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第一章
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「ロラン……っ!?」
アンドリューは、その場に視線を彷徨わせ、デイルはロランが着ていただろう服を確かめる。
「剣だけでなく、階級証書もそのままで……身分証まで!?」
「なんだと!?」
デイルの言葉に、アンドリューは声を荒げ、ウィルは目を見開いている。
身分証は貴重品に分類されるものだとは思うのだけれど……と、私は琴子やキィに視線を彷徨わせると、王太子はそれに気が付いて説明してくれた。
「盗まれて悪用でもされたら大変だから、基本的には肌身離さず持つものだ。階級証書なんて自分のプライドと同じ。剣なんて命のようなものだ……」
「自ら置いて離れたとは、到底考えられませんね……」
王太子の言葉に続くように、枢機卿まで険しい表情で言葉を付け足した。
ならば、本当に人だけが消えたというのか。
そんな事、現実的にありえない。
「恵は……っ!?」
私は周囲を見渡す。恵は贈り人用の白い服を自分なりに改造したり、元の世界での服を好んで着ていた。
だけれど、恵が着ていたような服は周囲にない。
「護衛騎士が離れる事なんてあり得ないのだが……」
デイルもそう言って、恵の服らしきものを探す。琴子やキィ、アンドリューやウィルも捜索し、王太子と枢機卿は視線で追えるだろう少し離れた範囲を探すけれど、それらしいものは見つからなかった。
「……恵様が居た邸へ向かいましょう」
「……恵……」
一体、何が起きたというのか。
心の中に不安が渦巻く中、私達は領主の邸へと向かう。
同じような景色が広がる中、中央にある広大な土地と大きな邸の前へと来た。ここが領主の邸だろう。他の家とは比べ物にならないくらい広くて豪華だ。
「恵の部屋はどこだったんですかね?」
「離れの塔だ」
真の質問に対して、王太子が答えた言葉に嫌悪感を感じた。
……部屋じゃなくて、塔って。
まるで隔離されたかのような。それこそ絵本の魔女にも思える扱いだ。
恵は罪人なのか? 王太子にとって邪魔で罪人でしかないのか?
「なるほど。あそこなら力が暴走したとしても、そこまで被害は及びませんな」
遠目に見える塔を見て、枢機卿は納得の言葉を放つ。
「あぁ。塔に籠っても、ひたすら研究していたと報告は受けている。……行ってみよう」
「……何事もなければ良いのですが……」
ポツリと呟いた枢機卿の言葉は、王太子に届く事なく私達の耳にだけ届いたようで、王太子は先をすたすた歩いていく。
何事も……?
むしろ大事になっていると思うのだけれど。
そんな言葉が胸に引っかかりつつ、私も塔へと向かって歩く。
アンドリューは、その場に視線を彷徨わせ、デイルはロランが着ていただろう服を確かめる。
「剣だけでなく、階級証書もそのままで……身分証まで!?」
「なんだと!?」
デイルの言葉に、アンドリューは声を荒げ、ウィルは目を見開いている。
身分証は貴重品に分類されるものだとは思うのだけれど……と、私は琴子やキィに視線を彷徨わせると、王太子はそれに気が付いて説明してくれた。
「盗まれて悪用でもされたら大変だから、基本的には肌身離さず持つものだ。階級証書なんて自分のプライドと同じ。剣なんて命のようなものだ……」
「自ら置いて離れたとは、到底考えられませんね……」
王太子の言葉に続くように、枢機卿まで険しい表情で言葉を付け足した。
ならば、本当に人だけが消えたというのか。
そんな事、現実的にありえない。
「恵は……っ!?」
私は周囲を見渡す。恵は贈り人用の白い服を自分なりに改造したり、元の世界での服を好んで着ていた。
だけれど、恵が着ていたような服は周囲にない。
「護衛騎士が離れる事なんてあり得ないのだが……」
デイルもそう言って、恵の服らしきものを探す。琴子やキィ、アンドリューやウィルも捜索し、王太子と枢機卿は視線で追えるだろう少し離れた範囲を探すけれど、それらしいものは見つからなかった。
「……恵様が居た邸へ向かいましょう」
「……恵……」
一体、何が起きたというのか。
心の中に不安が渦巻く中、私達は領主の邸へと向かう。
同じような景色が広がる中、中央にある広大な土地と大きな邸の前へと来た。ここが領主の邸だろう。他の家とは比べ物にならないくらい広くて豪華だ。
「恵の部屋はどこだったんですかね?」
「離れの塔だ」
真の質問に対して、王太子が答えた言葉に嫌悪感を感じた。
……部屋じゃなくて、塔って。
まるで隔離されたかのような。それこそ絵本の魔女にも思える扱いだ。
恵は罪人なのか? 王太子にとって邪魔で罪人でしかないのか?
「なるほど。あそこなら力が暴走したとしても、そこまで被害は及びませんな」
遠目に見える塔を見て、枢機卿は納得の言葉を放つ。
「あぁ。塔に籠っても、ひたすら研究していたと報告は受けている。……行ってみよう」
「……何事もなければ良いのですが……」
ポツリと呟いた枢機卿の言葉は、王太子に届く事なく私達の耳にだけ届いたようで、王太子は先をすたすた歩いていく。
何事も……?
むしろ大事になっていると思うのだけれど。
そんな言葉が胸に引っかかりつつ、私も塔へと向かって歩く。
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