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魔法師団

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 パトリックに案内してもらって、城の地下へと向かう。
 魔法師団の部屋が地下にあるからだ。

「…………何か、すごく注目されてる気がする」
「そりゃ肩に猫とスライムが乗ってますから」

 俺の両肩にはソルティードと柚希が乗ってる。
 やっぱりお前らのせいか。

「あと、ヴァニタス様がセオドア元国王にそっくりだということもあると思いますよ」

 そうなのだ。
 俺はセオドアに似ている。
 セオドアの従甥だし、当然だ。

 だが、此処は王宮。
 噂話が大好きな連中が集まっている。

 つまり、俺がセオドアの隠し子なのではないかという噂話で王宮は盛り上がっているのだ。

 セオドアが孤独なレオノーラに手を出した。
 レオノーラとセオドアの間に生まれたのがヴァニタス。
 レオノーラは罪の意識に苛まれて自死した。
 アッシュフィールド公爵は王の隠し子であるヴァニタスの扱いに困って離れ屋敷に隠した。
 ユスティートに王位を譲った後、ヴァニタスの正体を知ったセオドアが慌てて自分の実子であるヴァニタスを従甥として王宮に招いた。

 噂話ってよく出来てんなぁ。
 母親であるレオノーラの容姿を知らなきゃ、俺とセオドアが似てるのは親子だからってなるかもだよな……確かに。
 俺も当事者でなければ、セオドアとスヴェンの関係を知らなきゃ納得しそうだもん。




「ヴァニタス!!」

 魔法師団の団長室に入った途端、スピルスに抱き締められた。
 あまりの勢いにソルティードと柚希が肩から飛び降りる。

「会いたかったです!! 貴方が解放されて王宮に来るのをずっと待っていました!!」
「俺も……会いたかった」

 顔が熱い。
 やっぱり俺にとってスピルスは特別なんだと思った。
 スピルスの唇が俺のそれに近づく。
 今、此処で?

「団長、ヴァニタス様に会いたかったのはわかりますが、場所は弁えてくださいね」

 女性の声がした。
 慌ててスピルスが俺を解放する。

「ごめん、ヴァニタス」
「いや、止められなかった俺も悪い」

 お互いに頭を下げる。

「…………おや?」

 ソルティードがスピルスの足に猫パンチを繰り返していた。
 ぬいぐるみだから痛くないとは思うけど、何やってんだ、お前。

「この猫のぬいぐるみは? 何となく、アンデッドに似た禍々しい気配を感じますが……」
「後で説明する」

 スピルスにはやっぱりバレるよな……。
 問題はセオドアだな。
 大丈夫だとは思うけど、あいつも魔法師寄りのスペックだからな……。

「それでは、僕は席を外します」
「パトリック・スレイド……でしたでしょうか? 帰りは私がヴァニタスを送りますから、迎えに来る必要はありませんよ」
「大賢者スピルス様に名前を覚えていただいて光栄です。では、ヴァニタス様をよろしくお願いします」
「ヴァニタスに関係することは徹底的に調べ上げていますから当然です」

 いや、お前時々怖いからな。
 ストーカー予備軍じゃねぇのと思う時がたまにあるからな。

「ヴァニタス様、初めまして。私はディアドラ・ウェインライトと申します。ラスティル王国魔法師団の副師団長です」

 先程の女性だ。
 プラチナブロンド……って言うんだろうか?
 美しい髪と翡翠のような瞳を持つ美女だ。

「すっげぇ……美人…………」
「…………ヴァニタス」

 いや、スピルス。
 何でお前が嫉妬してんの?
 おかしくない?
 俺の方が「こんな美女と仕事して……」と嫉妬するのが普通じゃねぇの?
 俺の認識間違ってる?

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