【完結】異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり

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第四章

20.水遊び

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「ここには魔物の居る気配もないですね」
「居ないよー」

 デイルが空を見上げるように言えば、真からは軽い返事が返って来た。
 まぁ、魔物が居ても真なら簡単に倒せるだろうけれど、その言葉で更に私達は安心できる。
 それならば……と、私も滝つぼの方へと行き、少し足を浸してみる。
 綺麗な川、自然豊かな場所、滝つぼ。余程山の中へと行かなければ、こんな綺麗な水なんてないのではないだろうかと思い、私も遊んでみたくなったのだ。

「それー!」
「わっ!」

 そうしていれば、キィが私へまでも水をかける。
 少しだけのつもりだったが、服が少し濡れてしまった。こうなれば多少濡れた所で同じだろう。水の冷たさも心地よく、私も童心に戻ってしまう。

「やったなー!」
「きゃー!」

 バシャバシャと水かけ大会が行われる。
 一応手加減とばかりに、ずぶ濡れとまではいかないけれど、気持ち良い。

「元気だなぁ」
「風邪ひかないようにしなきゃね」

 そんな私達の方へとやってきた真と琴子は、まるで親のように温かい目で見守るだけだ。
 琴子に至っては、風邪でも引いた所で体調を治すよう神力をかけてくれそうだけど。

「ねぇ、二人もおいでよー!」
「いや、俺はいいかな」

 キィが琴子と真にも声をかけるが、真は即座に拒絶の言葉を返した。
 いつも率先きって遊んでいるイメージがあるのだけれど、水遊びはしたくないのだろうか。それともどこか調子が悪い?
 私は首を傾げて真の方を見ていれば、琴子が問答無用で真の腕を掴んで、ジーッと真の方を見た。

「?」
「体調不良はないようだけど……」

 見つめられて頭を少し後ろにそらした真だったが、琴子の言葉で同じ事を思って、一応身体を見ていたのかと安堵する。真に体調不良がなくて良かった。よく分からない追放生活を送っていたら、体調が悪くなっていてもおかしくないのだから。

「なら良いじゃない! お風呂入ってないでしょ!」
「え、うわっ!」

 言うと同時に、琴子は真の腕を掴んだまま水へと飛び込んできた。これぞまさに道連れ状態だ。
 琴子は体制を整えていたからまだしも、いきなり不意を突かれた真は、思いっきり水の中で膝をついてびしょ濡れ状態だ。

「洗おう!」
「ちょ! まて!」

 そんな真に、キィは面白がって頭から水をかけて、真が焦っている……のだけど……。

「え?」
「ん?」

 思いっきり水に濡れた真の服は肌に張り付き、うっすらと身体のラインが浮き出ている。
 引き締まった腰。
 丸いお尻。
 ……膨らみのある胸。

「え!」
「えぇ!?」

 私と琴子は、疑問の声から一転、小さく驚きの声をあげた。
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