【完結】私が奏でる不協和音

かずきりり

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「あ~……そんな事が……」

 私から話を聞いた明里さんは頭を抑えて項垂れ、考えこんだ。
 即答でどちらが悪いと言うわけでもなく、無条件に私の考えに肯定する事もない明里さんには更に信頼という感情が込み上げる。
 否定はされたくないと思うけれど、頭ごなしに肯定して欲しいわけでもないからだ。
 ……どこか冷静になれている自分は、少しは成長しているのだろうか。
 自分では分からないけれど、そんな事を少し望みながら明里さんの反応を伺っていれば、溜息をついて話始めた。

「とりあえず少し位なら居ても良いけど、自分の感情に整理をつけたらちゃんと戻りなよ?」
「もちろん」

 少しだけでも居られるならありがたい。
 まだ母親から逃げられる程、自立しているわけでもないのだ。

「……自分で自立出来ているなら問題ないけど、未成年だと部屋を借りるのも難しいし……収益化も」

 言われて気が付いた。
 全ては十八歳以上になっていた筈だ。親の承諾等があれば別だけれど、しっかり稼ぐとなれば難しいだろう。

「……何とか他で出来ないかな」
「今のうちに再生数を伸ばしたり、名前を売ったり……? そういえばバイトでも親の同意書なかったっけ?」
「……自分で……」
「まぁそうなるよね」

 自分で責任が取れない、親の庇護下に居る学生としては厳しい所だ。
 いっそ高校生じゃなければ別なのだろうかとも思うけれど、それでも未成年には変わりない。

 ――中途半端な年齢。

 そんな風に感じてしまう。
 自由に選びたいと思うのに、自由に選べない。
 これから先、将来に向けて考えていきたいのに、全てにおいて親の同意がなければ難しい。かと言って、トラブルに見舞われた時、対処できる程、社会を知っているわけでもないし知識があるわけでもない。
 そして……無知ゆえに選択を誤る時があるのも確かだ。
 私は私の選択が間違っているとは思わないけれど。
 それでも……こうやって家を出る事は良いと思っているわけでもない。

「少しでも私の話を聞いてくれるなら……」

 話し合いという、お互いがお互いの意見を言い合って、聞く。
 それだけでも出来たならばと思うけれど、他人を自分の意に染めて動かす事なんて出来ない。
 親であれ、所詮は他人。自分とは別の人間なのだから。

「何か……聞いてると本当に毒親としか思えないもんねぇ……」

 遠い目をする明里さん。明里さんも色々と思う事はあるのだろう。
 親に自分の道を閉ざされる……そんな悔しい事はない。
 きっと歌に出会わなければ、そんな事すら私は思わなかったのだろうけれど。
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