【完結】悪役令息の義姉となりました

かずきりり

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 自分の事に対して、あまりにも無頓着すぎる私に、両親やルイスは呆れつつも、しばらくゆっくり休んで怪我を治すよう言った。
 怪我の炎症からか、少し熱が出たりして身体がだるかった事もあり、お言葉に甘えさせてもらった。
 正直、今現段階でのシナリオ進行はどうなっているのかとか、学院に行っているルイスとヒロインはどうしているのかとか。気になる事は盛りだくさんで、スチルやイベントをこの目で拝めない事が何よりも悔しい!
 その反面、胸も痛む。

「ルイス……」

 好きだと気が付けば、独占欲や嫉妬心というものが沸き起こってきて、心を締め付ける。
 ヒロインではなく、私が幸せにしたいという思いが勝り、ルイスの意思より私がルイスの側に居る事を望んでしまうのだ。

 ――恋とは、なんて面倒なものなのだろう。

 だけれど、それも最初だけなのだろう。
 いつしか、居ても居なくても同じような空気となるのだ。そして、奴隷のような扱いになってしまうだろうというのは、前世の記憶からだ。
 ルイスはそんな事をしないという思いの反面、そうなってでも側に居たいという気持ちもある。

「……安心する……」

 私は、邸に使用人以外が居ない時間に、ルイスの部屋へと忍び込んでハンカチをこっそり拝借してきた。
 ルイスの匂いに、心が落ち着く。
 いつも側に居て、守ってくれて……ゲームでは触れる事のなかった、現実に存在する証。

「お嬢様」
「はい!?」

 ノックと共に声をかけられ、驚いた私はルイスのハンカチを枕の下へと隠す。
 入って来たのはコランで、飲み物を持ってきてくれたようだ。

「お嬢様、具合はいかがですか?」
「もう大丈夫!」
「……腫れは引いているようですが、まだ少し傷が残っていますね」

 これくらい、かすり傷! と言いたいのだけれど、そのかすり傷ひとつで悲観する令嬢達が多いのだよねと、遠い目をする。
 転んで擦り傷を作るのは、ある意味当たり前だし、仕事だ家事だで走り回っていれば、どこかでぶつけて痣どころか薄皮が向ける事だって当たり前なのに。
 お淑やかすぎるのも問題なのではないかと、貴族社会に溜息をついていれば、コランはそんな事を意にも介さず本題に入った。

「本日、公爵様が御戻りになられたら、皆さまにお話があるそうです」
「え、夕飯は?」
「……夕食の席で、お話になられるでしょう」

 あまりに食い意地が張っているのは分かっている。
 コランも、ポーカーフェイスだけれど、一瞬間があった事で呆れているのが分かる。
 ……だって、話が長くなるようだったら、なかなか夕飯にありつけないんだよ? 嫌じゃない?
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