【完結】ネットゲームで知り合った配信者に恋をした

かずきりり

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「誰だろう」

 DMのボックスを開けば、差出人と件名に目を奪われた。
 久しぶりというタイトルでDMを送ってきていたのは、ロイさんだったのだから。
 一週間前に届いていたDM。
 自分からブロックしたくせに、ロイさんからのメッセージだと心が喜んで浮足立ち、すぐにメッセージを開く。

『元気してる? 配信も来なくなったみたいだし、ゲームもログインしてないみたいだね。』

 きちんと私の事を見てくれているのだという事に嬉しさを覚えながら、文章を読み進める。

『配信だけじゃなく、ゲームも楽しくなくて、ほとんどやってない。推し活とか意味の分からない事に巻き込まれた感があるし。べびぃどぉるが会おうってうるさいから一度会ったけど、すぐに解散したし。Hもしてないのに付き合えとか言い出すだけでなく、自分が彼女だと言い張って他の視聴者に喧嘩は売るし。ゲームするより私との時間を取ってとか意味の分からない事を言い出す始末で、手に負えなくなって疲れた』

 それはそうだろう。連絡先を交換して、あれだけ他者に対して牽制していたのだ。連絡内容だって、明らかに気があるものだったではないか。ロイさんも分かっていて、メッセージのやり取りをして会ったのではないのか。
 溜息が出てしまう。
 分かり切っていた事だろうとしか言えないのだ。これは女の感というやつで、男には分からないのだろうか。
 そして、会ったという一点において、心が鈍く痛む。
 Hはしていないと言うけれど、本当かどうかも分からない。まぁ、私にしていないと言い切る理由もないから本当なのかもしれないけどと、呆れながら更に文章を読む。

『しぃが居る時代が一番良かった。しぃと会って一緒に居る時間は楽しかった』

 ドキリと鼓動が高鳴る。
 誰かと比べられるのは嫌だけど、それでも楽しかったと言われれば、やはり嬉しいものなのだ。
 勝ち負けではないのだろうけど、べびぃどぉるに勝ったという優越感が少しだけ沸き起こる。

『また会いたい。良かったら落ち着いた頃にでも連絡して欲しい。俺はしぃの事をブロックしていないし、これから先もする気はないから。しぃには凄く感謝してる』

 全てを読み終えたと同時に、時が止まったかのように思考も停止する。
 これは誰からのDMだったろうという考えがよぎる程、ロイさんからとは思えなかった。だって、都合よく扱われていた筈だ。面倒臭い女なんて切り捨てて終わりで良いじゃないか。
 べびぃどぉると比べて良かったと言ったって、他にも女なんて居るのに。そんな思考が頭の中を駆け巡る。
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