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第五話 学校でも芸を披露したけど、教育ママさん達から苦情が来てヤバいよヤバいよ、いやそんなの慣れっこだよ
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翌朝。
「おはよう哲朗おじさん、昨日教えた文字、全部覚えてる?」
「いやぁ、一晩寝たらけっこう忘れちゃってるよ。俺もう年だからな」
「気にしないで。繰り返し練習すれば、いつの間にか完璧に覚えられるようになってるから。今日はわたしの通ってる学校を案内してあげるね」
「この世界の学校、どんなのか楽しみだなぁ」
哲朗とコリルは、あのドラゴン風の生き物に乗って学校へ。
緑の芝生や多種多様な木々やお花も立ち並ぶ広大な敷地に、たくさんの赤煉瓦造りの校舎があった。
「幼稚園からわたしの通ってる六歳から十二歳までが通う初等教育機関のエコール・プリメール、十二歳から十八歳が通うギムナジウム、大学まで全部揃ってるよ」
「マンモス一貫校なのか。広過ぎてヤバいよヤバいよ」
哲朗が興奮気味に周囲を見渡していると、
「哲朗先生!」
「ヤバいよヤバいよ」
「熱湯風呂芸やってぇ~」
「シールちょうだぁい」
この学校の子ども達が大勢駆け寄って来た。
「俺、この世界でもすっかり人気者だな」
哲朗は気前よくシールを配っていく。
そんな中、
「おう、おまえは、哲朗じゃねえか!」
「あっ! おまえはボビー」
「ボビーじゃねえよ。ビーボだよ。一昨日教えただろ」
「あっ、そうだった、失礼。ここで先生やってるんだな」
ラバンナで出会ったビーボが登場、今日は可愛らしいお花柄のエプロン姿だった。
「哲朗おじさん、幼稚園でこの国の文字を習えるよ。いっしょに学んでみたら?」
「そうだな。俺、初心に帰って幼稚園児に戻りまーす」
「ハハハッ。オマエ、やっぱ面白いやつだな」
☆
「皆さーん、こんにちはーっ!」
哲朗が幼稚園の教室に入ると、
「「「「「「「「「「あああああーっ!! 哲朗だぁ~!」」」」」」」」」」
「「「ヤバいよヤバいよ」」」
いろんな種族の園児達が一斉に駆け寄って来て、やはりあの口癖も真似される。
「哲朗、オレよりも人気者だな」
ビーボは苦笑い。
「今日は皆さんといっしょに、この国の文字を勉強しに来ましたーっ! おじさん昨日勉強し始めたばかりで、まだほとんど読み書き出来ないので、みんな遠慮せずに教えてね」
哲朗が元気よくこう伝えると、
「ぼくが教えるぅ」
「あたしもーっ」
快く引き受けてくれる園児達多数。
「みんないい子達だな。将来が楽しみだよ」
哲朗は園児達に交じってイスに座り、昨日本屋で買った文字の練習帳をテーブル上に広げて園児達にいろいろ教わりながらお勉強を進めていく。
「哲朗大人なのに幼稚園児が習うことしてるぅ」
「哲朗の癖に勉強しやがって」
中には囃し立てる子もいたが。
果物やお菓子、魔物、文房具、家具などのイラスト入りで、その名称の書き方なんかが載っていた。
日本語の『たちつてと』に当たる文字まで練習し終えた頃、
「哲朗先生、日本語の文字を教えて下さい」
園児の女の子の一人からお願いされる。
「好奇心旺盛な子だなぁ。日本語の文字にはひらがなカタカナ、漢字っていうのがあって……」
哲朗は快くその子が手渡してくれた白紙のノートに、ひらがなカタカナ、漢字の一部を書いてあげた。
「難しそう」
「俺はこの国の文字より簡単だと思うよ」
そのあと黒板に白チョークで、
「みんな注目! “ヤバいよヤバいよ”は日本語の文字ではこう書くんだよ」
『ヤバいよヤバいよ』と大きく書いてあげた。
「「「「「「「ヤバいよヤバいよ」」」」」」
園児達から喜ばれ、書き写す子もたくさんいた。
授業終了を知らせる鐘が鳴り、
「皆さんに、この国の文字の読み方書き方を教えてもらったお礼に、芸を披露しまーすっ!」
哲朗はこう伝えると、
「やったぁぁぁ~」
パチパチパチパチパチッ!
拍手喝采。
「押すなよ、押すなよ。“絶対に”押すなよ」
「それそれーっ!」
「こらぁ、少年。押すなよって言ったじゃないか」
「キャハハハッ」
「そっちの少年も、やめろって。うわぁっ、吸い付いて来たよ」
お得意の熱湯風呂芸を披露したさいには、やんちゃな男児に蹴り飛ばされたりナマコっぽい魔物をパンツの中に入れられてしまった。
「トマトジュース、出ちゃいました」
もう一つのお家芸、鼻ザリガニの芸も披露してあげた。
さらに、
「俺、今からビーボ先生とキスをします」
「マッ、マジかよ? なんでオレなんだよ!!!!??」
「「「「「やって、やって!」」」」」
「じゃあ、いきまーす」
「うおわわっ。なっ、何すんだよ哲朗」
哲朗とビーボ、唇と唇をじかに数秒間くっ付け合う。
「「「「「「「きゃぁぁぁ~ん」」」」」」」
頬をほんのり赤らめる女の子達もいた。
「「「「「「「うおううううううう!」」」」」」」
パチパチパチパチパチッ!
園児達から大反響。
「日本の芸人、ヤバいよヤバいよ」
ビーボは苦虫を噛み潰したような表情で嘆くも、
「日本では俺より年上のおっさんの〇島ともやりまくってますから、ビーボさんとキスなんて余裕っすよ♪」
哲朗は爽やか笑顔で言い張った。
「哲朗ぉ~、頼むからオレとはもう二度とキスしないでくれよぉ~」
ビーボは涙目で懇願するのであった。
お昼ご飯の時間には、
「クリームパイみたいなのがあるじゃん」
哲朗はそのデザートをつかみ、顔にべちゃっと塗り付けてみせた。
顔中クリーム塗れの哲朗を見て、
「「「「「「「アハハハハハハハッ」」」」」」」
園児達からは大ウケだが、
「おいおい哲朗ぉ~、食べ物を粗末にしちゃダメだろ。良い子のみんなは絶対マネしちゃダメだぞ」
ビーボからは面白がってくれてはいたものの、呆れ気味に注意を受けてしまった。彼の丹精込めた手作りらしい。
☆
「哲朗おじさん、幼稚園楽しかった?」
「子どもに戻れた気分でめっちゃ楽しかったよ♪」
お昼休み、哲朗はコリルと再会。
「哲朗さん、うちの児童達が大勢、哲朗さんの芸を見たがっているので、五十万ララシャ支払いますから、披露してあげて下さい」
「もちろんいいっすよ。報酬は一ララシャたりともいりません。無料で全然オッケイっす。ギャラじゃないのよ、お客さんの笑顔が大事なのよ」
午後からは、コリルが通う日本の小学校に当たるエコール・プリメールでも老紳士な感じの校長先生からの依頼で快く全校生の前で熱湯風呂や、鼻ザリガニ、男同士キス、顔にクリームパイ芸などを披露してあげたのだった。
「あのおっさんの芸、凄くキモい」
「しょうもなぁ」
「あんなくだらないので笑えるなんて、男子バカじゃないの」
嫌悪感を示す女の子も高学年を中心にわりといたが、これも彼の持ち味なのだ。
☆
哲朗とコリルは、帰りに市場へ寄って夕飯の材料を買い、夕方に帰宅。
「お母さんにコリルちゃん、俺も手伝いますよ。高校出た頃、料理人を目指して寺で修行してたこともあるんっすよ」
「それは助かるわ」
「哲朗おじさんのお料理、豪快そうだね」
みんなで夕食準備を進めている時、
チリンチリンと玄関入り口横の鐘が鳴らされた。
「コリル、今手が離せないから出てくれない?」
「はーい」
コリルが玄関扉を開けると、
「こんばんはコリルちゃん」
「あっ! こんばんは。お久し振りですね」
「哲朗さんはいらっしゃるかしら?」
「あっ、はい。ちょっとお待ち下さい」
突然の来客ににっこり微笑まれ、コリルはちょっぴり怯えてしまう。
「哲朗おじさん、ヤバいよヤバいよ。リアルガチでヤバい人が来てるの。子どもを健全に育てる会会長のコキアダワさん、お見合いの時も相手に最初に何をされてる方なの? って尋ねて、公務員や学者さん、お医者さんじゃないと即お断りしたお堅い人なんだって」
そして焦り顔で伝えにいった。
「PTA会長みたいな感じかぁ」
哲朗は恐る恐る玄関へ。
うわぁ。あのおばさん、でかくて威圧感があって怖いよ怖いよ。あの人に似てるよ。
姿を目にし、ますます恐怖心が沸いてしまった。
百七十センチを優に超えていた背丈、黒のショートカットヘアー。
これから授業参観にでもご参加されるかのような黒のワンピースをお召しになられ、真っ赤な口紅の化粧が特に目立っていた。
年齢は四十歳くらいだろうか?
強面な感じだが、耳だけは猫っぽくて可愛らしかった。
彼女の両側には、まるでRPGボスの取り巻きのように、エルフ耳で、失礼ながら出っ歯が目立つ二名のおば様がいらっしゃった。
「どうも、はじめまして。日本から来た芸人の、哲朗です」
哲朗は緊張気味にご挨拶する。
「はじめまして、子どもを健全に育てる会会長のコキアダワと申します。うちの可愛い可愛いハッちゃんとリーブちゃんがあなたのお下品な芸と口癖を真似ばかりして困ってるざます。食べ物までお粗末にして」
コキアダワさんは険しい表情で苦言を呈する。
「おっ、お母様、子どもっていうのは、そういうものですから。そこは穏便に、笑って~♪ 許して~♪ やって下さい」
哲朗がややふざけた感じでお願いすると、
「ハッ!?」
ギロリと睨みつけられ、
「あっ、いえ、すみません、すみません、すみません」
哲朗は縮こまってしまう。
「あなたもいい年して芸人なんてバカなことやってないで、騎士団とか警察官とか郵便局員とかまともな仕事につきなさいよ」
「芸人なんて下賤の民ざましょ」
取り巻きのおば様方からも注意されてしまう。
「はい。それは、ごもっともでございますね」
哲朗は苦笑い。
「コスヤちゃんも、こりもせず芸人なんか居候させて。芸人はろくでなしばかりだってこと、身をもって分かってるざましょ?」
コキアダワさん、コスヤさんにも険しい表情で厳しく注意。
「いやぁ、哲朗ちゃんは、一目見た瞬間に、とても人柄の良い人だって確信が持てたから……その……」
コスヤさん、少し怯えながら言い訳する。
「コスヤちゃんのお人好し過ぎる性格には困ったものざます。とにかく哲朗さん、金輪際子ども達の前でお下品な芸は披露しないで下さいませ」
コキアダワさんは表情をさらに険しくしてこう告げ、取り巻きのおばさまと共にお帰りになられた。
「あぁ~、怖かった。ヤバかったよヤバかったよ」
哲朗の心拍数はまだ高まったままだった。
「わたくしも子どもを健全に育てる会の会員なんだけど、哲朗ちゃんの芸はとっても気に入ってるわ。だから気にしないでね。十五歳以下のお子様を持つ親は、入会するのが不文律になってるから仕方なくなってるだけなの」
コスヤは慰めるように言う。
「哲朗おじさん、芸は絶対やめないでね。この国ではあの人みたいに芸人を悪く言う人も多いから。特にお勉強が良く出来る子のお母さんに多いの。公園や演芸場で時々やってる芸人さんの芸を見るのを禁止されてる子も多いみたい」
コリルはしょんぼりした表情だ。
「それは日本でも同じようなもんっすよ。俺は小さいお子様を持つお母様方から苦情が来るのには慣れっこっすよ。俺は嫌われてナンボのタレントだから、いい話をされるのは営業妨害なんです。あの方々から何言われようとも俺はこれからも気にせず芸を続けていきますよ」
哲朗は生き生きとした表情で宣言した。
「やったぁ! 哲朗おじさんは芸人の鏡だね。でも、コキアダワさんのモノマネだけは絶対やらない方がいいよ。ミスターホシコチヤっていうこの国の大人気芸人さんがふざけてモノマネして、不敬罪でお巡りさんに捕まっちゃって牢屋に入れられたからね」-
「それは気を付けないとヤバいよヤバいよだな」
「ちなみにもう二人のおばさんはバシリエタさんとミャマチさん、芸人嫌いだけど芸人みたいな面白い顔だねってみんな陰で言ってるよ」
「確かに、俺もそう思った。失礼ながら。俺の知り合いの芸人にもあの三人と似たような感じの人いるけど、三人とも数十年テレビで活躍されてるトップ芸人だよ」
「わたしその芸人さん気になるなぁ」
「コキアちゃんはわたくしの幼馴染だけど、真面目な子にはとっても心優しく接してくれるわ。頼りがいもあるし、困った時はコキアにお任せって感じだったわ」
コスヤは微笑み顔で伝える。
「確かに、人望熱そうな姉御肌って雰囲気もありましたもんね」
「そんなコキアちゃんも、十代半ば頃は不良になってた時期もあるの。舎弟を百人以上引き連れて、今みたいに灯りも灯って無くて、真っ暗だった夜の街に繰り出して男相手にケンカに明け暮れてたの。それからいろいろあって改心したんだけど、灯りが普及するようになって夜の街が明るくなると、夜更かしする子ども増えて、夜の街に繰り出して悪いことする子もますます増えて来て、かつての自分みたいになっちゃいけないって思いを持って、子どもを健全に育てる会を設立するようになったのよ。コキアちゃんは両親が、お仕事が忙しくてあまり自分に関わってくれずに放置少女状態にされて、寂しい思いをして来たから、その反動で自分の子どもはもちろん、よその子ども達にも子育てに熱心に携わるようになっていったの」
「あのお方、そんな過去が――知人のあの方にますます似てるような」
哲朗はコスヤの昔話を楽しそうに聞いていた。
☆
「あつつつつつっ、ヤバいよヤバいよ。この熱さには全然慣れないよ」
長い芸人人生、多くの人々から称賛される一方で、それ以上に誹謗中傷も数え切れないほど受けて来た哲朗にとっては、あの程度のことでは気落ちせず、今夜もコリルのお友達の前で堂々と芸を披露してあげたのだった。
あのあとは、昨夜と同じくコリルからワガデ王国の文字を教わった。
「コリルちゃんの宿題に載ってる文字は、形がまた違うけどこの国の文字とは違う文字かな?」
「これはシュツリグンイ語だよ。シュツリグンイ王国を中心にこの世界で一番多くの人々に話されてるの。この国では小学校から外国語教科として習ってるよ。街のシュツリグイン語教室で幼稚園の頃から習ってる子も多いよ。おはようがグッモーニン、こんにちはがハローで、おやすみがグッナイ、お元気ですか? はハウアーユーだよ。わたしの名前はコリルですはマイネームイズコリルになるの。ワガデ語にもシュツリグンイ語が由来の外来語がいっぱいあるよ。フルーツとか、ケーキとか、ドリンクとか、ダンスとか」
「俺の世界の英語そっくりじゃないっすか! ワガデ語の文字マスター出来たらこの文字もマスターしたいな。俺は英語ペロペロだからね、これも簡単に覚えられそうだよ」
「ペラペラじゃなくて、ペロペロって例え方面白ぉい。さすが芸人さんだね」
「コキアちゃんはこの外国語を初めて習った時、【『ハウアーユー』って何やねん?】って衝撃を受けたそうよ。自分には全く理解出来ない新しい言語に触れて、新鮮な驚きを感じて、負けん気が強いコキアちゃんはそこで「ナメられてはいけない」って思って、さっそくシュツリグンイ語の歌を覚えたそうよ。わたくしにもよく聞かせてくれたわ。プロのシュツリグンイ語歌手にも、私の方がうまいんちゃう? って言って怯まずケンカを売りに行ったこともあったわ」
「そのエピソードも、どこかあのお方に似てるとこがあるような」
新たな目標も出来、哲朗は異世界生活三日目の夜も充実して過ごしたのだった。
「おはよう哲朗おじさん、昨日教えた文字、全部覚えてる?」
「いやぁ、一晩寝たらけっこう忘れちゃってるよ。俺もう年だからな」
「気にしないで。繰り返し練習すれば、いつの間にか完璧に覚えられるようになってるから。今日はわたしの通ってる学校を案内してあげるね」
「この世界の学校、どんなのか楽しみだなぁ」
哲朗とコリルは、あのドラゴン風の生き物に乗って学校へ。
緑の芝生や多種多様な木々やお花も立ち並ぶ広大な敷地に、たくさんの赤煉瓦造りの校舎があった。
「幼稚園からわたしの通ってる六歳から十二歳までが通う初等教育機関のエコール・プリメール、十二歳から十八歳が通うギムナジウム、大学まで全部揃ってるよ」
「マンモス一貫校なのか。広過ぎてヤバいよヤバいよ」
哲朗が興奮気味に周囲を見渡していると、
「哲朗先生!」
「ヤバいよヤバいよ」
「熱湯風呂芸やってぇ~」
「シールちょうだぁい」
この学校の子ども達が大勢駆け寄って来た。
「俺、この世界でもすっかり人気者だな」
哲朗は気前よくシールを配っていく。
そんな中、
「おう、おまえは、哲朗じゃねえか!」
「あっ! おまえはボビー」
「ボビーじゃねえよ。ビーボだよ。一昨日教えただろ」
「あっ、そうだった、失礼。ここで先生やってるんだな」
ラバンナで出会ったビーボが登場、今日は可愛らしいお花柄のエプロン姿だった。
「哲朗おじさん、幼稚園でこの国の文字を習えるよ。いっしょに学んでみたら?」
「そうだな。俺、初心に帰って幼稚園児に戻りまーす」
「ハハハッ。オマエ、やっぱ面白いやつだな」
☆
「皆さーん、こんにちはーっ!」
哲朗が幼稚園の教室に入ると、
「「「「「「「「「「あああああーっ!! 哲朗だぁ~!」」」」」」」」」」
「「「ヤバいよヤバいよ」」」
いろんな種族の園児達が一斉に駆け寄って来て、やはりあの口癖も真似される。
「哲朗、オレよりも人気者だな」
ビーボは苦笑い。
「今日は皆さんといっしょに、この国の文字を勉強しに来ましたーっ! おじさん昨日勉強し始めたばかりで、まだほとんど読み書き出来ないので、みんな遠慮せずに教えてね」
哲朗が元気よくこう伝えると、
「ぼくが教えるぅ」
「あたしもーっ」
快く引き受けてくれる園児達多数。
「みんないい子達だな。将来が楽しみだよ」
哲朗は園児達に交じってイスに座り、昨日本屋で買った文字の練習帳をテーブル上に広げて園児達にいろいろ教わりながらお勉強を進めていく。
「哲朗大人なのに幼稚園児が習うことしてるぅ」
「哲朗の癖に勉強しやがって」
中には囃し立てる子もいたが。
果物やお菓子、魔物、文房具、家具などのイラスト入りで、その名称の書き方なんかが載っていた。
日本語の『たちつてと』に当たる文字まで練習し終えた頃、
「哲朗先生、日本語の文字を教えて下さい」
園児の女の子の一人からお願いされる。
「好奇心旺盛な子だなぁ。日本語の文字にはひらがなカタカナ、漢字っていうのがあって……」
哲朗は快くその子が手渡してくれた白紙のノートに、ひらがなカタカナ、漢字の一部を書いてあげた。
「難しそう」
「俺はこの国の文字より簡単だと思うよ」
そのあと黒板に白チョークで、
「みんな注目! “ヤバいよヤバいよ”は日本語の文字ではこう書くんだよ」
『ヤバいよヤバいよ』と大きく書いてあげた。
「「「「「「「ヤバいよヤバいよ」」」」」」
園児達から喜ばれ、書き写す子もたくさんいた。
授業終了を知らせる鐘が鳴り、
「皆さんに、この国の文字の読み方書き方を教えてもらったお礼に、芸を披露しまーすっ!」
哲朗はこう伝えると、
「やったぁぁぁ~」
パチパチパチパチパチッ!
拍手喝采。
「押すなよ、押すなよ。“絶対に”押すなよ」
「それそれーっ!」
「こらぁ、少年。押すなよって言ったじゃないか」
「キャハハハッ」
「そっちの少年も、やめろって。うわぁっ、吸い付いて来たよ」
お得意の熱湯風呂芸を披露したさいには、やんちゃな男児に蹴り飛ばされたりナマコっぽい魔物をパンツの中に入れられてしまった。
「トマトジュース、出ちゃいました」
もう一つのお家芸、鼻ザリガニの芸も披露してあげた。
さらに、
「俺、今からビーボ先生とキスをします」
「マッ、マジかよ? なんでオレなんだよ!!!!??」
「「「「「やって、やって!」」」」」
「じゃあ、いきまーす」
「うおわわっ。なっ、何すんだよ哲朗」
哲朗とビーボ、唇と唇をじかに数秒間くっ付け合う。
「「「「「「「きゃぁぁぁ~ん」」」」」」」
頬をほんのり赤らめる女の子達もいた。
「「「「「「「うおううううううう!」」」」」」」
パチパチパチパチパチッ!
園児達から大反響。
「日本の芸人、ヤバいよヤバいよ」
ビーボは苦虫を噛み潰したような表情で嘆くも、
「日本では俺より年上のおっさんの〇島ともやりまくってますから、ビーボさんとキスなんて余裕っすよ♪」
哲朗は爽やか笑顔で言い張った。
「哲朗ぉ~、頼むからオレとはもう二度とキスしないでくれよぉ~」
ビーボは涙目で懇願するのであった。
お昼ご飯の時間には、
「クリームパイみたいなのがあるじゃん」
哲朗はそのデザートをつかみ、顔にべちゃっと塗り付けてみせた。
顔中クリーム塗れの哲朗を見て、
「「「「「「「アハハハハハハハッ」」」」」」」
園児達からは大ウケだが、
「おいおい哲朗ぉ~、食べ物を粗末にしちゃダメだろ。良い子のみんなは絶対マネしちゃダメだぞ」
ビーボからは面白がってくれてはいたものの、呆れ気味に注意を受けてしまった。彼の丹精込めた手作りらしい。
☆
「哲朗おじさん、幼稚園楽しかった?」
「子どもに戻れた気分でめっちゃ楽しかったよ♪」
お昼休み、哲朗はコリルと再会。
「哲朗さん、うちの児童達が大勢、哲朗さんの芸を見たがっているので、五十万ララシャ支払いますから、披露してあげて下さい」
「もちろんいいっすよ。報酬は一ララシャたりともいりません。無料で全然オッケイっす。ギャラじゃないのよ、お客さんの笑顔が大事なのよ」
午後からは、コリルが通う日本の小学校に当たるエコール・プリメールでも老紳士な感じの校長先生からの依頼で快く全校生の前で熱湯風呂や、鼻ザリガニ、男同士キス、顔にクリームパイ芸などを披露してあげたのだった。
「あのおっさんの芸、凄くキモい」
「しょうもなぁ」
「あんなくだらないので笑えるなんて、男子バカじゃないの」
嫌悪感を示す女の子も高学年を中心にわりといたが、これも彼の持ち味なのだ。
☆
哲朗とコリルは、帰りに市場へ寄って夕飯の材料を買い、夕方に帰宅。
「お母さんにコリルちゃん、俺も手伝いますよ。高校出た頃、料理人を目指して寺で修行してたこともあるんっすよ」
「それは助かるわ」
「哲朗おじさんのお料理、豪快そうだね」
みんなで夕食準備を進めている時、
チリンチリンと玄関入り口横の鐘が鳴らされた。
「コリル、今手が離せないから出てくれない?」
「はーい」
コリルが玄関扉を開けると、
「こんばんはコリルちゃん」
「あっ! こんばんは。お久し振りですね」
「哲朗さんはいらっしゃるかしら?」
「あっ、はい。ちょっとお待ち下さい」
突然の来客ににっこり微笑まれ、コリルはちょっぴり怯えてしまう。
「哲朗おじさん、ヤバいよヤバいよ。リアルガチでヤバい人が来てるの。子どもを健全に育てる会会長のコキアダワさん、お見合いの時も相手に最初に何をされてる方なの? って尋ねて、公務員や学者さん、お医者さんじゃないと即お断りしたお堅い人なんだって」
そして焦り顔で伝えにいった。
「PTA会長みたいな感じかぁ」
哲朗は恐る恐る玄関へ。
うわぁ。あのおばさん、でかくて威圧感があって怖いよ怖いよ。あの人に似てるよ。
姿を目にし、ますます恐怖心が沸いてしまった。
百七十センチを優に超えていた背丈、黒のショートカットヘアー。
これから授業参観にでもご参加されるかのような黒のワンピースをお召しになられ、真っ赤な口紅の化粧が特に目立っていた。
年齢は四十歳くらいだろうか?
強面な感じだが、耳だけは猫っぽくて可愛らしかった。
彼女の両側には、まるでRPGボスの取り巻きのように、エルフ耳で、失礼ながら出っ歯が目立つ二名のおば様がいらっしゃった。
「どうも、はじめまして。日本から来た芸人の、哲朗です」
哲朗は緊張気味にご挨拶する。
「はじめまして、子どもを健全に育てる会会長のコキアダワと申します。うちの可愛い可愛いハッちゃんとリーブちゃんがあなたのお下品な芸と口癖を真似ばかりして困ってるざます。食べ物までお粗末にして」
コキアダワさんは険しい表情で苦言を呈する。
「おっ、お母様、子どもっていうのは、そういうものですから。そこは穏便に、笑って~♪ 許して~♪ やって下さい」
哲朗がややふざけた感じでお願いすると、
「ハッ!?」
ギロリと睨みつけられ、
「あっ、いえ、すみません、すみません、すみません」
哲朗は縮こまってしまう。
「あなたもいい年して芸人なんてバカなことやってないで、騎士団とか警察官とか郵便局員とかまともな仕事につきなさいよ」
「芸人なんて下賤の民ざましょ」
取り巻きのおば様方からも注意されてしまう。
「はい。それは、ごもっともでございますね」
哲朗は苦笑い。
「コスヤちゃんも、こりもせず芸人なんか居候させて。芸人はろくでなしばかりだってこと、身をもって分かってるざましょ?」
コキアダワさん、コスヤさんにも険しい表情で厳しく注意。
「いやぁ、哲朗ちゃんは、一目見た瞬間に、とても人柄の良い人だって確信が持てたから……その……」
コスヤさん、少し怯えながら言い訳する。
「コスヤちゃんのお人好し過ぎる性格には困ったものざます。とにかく哲朗さん、金輪際子ども達の前でお下品な芸は披露しないで下さいませ」
コキアダワさんは表情をさらに険しくしてこう告げ、取り巻きのおばさまと共にお帰りになられた。
「あぁ~、怖かった。ヤバかったよヤバかったよ」
哲朗の心拍数はまだ高まったままだった。
「わたくしも子どもを健全に育てる会の会員なんだけど、哲朗ちゃんの芸はとっても気に入ってるわ。だから気にしないでね。十五歳以下のお子様を持つ親は、入会するのが不文律になってるから仕方なくなってるだけなの」
コスヤは慰めるように言う。
「哲朗おじさん、芸は絶対やめないでね。この国ではあの人みたいに芸人を悪く言う人も多いから。特にお勉強が良く出来る子のお母さんに多いの。公園や演芸場で時々やってる芸人さんの芸を見るのを禁止されてる子も多いみたい」
コリルはしょんぼりした表情だ。
「それは日本でも同じようなもんっすよ。俺は小さいお子様を持つお母様方から苦情が来るのには慣れっこっすよ。俺は嫌われてナンボのタレントだから、いい話をされるのは営業妨害なんです。あの方々から何言われようとも俺はこれからも気にせず芸を続けていきますよ」
哲朗は生き生きとした表情で宣言した。
「やったぁ! 哲朗おじさんは芸人の鏡だね。でも、コキアダワさんのモノマネだけは絶対やらない方がいいよ。ミスターホシコチヤっていうこの国の大人気芸人さんがふざけてモノマネして、不敬罪でお巡りさんに捕まっちゃって牢屋に入れられたからね」-
「それは気を付けないとヤバいよヤバいよだな」
「ちなみにもう二人のおばさんはバシリエタさんとミャマチさん、芸人嫌いだけど芸人みたいな面白い顔だねってみんな陰で言ってるよ」
「確かに、俺もそう思った。失礼ながら。俺の知り合いの芸人にもあの三人と似たような感じの人いるけど、三人とも数十年テレビで活躍されてるトップ芸人だよ」
「わたしその芸人さん気になるなぁ」
「コキアちゃんはわたくしの幼馴染だけど、真面目な子にはとっても心優しく接してくれるわ。頼りがいもあるし、困った時はコキアにお任せって感じだったわ」
コスヤは微笑み顔で伝える。
「確かに、人望熱そうな姉御肌って雰囲気もありましたもんね」
「そんなコキアちゃんも、十代半ば頃は不良になってた時期もあるの。舎弟を百人以上引き連れて、今みたいに灯りも灯って無くて、真っ暗だった夜の街に繰り出して男相手にケンカに明け暮れてたの。それからいろいろあって改心したんだけど、灯りが普及するようになって夜の街が明るくなると、夜更かしする子ども増えて、夜の街に繰り出して悪いことする子もますます増えて来て、かつての自分みたいになっちゃいけないって思いを持って、子どもを健全に育てる会を設立するようになったのよ。コキアちゃんは両親が、お仕事が忙しくてあまり自分に関わってくれずに放置少女状態にされて、寂しい思いをして来たから、その反動で自分の子どもはもちろん、よその子ども達にも子育てに熱心に携わるようになっていったの」
「あのお方、そんな過去が――知人のあの方にますます似てるような」
哲朗はコスヤの昔話を楽しそうに聞いていた。
☆
「あつつつつつっ、ヤバいよヤバいよ。この熱さには全然慣れないよ」
長い芸人人生、多くの人々から称賛される一方で、それ以上に誹謗中傷も数え切れないほど受けて来た哲朗にとっては、あの程度のことでは気落ちせず、今夜もコリルのお友達の前で堂々と芸を披露してあげたのだった。
あのあとは、昨夜と同じくコリルからワガデ王国の文字を教わった。
「コリルちゃんの宿題に載ってる文字は、形がまた違うけどこの国の文字とは違う文字かな?」
「これはシュツリグンイ語だよ。シュツリグンイ王国を中心にこの世界で一番多くの人々に話されてるの。この国では小学校から外国語教科として習ってるよ。街のシュツリグイン語教室で幼稚園の頃から習ってる子も多いよ。おはようがグッモーニン、こんにちはがハローで、おやすみがグッナイ、お元気ですか? はハウアーユーだよ。わたしの名前はコリルですはマイネームイズコリルになるの。ワガデ語にもシュツリグンイ語が由来の外来語がいっぱいあるよ。フルーツとか、ケーキとか、ドリンクとか、ダンスとか」
「俺の世界の英語そっくりじゃないっすか! ワガデ語の文字マスター出来たらこの文字もマスターしたいな。俺は英語ペロペロだからね、これも簡単に覚えられそうだよ」
「ペラペラじゃなくて、ペロペロって例え方面白ぉい。さすが芸人さんだね」
「コキアちゃんはこの外国語を初めて習った時、【『ハウアーユー』って何やねん?】って衝撃を受けたそうよ。自分には全く理解出来ない新しい言語に触れて、新鮮な驚きを感じて、負けん気が強いコキアちゃんはそこで「ナメられてはいけない」って思って、さっそくシュツリグンイ語の歌を覚えたそうよ。わたくしにもよく聞かせてくれたわ。プロのシュツリグンイ語歌手にも、私の方がうまいんちゃう? って言って怯まずケンカを売りに行ったこともあったわ」
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