【完結】異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり

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第一章

22.街へ

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「ミズキ様、少し気分転換に街へと出ませんか?」

 子どもに自立度で負けた。
 そんな悔しさから必死に生活魔術だけでも完全にしてみせると意気込んで頑張っていたところ、デイルからそんな提案を受けた。

「お守になるのに?」
「護衛ですよ」

 苦笑して答えるデイルに、私は少し考えこむ。
 金銭感覚は勿論の事、物の相場も分からない。というか、紙幣価値がまだそこまで理解していないからだ。
 街へ下りる事には興味がある。自立の為にも。ただ手をかけさせるのも申し訳ないというか……。
 チラリとデイルの方へ視線を向けると、にっこりと微笑んでいる。

「なら、行こうかな」
「ではそう手配してきます」

 何の手配があるのだと突っ込みたくなったけれど、デイルは出かける準備をよろしくとメイドへと伝え、どこかへ行ってしまった。
 これだけの帰還、常に一緒に居れば、それなりに気も緩んでくる。
 最初は事務的だったデイルも、今や優しい……というか、他の護衛騎士達を見る限り、世話する事もなく、ただ側に居るだけのようだった。
 比較的デイルは、まだ良い方なのか……?

「聖女……か」

 恵は相変わらず必死に帰る方法を模索している。
 そして、ロランの事が気になった。恵を聖女にする事で何があるというのだろう?
 考えていると、眩暈がした。

「……疲れてるのかな」

 座っていて良かった。
 デイルの言う通り、街へと出たら気分転換にもなるだろう。

「お待たせしました」

 そして私は戻ってきたデイルと共に、街へと繰り出した。







「あれ? 瑞希?」
「真……?」

 街へ下りて散策していれば、何故か真とバッタリ出会った。
 両手には美味しそうな串焼きを持っていて、いかにも充実してそうに見える。てか充実しているだろうな!

「瑞希も息抜き?」
「てか、初めて街へ来たんだけど……」
「え、そうなんだ?」

 ……これ、何回も街へ来ている人の反応だ。
 私達が勉強している間、真は自由気ままに過ごしていたのだろう。

「神殿の食事に比べると、街の方は……まだマシ、といったところかな。おすすめは屋台だよ」
「そうなの?」

 それは良い情報だ。
 自由気ままな真様々だ。

「……食事がお口に合わないと?」
「まぁ……」

 首を傾げるデイルに、言葉を濁す。
 発酵しまくっただろうチーズに、塩辛いハム。全ては腐食防止なのだろうけれど……。後の料理は、ほとんど味がしない。もはや素材の味だけで楽しめというのだろうけれど、それなら野菜サラダだけで良いとすら思える。

「故郷の味に比べると……ねぇ」

 真もフォローを入れてくれるけれど、国によって味は違うからねとポツリと言った。
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