【完結】悪役令息の義姉となりました

かずきりり

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 だから私は知らなかった。見ていなかったのだ。
 ルイスがゲームの通り、冷酷な……人を射殺すような瞳をしていた事に。

「義姉上……」

 ぎゅっと、抱きしめる力を一瞬強めたルイスの、甘い零れるような声。
 うはぁ! 音声の破壊力! ムービーなら絶対に繰り返し見てる!
 録音機材がない後悔に襲われつつも、甘い声に悶えて動けなくなっている私を、ルイスはソッと引き離す。
 あぁっ! 香りが! 温度が!

「先に教室へ行っていて下さい……人目が多くあるか気にしながら」

 周囲を見渡せば、それなりに人が戻って来ており、いつもの光景がみられる。
 あの騒動がなければ、人が居なくなる事もなかったと思うのだけれど……。

「私達が連れていくわ」
「お助け出来なくて申し訳ありません」
「しっかりと見ていましたので、証言が必要ならばさせて頂きます」

 姿を現したのは隣国の王女殿下達だ。
 まさか見ていたとは……変な事を言っていないよね? ……ヒロインは言っていた気が……? ……いつもかな?
 あれ? まさか本来は悪役令嬢である王女殿下達繋がりのイベントだったりする? 私が間違えた位置に居たとか?

「証言だけで助かります。……王太子殿下に今も影は」
「付いていますわ。両国から」
「ありがとうございます。では、ミアをよろしくお願いいたします」
「えぇ」

 首を傾げて、自分一人思考の海へと耽っていれば、ルイスは王女殿下と何やら小声で話した後、どこかへ駆け出して行った。
 そして私は、王女殿下達と談笑しながら、まさかの教室まで連れて行ってもらうという恐れ多い事をしてもらったわけだが、教室に付いてからは人目があるだろうと更に考えを巡らせた。
 王女殿下と話していても、到底悪役令嬢とは思えない。悪役令嬢がヒロインを階段から突き落とすようなシーンがあっただろうか。
 いや、どうでも良いシーンに関しては、スキップ推奨していた気がする。

「まぁ、良いか」

 どうせルイスルートは分からない。
 ご都合主義とか、強制力とか、そういうのが働くだろう。
 気が付けば授業が始まる時間まで、あと少しという所。まだルイスの姿は教室にないなと見渡していれば、ルイスが教室へ戻って来たタイミングで、開始のベルが鳴り響いた。





「ルイス、どこ行くの?」
「……」

 昼食の時間になると、ルイスは無言で私の手を引き、どこかへ向かっている。
 どこで食べても良いのだけれど、ルイスはヒロインとの逢瀬があるのではないかと今もまだ思うのだけれど……。そこに私が居ては、育める愛も育めなくなる。
 ルイスは外に出ると、中庭に向かうだろう道を歩んでいく。
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