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園村奈津美
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○月△日
奈津美が帰宅途中で見たという人身事故の幻覚。
昼間に本当にあの踏切で人身事故があったみたい。
亡くなったのは磯谷真里亜という中学生の女の子。
……言わない方が、いいよね。
○月△日
彰巳が全く連絡をくれない。
そういう人だってわかってるけど……流石の私も少し不安になる。
○月△日
アクアムーンに磯谷真里亜ちゃんのカット写真が貼ってあった。
柚希さんは人身事故のことを知らないみたいだった。
事故のことを伝えたら悲しそうな顔をした。
お祖母さんと一緒に、よく来店してたって……。
奈津美には真里亜ちゃんの人身事故のことは言わないように頼んだ。
○月△日
最近奈津美がすごく明るくなったし、可愛くなった。
以前の奈津美は化粧とかファッションとかに全く興味がなかったんだけど、化粧をし始めてから、自分に自信が持てたみたい。
笑顔が増えた。
でも、急にどうしたのかな?
好きな人でもできたのかな?
○月△日
奈津美が「色々教えてくれたお礼に」って、お弁当を作ってくれるようになった。
これまたすごく美味しい。
奈津美は「小さい頃からお母さんのお手伝いをしてたから」って。
なるほど、これがお袋の味か……。
私も……いやいや、流石に私じゃこの味は無理だ。
彰巳が帰ってきた時ビックリさせたいけど……うん、無理。
○月△日
最近身体が重い。
今日は奈津美のお弁当を残してしまった。
ごめんね奈津美。
本当に、すごく美味しかったんだよ……。
○月△日
彰巳の馬鹿!
こっちは、私はこんなにしんどい思いをしているのに!
……ううん。
知ってる。
馬鹿なのは私の方。
私の体調不良は彰巳のせいじゃないってわかっているのに……。
ごめん、彰巳……。
○月△日
奈津美と飲みに行く約束をしてたけど無理だった。
身体が重い。
奈津美、ごめんね……。
最近の私、謝ってばっかだな……。
彰巳、助けて……苦しいよ……。
○月△日
奈津美が合鍵を渡してくれた。
「今は両親がいないから、苦しかったらいつでもうちに来ていいよ」って。
奈津美のご両親はとても厳しい人たちだって聞いたから、断ろうと思った。
でも、奈津美があんな顔をするから……受け取ってしまった。
どうしよう……。
とりあえず、この合鍵は机の引き出しにしまっておいて、奈津美のご両親が帰ってきたら返そう。
それまでに体調……治るといいな。
○月△日
奈津美が「相談に乗るよ」と言ってくれたから、明日奈津美の家に泊まりに行く。
やっぱり、少しでも晴れ晴れした顔で彰巳に会いたいから。
奈津美、本当にありがとう。
(日記は此処で途切れている)
「この日記に書かれてる奈津美って女、一体何者なんだ?」
弓戸彰巳は、主に美容師を名乗る柚希颯志を睨みながら言った。
彰巳の瞳には涙が滲んでいる。
流石の結丹も悟っていた。
晴臣を殺した女は河野あかりではなく、この日記やカレンダーに書かれた奈津美という女の線が濃厚だ。
奈津美という女が河野あかりの名を騙って晴臣を連れ去り、そして……。
「園村奈津美ちゃんはあかりちゃんの紹介で来た常連さんだよ……」
「あ! さっきの女やな!? 自分が犯人なのに、峻峭な顔で『あかりちゃんと連絡が取れないんですぅ』とか言いよったんか!?」
「ちょっと! 燎悟くん!?」
「この日記読む限りあの女が犯人の線が濃厚やろ? 河野あかりの体調不良も、園村奈津美が弁当に毒でも盛ったんとちゃうん?」
結丹も宝条燎悟の言葉には同意だった。
颯志はそれでも燎悟を窘めようとしたが……途中で諦めたらしい。
彰巳はあかりの机の引き出しから園村宅の合鍵を取り出すとポケットに入れた。
「柚希颯志、常連なら園村奈津美の住所はわかるな!」
「わかるけど、教えないよ。守秘義務があるもん」
「じゃあお前も一緒に園村奈津美の家に来い!」
彰巳は恐ろしい形相で颯志に怒鳴ると、刑事である松岸壱弥を見る。
壱弥は少し考え込んだ後、彰巳を見て頷いた。
「園村奈津美さんには警察としても話が聞きたい。行方不明になる直前の沼田晴臣さんと河野あかりさんに会っている可能性が高いからな。颯志、アクアムーンに戻れば園村さんの住所はわかるんだろう?案内してほしい」
颯志はほんの少し躊躇った後、頷いた。
「では、アクアムーンで集合だ。颯志、燎悟、雁野さん、先にアクアムーンへ。弓戸さんは少しだけ待っていてもらえますか? 署に連絡したいので……」
頭に血が上っている彰巳は不服そうではあったが、頷く。
あかりの部屋の合鍵を持っているのは自分で、流石にあかりの部屋に壱弥を残していくのはどうかと気づいたらしい。
あるいは、頭に血が上った彰巳を宥めるための壱弥の策なのかもしれないが。
結丹は彰巳と壱弥をあかりの部屋に残して、颯志、燎悟の2人と共に、あかりの部屋を出る。
結丹としても、ここまできたらもう……園村奈津美の自宅を訪ねる以外の選択肢はなかった。
奈津美が帰宅途中で見たという人身事故の幻覚。
昼間に本当にあの踏切で人身事故があったみたい。
亡くなったのは磯谷真里亜という中学生の女の子。
……言わない方が、いいよね。
○月△日
彰巳が全く連絡をくれない。
そういう人だってわかってるけど……流石の私も少し不安になる。
○月△日
アクアムーンに磯谷真里亜ちゃんのカット写真が貼ってあった。
柚希さんは人身事故のことを知らないみたいだった。
事故のことを伝えたら悲しそうな顔をした。
お祖母さんと一緒に、よく来店してたって……。
奈津美には真里亜ちゃんの人身事故のことは言わないように頼んだ。
○月△日
最近奈津美がすごく明るくなったし、可愛くなった。
以前の奈津美は化粧とかファッションとかに全く興味がなかったんだけど、化粧をし始めてから、自分に自信が持てたみたい。
笑顔が増えた。
でも、急にどうしたのかな?
好きな人でもできたのかな?
○月△日
奈津美が「色々教えてくれたお礼に」って、お弁当を作ってくれるようになった。
これまたすごく美味しい。
奈津美は「小さい頃からお母さんのお手伝いをしてたから」って。
なるほど、これがお袋の味か……。
私も……いやいや、流石に私じゃこの味は無理だ。
彰巳が帰ってきた時ビックリさせたいけど……うん、無理。
○月△日
最近身体が重い。
今日は奈津美のお弁当を残してしまった。
ごめんね奈津美。
本当に、すごく美味しかったんだよ……。
○月△日
彰巳の馬鹿!
こっちは、私はこんなにしんどい思いをしているのに!
……ううん。
知ってる。
馬鹿なのは私の方。
私の体調不良は彰巳のせいじゃないってわかっているのに……。
ごめん、彰巳……。
○月△日
奈津美と飲みに行く約束をしてたけど無理だった。
身体が重い。
奈津美、ごめんね……。
最近の私、謝ってばっかだな……。
彰巳、助けて……苦しいよ……。
○月△日
奈津美が合鍵を渡してくれた。
「今は両親がいないから、苦しかったらいつでもうちに来ていいよ」って。
奈津美のご両親はとても厳しい人たちだって聞いたから、断ろうと思った。
でも、奈津美があんな顔をするから……受け取ってしまった。
どうしよう……。
とりあえず、この合鍵は机の引き出しにしまっておいて、奈津美のご両親が帰ってきたら返そう。
それまでに体調……治るといいな。
○月△日
奈津美が「相談に乗るよ」と言ってくれたから、明日奈津美の家に泊まりに行く。
やっぱり、少しでも晴れ晴れした顔で彰巳に会いたいから。
奈津美、本当にありがとう。
(日記は此処で途切れている)
「この日記に書かれてる奈津美って女、一体何者なんだ?」
弓戸彰巳は、主に美容師を名乗る柚希颯志を睨みながら言った。
彰巳の瞳には涙が滲んでいる。
流石の結丹も悟っていた。
晴臣を殺した女は河野あかりではなく、この日記やカレンダーに書かれた奈津美という女の線が濃厚だ。
奈津美という女が河野あかりの名を騙って晴臣を連れ去り、そして……。
「園村奈津美ちゃんはあかりちゃんの紹介で来た常連さんだよ……」
「あ! さっきの女やな!? 自分が犯人なのに、峻峭な顔で『あかりちゃんと連絡が取れないんですぅ』とか言いよったんか!?」
「ちょっと! 燎悟くん!?」
「この日記読む限りあの女が犯人の線が濃厚やろ? 河野あかりの体調不良も、園村奈津美が弁当に毒でも盛ったんとちゃうん?」
結丹も宝条燎悟の言葉には同意だった。
颯志はそれでも燎悟を窘めようとしたが……途中で諦めたらしい。
彰巳はあかりの机の引き出しから園村宅の合鍵を取り出すとポケットに入れた。
「柚希颯志、常連なら園村奈津美の住所はわかるな!」
「わかるけど、教えないよ。守秘義務があるもん」
「じゃあお前も一緒に園村奈津美の家に来い!」
彰巳は恐ろしい形相で颯志に怒鳴ると、刑事である松岸壱弥を見る。
壱弥は少し考え込んだ後、彰巳を見て頷いた。
「園村奈津美さんには警察としても話が聞きたい。行方不明になる直前の沼田晴臣さんと河野あかりさんに会っている可能性が高いからな。颯志、アクアムーンに戻れば園村さんの住所はわかるんだろう?案内してほしい」
颯志はほんの少し躊躇った後、頷いた。
「では、アクアムーンで集合だ。颯志、燎悟、雁野さん、先にアクアムーンへ。弓戸さんは少しだけ待っていてもらえますか? 署に連絡したいので……」
頭に血が上っている彰巳は不服そうではあったが、頷く。
あかりの部屋の合鍵を持っているのは自分で、流石にあかりの部屋に壱弥を残していくのはどうかと気づいたらしい。
あるいは、頭に血が上った彰巳を宥めるための壱弥の策なのかもしれないが。
結丹は彰巳と壱弥をあかりの部屋に残して、颯志、燎悟の2人と共に、あかりの部屋を出る。
結丹としても、ここまできたらもう……園村奈津美の自宅を訪ねる以外の選択肢はなかった。
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