぬは人間のみ!我が国の愚かさはそこまで広がったか!」
ほとんど表情を変えることなく淡々としていたリスタが笑っている事にマユも驚きを隠せない。
「それで?聖女様はそちらが本性なのですか?」
「話を聞いてくれない人の前で話すのは疲れません?」
別に隠していたわけでもない、と暗に隠したような言葉で返すと、リスタは成程と更に笑う。
「そして聖女様の目的は何でしょうか」
「リスタも馬鹿ではなさそうなのに、どうしてこの状況を放っておくの?」
核心を突くような言葉に、こちらも核心を突く言葉を返す。
「馬鹿なのは上層部であって、リスタは違うみたいだけど?」
更に言い募った私の言葉に、リスタの瞳に少しだけ悲しさが宿ったような気がした。
そして言ってから気がついたのだ。
上層部のみ…リスタ一人だけがマトモでも、気がついても、どうにかできるものなのだろうか。と
上司に…トップに意見できるのか?できても通るのか?むしろ自分の意見なんて………
そうだ。リスタは常に合わせていた感じがする。余計な事は何も言っていない。
王子の言った事のみを私に繰り返し
王子の望むように私に言葉を紡ぎ
王子が希望する言動を行う
「…ごめんなさい」
つい謝罪が口についてしまったのは、向こうの世界での癖かもしれない。
私の考えに気がついたのか、少し苦笑してリスタはこう言った。
「私は…ただ見ているだけですよ。」
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