【完結】ネットゲームで知り合った配信者に恋をした

かずきりり

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『しぃ、今までみたいに距離感を保って、コメントしない方が良いんじゃないか?』

 怖い。
 けれど、ここまで好きという気持ちを全面に出せるのは凄いと思う反面、気持ちが悪い。

『ネットリテラシーは、どこに行ったんだろうねぇ』
『何それ? ネットマナー的なの?』
『そそ。ロイナルちゃんねる、民度が低く見えるなぁ』

 結局、話題だけでなく気分も変えられず、気持ちが落ち込んだままグループメッセージはそこで終わった。
 配信や動画のアップがなくとも、コメント欄でリスナー同士が絡むという中、ロイさんからは他愛ないメッセージが来る日々。
 ロイさんは気にしていないのだろう。
 私もあえて、そこを聞いたりはしない。知らないふりだ。
 いちいち言ってしまえば監視されているように思えて、不快な気分にさせてしまうかもしれない。だったら、見なければ良い話なのだけれど、どうしても気になってしまう。それは、私の悪いところなのだろう。

『週末だから、今夜は配信するよ!』
『やった! 楽しみ!』
『そして休日は動画編集に勤しみます(笑)』
『脳に休日がない(笑)』

 いつもと変わらないやり取りだが、ロイさんの報告を素直に喜べない自分が居る。
 どこか複雑で、いっそ教えてくれなければ良いのにと思うのは、見たくないコメントが多々あるからだろうか。それでも、教えられた配信時間までに仕事と家事を終わらせ、準備万端で待機してしまうのだ。

 さくら:いちばんのりにゃー!
 ひなたん:流石さくらちゃん! 負けたぁ。

「はぁ……」

 待機画面になった途端、打ち込まれたコメントに溜息が出た。これだけで既に気分は憂鬱で、楽しみにしていた気持ちが激減している。

 さくら:ひなたんしゃん、こんばんわぁ。
 ひなたん:さくらちゃん、こんばんわぁ! 配信楽しみだね!

 二人だけの世界が繰り広げられている。
 これを見ている人の事なんて、きっと何も気にしていないのだろう。なんか、とてつもなく不愉快だ。

「こんばんわ! 今日は新しいエリアの探索をしようと思います」

【ひなたん:コイン×100 きゃ~! ロイたん(はぁと)】
【さくら:コイン×100 待ってたにゃ(はぁと)】

「いや、投げなくて良いって」

 ロイさんの声で気分が浮き上がるかと思いきや、コインとコメントで一気に気分を害した。
 呆れ果てた、無機質なロイさんの声も良いけれど、ひなたんに対して不快さだけが増していく。

 神楽:まだ行ってないや! よろしく!
 ひなたん:あ、神楽ちゃんも居るぅ~!

 神楽さんにまで、と思ったのだけれど、ひなたんのコメントに対して神楽さんは返事をする事がない。
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