【完結】異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり

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第四章

16.仲間

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 気が付けば自分のベッドの上で、側には琴子とキィが居た。

「あ、瑞希」
「気が付いた?」

 あのまま泣き疲れて眠ったのは自分でも理解している。ただ、あまりにも泣いたせいか頭が凄く重いけど……。

「……目、冷やさなきゃ」
「やったわよ」

 流石、琴子。先回りして目を冷やしておいてくれたのか。
 頭だけでなく目も重いとか、起きる気がしなくなる。というか、目が腫れるのは嫌だ。
 彼氏が居るとか学校に行くというのがなくても、何となくそんな自分の姿なんて見たくない。

「……一度、落ちた所へ行ってみない?」

 そこをまず何とかしなければいけないのではないかと。
 もし、仮にまた誰か別の人が落ちて来た時に、私達が助けられるように。……そんな事は考えたくもないし、もう二度とあってほしくないとも願うけれど、実際そうはいかないだろう。今まで何度も落ちてきているのであれば。

「そうだね。でもそれは明日以降にしよう」
「時間もないし、準備は万端にしたいな」

 二人の声に窓の外を見れば、もう薄暗くなってきていた。
 周囲には森もある。夜に出歩くなんてのは止めた方が良いだろう。

「懐中電灯もどきを魔法陣で作る時間はあるだろうし」
「飲み物や軽食も欲しいよね」

 ピクニックにでも行くのかという位、軽々しく二人が言うのに、少し微笑ましく思える。
 あんな醜い恰好を見せたにも関わらず、二人はいつも通りだ。

「ありがとう」

 嬉しくて感謝の言葉を口にすれば、二人はキョトンとした顔をしてこちらを向いた。けれど、すぐに意図は察したのだろう。

「何が?」
「こちらこそ、かな」

 キィは照れ隠しのように顔を赤くしてそっぽを向き、琴子は微笑みながら言った。
 二人も、自分の過去をみっともなく垂れ流しているのだ。まさにお互い様といった所か。

「泣くのも結構体力使うし、今日はゆっくり休んで」
「瑞希の部屋に食事を持ってきてもらって、皆で食べようか」

 キィは言うと同時に、部屋の外に待機していたのだろう誰かに声をかけて食事を持ってきてと頼んでいた。二人の温かさに、視界が歪みそうになる。

「ありがとう」

 自然と込み上げてくる言葉。
 何度言っても言い足りないとばかりに、私はまた口にすれば、二人は笑った。

「それは私達もだよ」
「仲間……なんでしょ」

 そうだ。仲間だ。
 嬉し恥ずかしいといった感じで顔を背けるキィの行動に、私と琴子は更に笑った。

「何を笑ってるの!?」

 怒ったキィも、また可愛らしいというか。以前の怒り方とは違って親しみが持てる。
 もうずっと一緒に居て、気心知れている親友や家族みたいなものだなとも思えた。
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