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ここから番外編(腹黒王が割と出ます)
05: 王が優しくなった。
「もー!オマエラ何やねん!うっさいなぁ!!」
やはり五月蝿かったのだろう。手を白い豪奢な布でフキフキ、王が扉を開けて顔を覗かせる。と、ぐい!と俺とキュルフェは王子達に引っ張られ、王の前に立たされた。
「なぁなぁなぁ!!ちょ、見て!?これ!ここ!!」「上過ぎん!!??ちゃうよな??」「でも、コレそーやんな??!」
何だか鳩尾を指されてるようだが、何だろう?俺とキュルフェはそっと顔を見合わせた。
「あ"あ"!?何やのオマエラ……………あれまぁ。気ぃつかへんかったわ。よー見えたな、オマエラ。……これはこれは……そーかぁ………二人揃て大分ごっくんしたんやなぁ♡まー、お熱いこっちゃでぇ♪」
不機嫌だった王が、俺達の腹を見てニヤニヤと笑い出す。
ごっくん???
後ろで王子達がヒソヒソ五月蝿い。
「ごっくん??はぇ~~成る程なぁ。ごっくんでなぁ~~。」「ウヒヒヒヒヒ……成る程。だから胃の辺りにあったんかww」「マジかぁー……マジかぁー………。」
「ほんなら、アンタラも入っといで!いやぁ~、気ぃつかへんで悪かったなぁ、しんどかったやろ??さ、お入りぃ♪」
「おつおつ、いってらー♪」「ヒューヒュー♪congratulation~♪」「めでたすぎやろー!頑張ってなー!」
何が何だか良く判らないままに王に手を引っ張られ、俺とキュルフェは神殿に足を踏み入れた。ギィィ、と閉まりゆく扉の向こうで、王子達が笑いながら手を振ってくれる。
それに挨拶も返せぬまま、俺達はずんずんと神殿の内部へと連れられて行った。
神殿内は静謐で、ひんやりとしていて、少しだけ、気分が楽になる。
キョロキョロしながら王に引っ張られていくと、広間から奥へと続く長い廊下の先、神官達が身を清めたり祈祷をするらしき場所に辿り着く。
その、一番奥の数段高くなった所にミューが浴槽の様なものの縁に頭を預けてくったりとしていた。
王が俺達もそこへ導いていく。
「大神官ーー。天使くんの夫も追加やー。」「………おやおや。」
音もなく動き回る神官達に会釈されながら王が一際刺繍が豪華なローブを着た男に声をかける。
白地に紺と金の刺繍をふんだんに施されたローブを緩やかに靡かせ、大神官が振り向き、俺達を見てくすり、と嫌みのない笑みを浮かべた。
「……王、この度は本当にめでたき事でございますなぁ」
穏やかな大神官の声に王を見れば、初孫でも抱いてるのかと思うほど鼻の下が伸びた締まりのない顔をした男がそこにおり、その余りにも今までとは違う姿に呆然としたまま、俺達は数人の神官に連れられて小さな噴水に連れられた。
着くなりテキパキと衣を剥かれ、髪を高速で結われていく。
なにやら花弁が浮いた盃を3つ程飲まされ、体を軽く清めてから、二人一緒に噴水の手前に浸けられる。がぼがぼ。思ったより深いし上からそっと頭を抑えられるし、驚いてしまった。
頭まで潜れと口で言ってくれれば良いものを……。
直ぐに引き揚げられ、今度は様々な色に輝く炎の前で体を拭かれ、神官服に良く似たものを着せられてから、花をかたどった小さな饅頭の様な食い物を次から次へと喰わせられる。
「あ、これ、うまい……。」
朱い蓮の様な形の饅頭を食べて思わず呟けば、キュルフェが、私は緑が美味しかったと呟く。
合計12個食べたところで、俺とキュルフェは別々に案内される。
キュルフェの前には緑の灯籠。俺の前には朱い灯籠があった。
「サミュエル殿は、黄色が美味しいとおっしゃってましたよ…。」
ふふ、と悪戯っぽく笑いながら、神官の一人が教えてくれた。
何と無く見れば、12個ある灯籠の黄色を、神官が掃除している。
旨かった饅頭とこの灯籠は何か関連があるのかもしれない。
なにやら染料のようなもので顔や手首など、体のあちこちに紋様を描かれた後、先程ミューが浸かっていた浴槽に服ごと浸けられ、簡単なマッサージのようなものを受ける。
温かい。気持ちいい。ミューがくったりするのも頷ける心地よさだった。
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