【完結】私が奏でる不協和音

かずきりり

文字の大きさ
38 / 57

38

しおりを挟む
「絵里の名前を使っても、そんなにかー」
「いや、私もそんな有名なわけではないから」
「営業って難しいのね」

 明里さんのマイクを借りて録音したり、様々な曲を歌ってみた。
 だけれど、全てにおいて再生数は迷走しているし、登録者やフォロワーが伸びる事もない。
 東さん達も考えてはくれているようだけれど、所詮はまだ社会に出ていない高校生という事だろう。明確な答えなんて分かるわけもない。

「絵里の方法とは、また違うだろうしなー」
「言ってしまえば推し活や広告収入のようなものでしょう? 名前を売るといっても……」

 働いたら稼げる、一定の収入が入るというわけではないからこそ、どうして良いのか分からなくなる世界だ。

「推しになれたら強いのかもしれないけど……」
「その、推しになる方法が分からないよね……」

 推しがいない私には全く分からない世界でもある。
 だからこその方法がサッパリすぎるのだが。知らなさ過ぎて、わけがわからなくなりそうだ。

「いっそアニメ画像でも用意する……?」
「それ、方向間違ってない?」
「間違ってる……わけではない……かな」

 確かに配信をメインとしている人が歌ったりもしているけれど、私がメインにしたいのは歌なのだ。
 ゲーム実況や雑談なんて出来そうにない。出来るわけがない。
 色んな趣味があって、得意な事がある人には出来るかもしれないけれど、私には他に出来る事もないのだ。
 あーでもない、こーでもないと相談してくれる。けれど、どれをとっても更に迷走する気がする。

「……詰んだ……」

 絶望的な言葉が私の口から洩れる。
 もうここで自分の実力は限界を見たのか。
 でもまだ機材を揃えるとか、MIXを完全なプロに頼むとか。更に言うならボイストレーニングに通うとかいう手段もある。ただ、その全てにお金という先行投資が必要になるわけで……今の私は持っていないものだ。

「就職してから……とか?」
「仕事していると学生の時みたいに時間がなくなるとは聞くけど……」
「全部、そうなってからじゃないと分からないやつだよね~」

 そうだ。
 結局、先の事なんて誰にも分からない。

「今出来る事と言えば、コツコツ歌をあげていく事と、自分なりのボイストレーニングじゃない?」

 結局これしかないと答えを出した時、私のスマホが震えて何かを受信した事を伝えた。
 画面を見れば、SNSにDMが届いたようなのだが、見知らぬ名前だった。
 と言っても、私が絡んでいるような相手なんて居ないのだけれど……。その名前を見た時、私は今この瞬間全てが夢なのではないかと目を疑った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

地味男はイケメン元総長

緋村燐
青春
高校一年になったばかりの灯里は、メイクオタクである事を秘密にしながら地味子として過ごしていた。 GW前に、校外学習の班の親交を深めようという事で遊園地に行くことになった灯里達。 お化け屋敷に地味男の陸斗と入るとハプニングが! 「なぁ、オレの秘密知っちゃった?」 「誰にも言わないからっ! だから代わりに……」 ヒミツの関係はじめよう? *野いちごに掲載しているものを改稿した作品です。 野いちご様 ベリーズカフェ様 エブリスタ様 カクヨム様 にも掲載しています。

女子小学五年生に告白された高校一年生の俺

think
恋愛
主人公とヒロイン、二人の視点から書いています。 幼稚園から大学まである私立一貫校に通う高校一年の犬飼優人。 司優里という小学五年生の女の子に出会う。 彼女は体調不良だった。 同じ学園の学生と分かったので背負い学園の保健室まで連れていく。 そうしたことで彼女に好かれてしまい 告白をうけてしまう。 友達からということで二人の両親にも認めてもらう。 最初は妹の様に想っていた。 しかし彼女のまっすぐな好意をうけ段々と気持ちが変わっていく自分に気づいていく。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

処理中です...