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第一章
42.復興作業
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「え、どういう事?」
琴子が真に訊ねる。王太子や枢機卿にも声が聞こえていたのか、首をかしげて真へと視線を向けていた。
「いや、これには身体錬金の事は書かれてるけど……精神とか魂についてはないから……」
――戻れたとして、精神が向こうで無事だと良いけれど。
そんな真の言葉に、私はただ茫然と立ち尽くし、琴子はそんなっ! と小さく呟いて瞳を潤ませた。キィはいまいち理解をしていないようで、近くにあった書物へと視線を落とした。
「……魔法陣の撤去をしよう」
「ロランの弔いを……いや、辺境に住んでいた人々の弔いをしましょう……」
王太子や枢機卿の目には、もう私達への怯えといったものは見えなかった。不完成に見える魔法陣は、ただの大量虐殺で終わったのだ。
震え、涙を流し、意味を理解していないような贈り人に脅威は感じられないのだろう。
……それでも、これを完成させて命を奪った恵は、とても優れていたのではと思えてしまう程だけれど。
「これ。神力で植物の生長を促すとかあるんだけど、私達で何か出来ないのかな?」
キィが私達に見せてきた書物には、植物成長について書かれた項目だ。
「魔法陣には関係ないと思っていたけど……これなら少しは使えないかな?」
「そうだな……復興を手伝ってもらえないか? このままだと数十年……いや、数百年は人が住めない土地になりそうだ」
「ありがとうございます、キィ様」
感謝を表すように、だけれどキィは子どもだからか、枢機卿は優しく目を細めてキィの頭を撫でた。
それからは復興に力を尽くした。
神力によって土壌を復活させ、草木も復活させる。
ただ神力を使うだけでは難しいから、向こうの知識を少しかいつまんでみた。護衛騎士達に土を柔らかくしてもらい、肥料になりそうなものを持ってきてもらって、それの促進を神力でさせたり。
こんなので恵が起こした問題への贖罪にはならないだろうけど。というか私が罪悪感を抱く必要もない。
……けれど、止められなかったというのはあるかもしれない。
帰りたがっていた事を知っていた。
研究している事も知っていた。
執着が酷い事も理解していたけれど、諦めない恵を応援したかった気持ちもあったのは確かだ。
それで引き起こされた惨劇で……。罪悪感が私を蝕んでいる。
やはり元日本人同士で贈り人という境遇に立たされた者同士の仲間意識もあったから余計だろう。
「……草? 草が生えてきた!」
街の方は国の兵達により片付けられ、皆で土地の再生を試みている中、誰かがそんな声を上げた。
再生の第一歩だ。
ワッと言う歓声と共に、私の心にも少し安堵が広がった。
琴子が真に訊ねる。王太子や枢機卿にも声が聞こえていたのか、首をかしげて真へと視線を向けていた。
「いや、これには身体錬金の事は書かれてるけど……精神とか魂についてはないから……」
――戻れたとして、精神が向こうで無事だと良いけれど。
そんな真の言葉に、私はただ茫然と立ち尽くし、琴子はそんなっ! と小さく呟いて瞳を潤ませた。キィはいまいち理解をしていないようで、近くにあった書物へと視線を落とした。
「……魔法陣の撤去をしよう」
「ロランの弔いを……いや、辺境に住んでいた人々の弔いをしましょう……」
王太子や枢機卿の目には、もう私達への怯えといったものは見えなかった。不完成に見える魔法陣は、ただの大量虐殺で終わったのだ。
震え、涙を流し、意味を理解していないような贈り人に脅威は感じられないのだろう。
……それでも、これを完成させて命を奪った恵は、とても優れていたのではと思えてしまう程だけれど。
「これ。神力で植物の生長を促すとかあるんだけど、私達で何か出来ないのかな?」
キィが私達に見せてきた書物には、植物成長について書かれた項目だ。
「魔法陣には関係ないと思っていたけど……これなら少しは使えないかな?」
「そうだな……復興を手伝ってもらえないか? このままだと数十年……いや、数百年は人が住めない土地になりそうだ」
「ありがとうございます、キィ様」
感謝を表すように、だけれどキィは子どもだからか、枢機卿は優しく目を細めてキィの頭を撫でた。
それからは復興に力を尽くした。
神力によって土壌を復活させ、草木も復活させる。
ただ神力を使うだけでは難しいから、向こうの知識を少しかいつまんでみた。護衛騎士達に土を柔らかくしてもらい、肥料になりそうなものを持ってきてもらって、それの促進を神力でさせたり。
こんなので恵が起こした問題への贖罪にはならないだろうけど。というか私が罪悪感を抱く必要もない。
……けれど、止められなかったというのはあるかもしれない。
帰りたがっていた事を知っていた。
研究している事も知っていた。
執着が酷い事も理解していたけれど、諦めない恵を応援したかった気持ちもあったのは確かだ。
それで引き起こされた惨劇で……。罪悪感が私を蝕んでいる。
やはり元日本人同士で贈り人という境遇に立たされた者同士の仲間意識もあったから余計だろう。
「……草? 草が生えてきた!」
街の方は国の兵達により片付けられ、皆で土地の再生を試みている中、誰かがそんな声を上げた。
再生の第一歩だ。
ワッと言う歓声と共に、私の心にも少し安堵が広がった。
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