【完結】異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり

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第三章

12.可愛いリボン

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 ダルブリボンで一見大きく見えるのだけれど、下の大きなリボンは黒に近い紫なので、黒髪に合わせたらそこまで目立たないだろう。そして、上にあるリボンはピンクに見える程の紫。真ん中の結び目に見えるところは、濃い紫と薄い紫の中間色で、綺麗なグラデーション色とも言える。
 紫なら大人っぽい色にも思えるんじゃないだろうか。
 それでいて、子どもらしく大きなリボン。

「琴子、これはどう??」

 フリルとキラキラを店主と眺めていた琴子は、私の声で振り向くとこちらに来てくれた。

「え、シンプルで可愛い!」

 琴子は一目見て気に入ったようだが、少しだけ首を傾げた。
 その様子を見て、店主らしき人は少し焦った表情を見せた。

「……この部分にパールみたいなので少し飾りをつけたくない……?」
「それ良い!」
「……パール……?」

 琴子の私的に、それは良いと私も乗った。
 ただのリボンだけより、少しでも装飾があれば子どもらしさや大人びた感じの両方を取り入れられそうだ。

「えっと……あ、あれ!」

 パールとはどういうものか説明するのに店内を見渡せば、似たような宝石を付けたアクセサリーを見つける。
 ただのシンプルな白い石という感じで、パールのような艶やかさはないけれど、あれくらいシンプルな方が良いだろう。ここは無難な白が服にも合わせやすい。

「コットンパールがあれば良いんだけど……」

 琴子の言葉に店主は更に首を傾げ、デイルとアンドリューもそれは何かと視線を合わせて首を傾げている。
 
「さすがにそれは無いものねだりすぎでしょう」

 でも琴子の言いたい事も分かる。
 艶やか過ぎないコットンパールの方がリボンを引き立たせてくれると思う。何より材質が軽いからこそだけれど。リボンだけでも重くなるからね。
 ……綿をコーティングするだけだから材料があれば作れそうだけれど……一度もやった事から失敗して不気味なものが出来ても問題だ。
 ここは素直に既製品で行くに限る。

「これを、こんな感じに加工する事は出来ますか?」
「お任せ下さい! すぐにできます!」

 そう言って奥へと引っ込んで行った店主は、すぐにパールのようなものをつけて戻ってきた。
 良い物が見つかったと、琴子と喜びながら神殿へと戻り、キィの部屋へと向かう。

「キィ、お土産買ってきたよ~」
「気に入ると良いんだけど」

 そう言って、私達は先ほど買ったリボンを見せると、キィは驚きと喜びに満ちたような表情を見せた。

「今度は一緒に行こうね」
「カフェでお茶もしよう」
「……うん!」

 キィ自身に穏やかな空気が戻り、にこやかな笑顔を見せてくれた。
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