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第五話 コリルちゃんの通ってる学校は、日本でいう幼稚園から小学校、中高一貫校や大学まで揃ってて、同い年のお友達も出来て最高だよ♪
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翌朝。
「おはよう桜子お姉ちゃん、昨日教えた文字、全部覚えてる?」
「いやぁ、一晩寝たらけっこう忘れちゃってるよ」
「気にしないで。繰り返し練習すれば、いつの間にか完璧に覚えられるようになってるから。今日はわたしの通ってる学校を案内してあげるね」
「この世界の学校、どんな感じなのか楽しみだなぁ」
桜子とコリルは、あのドラゴンに乗って学校へ。
緑の芝生や多種多様な木々やお花も立ち並ぶ広大な敷地に、たくさんの赤煉瓦造りの校舎があった。
「幼稚園からわたしの通ってる六歳から十二歳までが通う初等教育機関のエコール・プリメール、落第の例外もあるけど十二歳から十八歳までが通う中等教育機関のギムナジウム、飛び級の例外もあるけど十八歳以上が通う高等教育機関の大学まで全部揃ってるよ」
「マンモス一貫校なんだ。小中高は私のいた世界のフランスやドイツの学校制度が合わさってるような感じなんだね。それにしても広過ぎ。魔法とか錬金術とかも学べそう」
桜子が興奮気味に周囲を見渡していると、
「桜子先生!」
「絵のめちゃくちゃ上手いお姉ちゃんだ」
「あたしの似顔絵描いてぇ~」
この学校の子ども達が大勢駆け寄って来た。
「私、この世界じゃすっかり人気者だな」
桜子は気前よく似顔絵を描写していく。
「桜子お姉ちゃん、幼稚園でこの国の文字を習えるよ。いっしょに学んでみたら?」
「そうだなぁ。私、初心に帰って幼稚園児に戻っちゃおっかな」
というわけで、付近にいらっしゃった幼稚園の先生の一人に相談しにいってみた。
「桜子ちゃん有名人だし、みんなきっと喜ぶと思うわ」
三十代くらいの獣耳な女性なそのお方に快く承諾が得られ、
☆
「皆さん、こんにちはーっ!」
桜子が幼稚園の教室に入ると、
「「「「「「「「「「あああああーっ!! 桜子お姉ちゃんだぁ~!」」」」」」」」」」
いろんな種族の園児達が一斉に駆け寄って来た。
「今日は皆さんといっしょに、この国の文字を勉強しに来ましたーっ! お姉ちゃん昨日勉強し始めたばかりで、まだほとんど読み書き出来ないので、みんな遠慮せずに教えてね」
桜子がちょっぴり緊張気味にこう伝えると、
「ぼくが教えるぅ」
「あたしもーっ」
快く引き受けてくれる園児達多数。
「みんないい子達だね。将来が楽しみだよ」
桜子は園児達に交じってイスに座り、昨日本屋さんで買った文字の練習帳をテーブル上に広げて園児達にいろいろ教わりながらお勉強を進めていく。
「桜子大人なのに幼稚園児が習うことしてるぅ」
中には囃し立てるエルフ耳な男の子もいたが。
「ここではお姉ちゃんは幼稚園児に戻ってるんだよ」
桜子はそう言って、その子の頭をなでなでしてあげると、
「……」
その子は照れくさがって、走り去っていったのだった。
文字の練習帳には果物や野菜やお菓子、魔物、文房具、家具などのイラスト入りで、その名称の書き方なんかが載っていた。
日本語の『たちつてと』に当たる文字まで練習し終えた頃、
「桜子先生、日本語の文字を教えて下さい」
園児の女の子の一人からお願いされる。
「好奇心旺盛な子だねぇ。日本語の文字にはひらがなカタカナ、漢字っていうのがあって……」
桜子は快くその子が手渡してくれた白紙のノートに、ひらがなカタカナ、漢字の一部を書いてあげた。
「もの凄く難しそう。特に漢字」
「大丈夫。練習すればすぐに慣れて簡単に書けるようになるよ」
そのあと黒板に白チョークで、
「みんな注目! 私の出身地、“日本”は日本語の文字ではこう書くんだよ」
『日本』『にほん』『二ホン』と漢字、ひらがな、カタカナで大きく書いてあげた。
園児達から喜ばれ、書き写す子もたくさんいた。
「『にっぽん』っていう呼び方もあるよ。どっちでも正解だから言いやすい方で言ってね。あとこの国の名前リーチェ王国、街の名前ロブンレンティアはこう書くの」
さらに『にっぽん』『リーチェ王国』『ロブレンンティア』とも書いて、それも書き写す子がたくさんいた。
「お姉ちゃんのお名前の桜子はどうやって書くの?」
「それはね、こう書くの」
さらには園児の質問に答え、『桜子』『さくらこ』『サクラコ』と書き、
「私が読むのが大好きな漫画は、こう書くの」
『漫画』『まんが』『マンガ』
さらにさらに日本の小学校でも習わない少し難しめの漢字も書き記し、それでも書き写す子がたくさんいたのだった。
授業終了を知らせる鐘が鳴り、
「皆さんに、この国の文字の読み方書き方を教えてもらったお礼に、みんなの似顔絵描いちゃうよ」
桜子はこう伝えると、
「やったぁぁぁ~」
パチパチパチパチパチッ!
拍手喝采。
希望する子ども達の似顔絵を快く描いていくのであった。
お昼休み。
「このカラフルなパン、すっごく美味しい♪」
桜子は園児達が譲ってくれた見たことのないタイプのパンに舌鼓を打ち、
「桜子お姉ちゃん、幼稚園楽しかった?」
「懐かしい気分に浸れたし、桜子先生って慕ってくれる子達もいて、とっても楽しかったよ♪ 日本語の文字もちょっと教えちゃった」
「日本語の文字、わたしにも教えて欲しいな」
「もちろんいいよ」
コリルとも再会。
「桜子さん、うちの児童達が大勢、桜子さんのイラスト描写を見たがっているので、報酬として十万ララシャ支払いますから、披露してあげて下さい」
「もちろんいいですよ。でも、報酬は一ララシャたりともいりません。子ども達の笑顔が見られるだけで大満足です」
「まあ、そうおっしゃらずに。無料で披露していただくのは大変申し訳ないので」
「……そう言われましたら、ありがたく頂きますね」
「ありがとうございます。桜子さん」
こういう場合に受け取りを拒否するのはかえって失礼ってコリルちゃんも言ってたもんね。
ちょっぴり罪悪感も抱いた桜子。
ともあれ、午後からはコリルが通う、日本の小学校に当たるエコール・プリメールの大講堂でも老紳士な感じの校長先生からの依頼で快く全校生の前で、大きな黒板を使ったりしてイラスト描写を披露してあげたのだった。
そのあとは、
私と同い年くらいの子達が学んでる、ギムナジウムも見学してみたいな。
瀟洒な赤煉瓦造りなその校舎へと入っていった。
エコール・プリメールの校舎よりもさらに豪華な感じだね。ホ〇ワーツ魔法魔術学校的な雰囲気が漂ってるよ。
わくわく気分で廊下を歩いていると、
「見つけたぁっ! あなたが芸術家を気取ってる桜子さんね。あたしの名前はリャモロンよ。あたしの方があなたより絶対絵が上手いからね。ロブレンティア一の芸術家少女はこのあたしだからね」
セミロングな赤いカールヘア。もふもふした可愛らしい獣耳な女の子にそう言われ、自作イラスト集まで見せつけてくる。
「あっ、どうも」
めちゃくちゃかわいい、この子。そして本当に絵が上手いよ。
桜子の表情はほころんだ。背丈も同じくらいだった。
「今から似顔絵勝負しましょ。あたしと桜子さん、どっちが上手いか勝負よ。あたしが桜子さんの似顔絵描くから、桜子さんがあたしの似顔絵描いてね」
リャモロンという子はいきなりこんなことを提案してくる。
「わっ、分かった」
これは本気で描かないと、負けそうだよ。
桜子、勝負を受けて鞄からスケッチブックを取り出す。
そして描写対決開始。
共に完成させると、
「どっちが上手いかしら?」
リャモロンは周りにいた様々な種族の聴衆に問いかける。
「選べないよ」
「どっちも同じくらい上手」
「判断が難しいな」
こんな意見を聞いて、リャモロンはちょっぴり悔しそうな表情を浮かべるも、
「引き分けかぁ。桜子さん、あなたのお歳は?」
「十五歳だよ」
「学年は?」
「高校一年生、この世界だとギムナジウムの四学年に当たるのかな」
「あたしと同い年同学年かぁ。実年齢より幼めに見えるのもあたしと同じね。いいライバルになれそう。桜子さん、あたしとお友達になってくれませんか?」
歳が分かると顔に笑みが浮かび、桜子のお顔を見つめながらこんなお願いをした。
「もちろんいいよ♪」
桜子は快く承諾する。
「良かった♪ お友達になった証に、いっしょにお風呂に入りましょ」
「いいけど。お友達になってすぐにお風呂に誘われちゃうなんて、新鮮な気分だよ」
「この国では、友情の証としていっしょにお風呂に入っておもてなしをするのが常識よ」
「そうなんだ。良い文化だね」
そんなわけで、桜子はリャモロン宅のお風呂に入らせてもらうことになったのだった。
脱衣所で服を全部脱ぎ、リャモロンのあとに続いて浴室に入ると、
「リャモロンちゃん、尻尾とお耳、触っていいかな?」
「……いいけど、その代わり、あとで桜子さんの、おっぱい、触らせて、下さい」
「それは、ちょっと恥ずかしいけど、お安い御用だよ」
桜子はそう言って、リャモロンのお耳や尻尾をなでなでしてみる。
「触り心地すごく良いな。もふもふ系だね。私のいた世界じゃ獣耳や尻尾の生えた子やエルフ耳の子なんてファンタジーの世界にしかいないから、すごく貴重な体験だよ」
「あの、もういいですか。これ以上はダメです」
「ごめん、ごめん」
「では、桜子さんのおっぱいを、触らせていただきます」
リャモロンは桜子の両胸を鷲掴みにする。
「んっ! あっ♪」
「桜子さんのおっぱい、柔らかくてすごく触り心地良いです。癒されます」
「あの、もう。やめて欲しいな。くすぐったいよ」
「あっ、ごめんなさい」
桜子とリャモロン、お互い気まずくなったのかその後しばらく目を合わせられずにいたのだった。
お風呂タイムが終わると、二人は居間のソファに座ってくつろぐ。
「すごく高級そうなお菓子、ありがとう」
煌びやかなフルーツ入りのクッキーや、チョコレート菓子を振舞ってくれて、桜子は目をきらきらさせる。イラストにも残したのだった。
「桜子さんが美味しそうに食べてるのを見ていると、あたしも幸せな気分になっちゃうな。あたし、一枚絵のイラストを描くのは得意なんだけど、漫画を描こうとすると、全然アイディアが出なくて描けないの」
「私も同じだよ。漫画を描くのは難しいよね」
「一応、コマを作ってみて絵を描いてみたことは何度もあるけど、ちゃんとしたものは出来なくて、コマ割りとか、演出とか、構図とか、漫画家さんは一枚絵を描くよりも遥かに高度な技術力が必要だなって実感したわ」
「私も同じような経験してるよ。漫画雑誌読んでると、このレベルでも商業誌に載せられるんだ! って思えるようなのも中にはあって、これくらいなら私でも描けそうって思っても実際やってみると全然出来ないんだよね。4コマでも」
「うん、うん。だから漫画は完成させるの途中で諦めて一枚絵のイラストばっかり描いちゃう。絵が下手でも、漫画がちゃんと描ける人の方が羨ましいわ」
「私も同感だよ」
取り留めのない会話を弾ませて、
「では桜子さん、また近いうちにお会いしましょう」
「うん、またね、リャモロンちゃん」
玄関先で見送ってもらったのだった。
「桜子お姉ちゃん、幸せそうなお顔してるね」
「同い年のお友達が出来たからね、リャモロンちゃんっていう」
「それは良かったね。リャモロンお姉ちゃんはわたしもよく知ってて、絵を上手く描くコツとかも教えてくれて優しいお姉ちゃんだよ」
「そうなんだ。いいお友達持ったよ」
帰る途中にコリルと出会い、いっしょに市場へ寄って夕飯の材料を買い、夕方に帰宅。
「コスヤさんにコリルちゃん、私も手伝いますよ」
「それは助かるわ」
「桜子お姉ちゃんの手料理も楽しみ♪」
みんなで夕食準備を進めている時、
チリンチリンと玄関入り口横の鐘が鳴らされた。
「コリル、今手が離せないから出てくれない?」
「はーい」
コリルが玄関扉を開けると、
「こんばんはコリルちゃん」
「あっ! こんばんは。お久し振りですね」
「桜子さんはいらっしゃるかしら?」
「はい。ちょっとお待ち下さい」
突然の来客ににっこり微笑まれ、コリルは嬉しそうに桜子を呼びに行く。
「なんで、しょうか?」
桜子は緊張気味に玄関先へ。
気品の良さそうな、桜子のいた世界と同じようなタイプの人間のおば様がいらしていた。
「はじめまして桜子お嬢様、わたくし、ロブレンティア市長のポポルワノと申します。本日は桜子さんに、トロフィーを差し上げに来ました」
「えっ! トロフィー?」
「ここロブレンティアはリーチェ王国最大都市にして国際都市ゆえに、毎日のように多くの旅人さんが世界中から訪れてくるのですが、その中でも特にユニークだと評されるお方に、ユニーク旅人賞というものを差し上げておりますの」
「そんな、高尚なものを私なんかが貰っちゃっていいんですか?」
「はい。遠慮なさらずに。昨日の新聞の記事を見て、これは久々の逸材だと感じ即授与を決めましたのよ」
「そう言われましたら、貰っちゃいます」
桜子は緊張気味に受け取る。朗らかな感じのおじさん型のキャラクタートロフィーで、デザインもユニークだった。
「おめでとう桜子お姉ちゃん」
「桜子ちゃんならきっと貰えると思ってたわ」
コリルとコスヤさんは拍手を送る。
「私、優秀な特別な人が貰えるような賞を貰ったことなんてなかったから、とても嬉しかったです」
桜子は満面の笑みを浮かべた。
「では桜子お嬢様、これからもロブレンティアの人々を大いに楽しませて下さいませ」
ポポルワノさんはそうおっしゃって、コリル宅をあとにしたのであった。
「素敵な市長さんだね」
「ポポルワノさんは時々わたしの通う学校にも訪れて来て、手品や人形劇や演奏やお歌を披露してくれるんだ。人を楽しませることが大好きな多才なお方なんだよ」
「そうなんだ」
コリルから聞かされ、桜子はほっこりとした気分に。
「桜子お姉様、今日のイラスト描写お披露目会、とっても良かったです」
「算数とかの授業よりも楽しかったよ」
「絵の勉強になりました」
「ありがとう。喜んでもらえてやりがいがあったよ」
夕食後は、昨夜と同じくコリルやそのお友達といっしょにお風呂に入り、コリルからリーチェ王国の文字を教わった。
「日本語学習用のノートも何冊か用意したよ」
「コリルちゃん、やる気満々だね」
そして約束通り、桜子は日本語の文字のひらがなカタカナ全てをそのノートに書いて、読み方も一通り教えてあげ、漢字も少し教えたのだった。
「一日十文字を目標に、今日はあ行とか行のひらがなを完璧に覚えようっと。日本語の文字って、ものすごぉく難しいね。特に漢字は字形が複雑過ぎて覚えられそうにないや」
「まあ、漢字は何万種類もあって同じ字でもいろんな読み方があったりして、日本人でも読めない書けない見たことすらない漢字の方がずっと多いくらいで、学校で習うのはほんの一部だけだからね。でも学校で習う漢字さえマスター出来れば、日常的に困ることはほぼないかな」
「わたし、日本っていう国にいつか訪れた時に、文字を読むのに困らないようにいっぱいお勉強しておきたいな」
「コリルちゃん頑張って。ちなみに難しいは、漢字でこう書くんだよ。日本ではエコール・プリメールに当たる小学校で習うよ」
桜子が『難しい』と書き記すと、
「本当に難しいや。ひらがなカタカナ覚えて、簡単そうな漢字も覚えれたら、この文字も読み書き出来るように頑張らなきゃ」
コリルは難しい表情を浮かべるのだった。
「コリル、その調子で算数も頑張ってね」
コスヤさんから爽やかな笑顔で言われると、
「それは難しいことだよ、ママ」
ますます難しい表情になるのだった。
「私も算数、数学は苦手だな。そういえば、国語の教科書鞄の中に入ってるんだった」
桜子は、手荷物はそのままで異世界に転移されたことをふと思い出し、通学鞄から取り出した。
「これが私の通ってた学校で使ってた国語、日本語の教科書だよ。コリルちゃんも勉強頑張ったらそのうち難なく読めるようになるよ」
現代文が載っている高等学校用のそれをコリルに手渡してみる。
「もの凄い量の難しそうな文章だね。何年かかるか分からないけど、いずれ読めるようになりたいな」
コリルはパラパラと捲って苦笑い。随想、小説、評論などが多数掲載されていて、日本人にとっても小学生には難しい内容なのでコリルにとっては尚更ちんぷんかんぷんだろう。
「私もコリルちゃんが今使ってる各教科書に書かれてる文章は、早く読めるようになりたいよ。ん? この教科書に載ってる文字は、形がけっこう違うね。これもこの国の文字なのかな?」
「これはピララティノ語だよ。ピララティノ王国を中心にこの世界で一番多くの人々に話されてるの。この国ではエコール・プリメールの三学年から外国語教科として習ってるよ。街のピララティノ語教室で幼稚園の頃から習ってる子も多いよ。おはようがグッモーニン、こんにちはがハローで、おやすみがグッナイ、お元気ですか? はハウアーユーだよ。わたしの名前はコリルですはマイネームイズコリルになるの。リーチェ語にもピララティノ語が由来の外来語がいっぱいあるよ。フルーツとかスイーツとか、ケーキとか、ドリンクとか、ダンスとかスポーツとかライブとか」
「私の世界の英語そっくりだねっ! リーチェ語の文字マスター出来たらこの文字もマスターしたいな」
「わたし、日本語の文字ある程度読み書き出来るようになったら、英語の文字も教わりたいな」
「分かった。教えてあげるね。大文字と小文字の合わせて五十二文字しかないから、漢字よりも簡単に覚えられると思うよ」
コリルと共に新たな目標も出来て、桜子は異世界生活三日目の夜も充実して過ごしたのだった。
「おはよう桜子お姉ちゃん、昨日教えた文字、全部覚えてる?」
「いやぁ、一晩寝たらけっこう忘れちゃってるよ」
「気にしないで。繰り返し練習すれば、いつの間にか完璧に覚えられるようになってるから。今日はわたしの通ってる学校を案内してあげるね」
「この世界の学校、どんな感じなのか楽しみだなぁ」
桜子とコリルは、あのドラゴンに乗って学校へ。
緑の芝生や多種多様な木々やお花も立ち並ぶ広大な敷地に、たくさんの赤煉瓦造りの校舎があった。
「幼稚園からわたしの通ってる六歳から十二歳までが通う初等教育機関のエコール・プリメール、落第の例外もあるけど十二歳から十八歳までが通う中等教育機関のギムナジウム、飛び級の例外もあるけど十八歳以上が通う高等教育機関の大学まで全部揃ってるよ」
「マンモス一貫校なんだ。小中高は私のいた世界のフランスやドイツの学校制度が合わさってるような感じなんだね。それにしても広過ぎ。魔法とか錬金術とかも学べそう」
桜子が興奮気味に周囲を見渡していると、
「桜子先生!」
「絵のめちゃくちゃ上手いお姉ちゃんだ」
「あたしの似顔絵描いてぇ~」
この学校の子ども達が大勢駆け寄って来た。
「私、この世界じゃすっかり人気者だな」
桜子は気前よく似顔絵を描写していく。
「桜子お姉ちゃん、幼稚園でこの国の文字を習えるよ。いっしょに学んでみたら?」
「そうだなぁ。私、初心に帰って幼稚園児に戻っちゃおっかな」
というわけで、付近にいらっしゃった幼稚園の先生の一人に相談しにいってみた。
「桜子ちゃん有名人だし、みんなきっと喜ぶと思うわ」
三十代くらいの獣耳な女性なそのお方に快く承諾が得られ、
☆
「皆さん、こんにちはーっ!」
桜子が幼稚園の教室に入ると、
「「「「「「「「「「あああああーっ!! 桜子お姉ちゃんだぁ~!」」」」」」」」」」
いろんな種族の園児達が一斉に駆け寄って来た。
「今日は皆さんといっしょに、この国の文字を勉強しに来ましたーっ! お姉ちゃん昨日勉強し始めたばかりで、まだほとんど読み書き出来ないので、みんな遠慮せずに教えてね」
桜子がちょっぴり緊張気味にこう伝えると、
「ぼくが教えるぅ」
「あたしもーっ」
快く引き受けてくれる園児達多数。
「みんないい子達だね。将来が楽しみだよ」
桜子は園児達に交じってイスに座り、昨日本屋さんで買った文字の練習帳をテーブル上に広げて園児達にいろいろ教わりながらお勉強を進めていく。
「桜子大人なのに幼稚園児が習うことしてるぅ」
中には囃し立てるエルフ耳な男の子もいたが。
「ここではお姉ちゃんは幼稚園児に戻ってるんだよ」
桜子はそう言って、その子の頭をなでなでしてあげると、
「……」
その子は照れくさがって、走り去っていったのだった。
文字の練習帳には果物や野菜やお菓子、魔物、文房具、家具などのイラスト入りで、その名称の書き方なんかが載っていた。
日本語の『たちつてと』に当たる文字まで練習し終えた頃、
「桜子先生、日本語の文字を教えて下さい」
園児の女の子の一人からお願いされる。
「好奇心旺盛な子だねぇ。日本語の文字にはひらがなカタカナ、漢字っていうのがあって……」
桜子は快くその子が手渡してくれた白紙のノートに、ひらがなカタカナ、漢字の一部を書いてあげた。
「もの凄く難しそう。特に漢字」
「大丈夫。練習すればすぐに慣れて簡単に書けるようになるよ」
そのあと黒板に白チョークで、
「みんな注目! 私の出身地、“日本”は日本語の文字ではこう書くんだよ」
『日本』『にほん』『二ホン』と漢字、ひらがな、カタカナで大きく書いてあげた。
園児達から喜ばれ、書き写す子もたくさんいた。
「『にっぽん』っていう呼び方もあるよ。どっちでも正解だから言いやすい方で言ってね。あとこの国の名前リーチェ王国、街の名前ロブンレンティアはこう書くの」
さらに『にっぽん』『リーチェ王国』『ロブレンンティア』とも書いて、それも書き写す子がたくさんいた。
「お姉ちゃんのお名前の桜子はどうやって書くの?」
「それはね、こう書くの」
さらには園児の質問に答え、『桜子』『さくらこ』『サクラコ』と書き、
「私が読むのが大好きな漫画は、こう書くの」
『漫画』『まんが』『マンガ』
さらにさらに日本の小学校でも習わない少し難しめの漢字も書き記し、それでも書き写す子がたくさんいたのだった。
授業終了を知らせる鐘が鳴り、
「皆さんに、この国の文字の読み方書き方を教えてもらったお礼に、みんなの似顔絵描いちゃうよ」
桜子はこう伝えると、
「やったぁぁぁ~」
パチパチパチパチパチッ!
拍手喝采。
希望する子ども達の似顔絵を快く描いていくのであった。
お昼休み。
「このカラフルなパン、すっごく美味しい♪」
桜子は園児達が譲ってくれた見たことのないタイプのパンに舌鼓を打ち、
「桜子お姉ちゃん、幼稚園楽しかった?」
「懐かしい気分に浸れたし、桜子先生って慕ってくれる子達もいて、とっても楽しかったよ♪ 日本語の文字もちょっと教えちゃった」
「日本語の文字、わたしにも教えて欲しいな」
「もちろんいいよ」
コリルとも再会。
「桜子さん、うちの児童達が大勢、桜子さんのイラスト描写を見たがっているので、報酬として十万ララシャ支払いますから、披露してあげて下さい」
「もちろんいいですよ。でも、報酬は一ララシャたりともいりません。子ども達の笑顔が見られるだけで大満足です」
「まあ、そうおっしゃらずに。無料で披露していただくのは大変申し訳ないので」
「……そう言われましたら、ありがたく頂きますね」
「ありがとうございます。桜子さん」
こういう場合に受け取りを拒否するのはかえって失礼ってコリルちゃんも言ってたもんね。
ちょっぴり罪悪感も抱いた桜子。
ともあれ、午後からはコリルが通う、日本の小学校に当たるエコール・プリメールの大講堂でも老紳士な感じの校長先生からの依頼で快く全校生の前で、大きな黒板を使ったりしてイラスト描写を披露してあげたのだった。
そのあとは、
私と同い年くらいの子達が学んでる、ギムナジウムも見学してみたいな。
瀟洒な赤煉瓦造りなその校舎へと入っていった。
エコール・プリメールの校舎よりもさらに豪華な感じだね。ホ〇ワーツ魔法魔術学校的な雰囲気が漂ってるよ。
わくわく気分で廊下を歩いていると、
「見つけたぁっ! あなたが芸術家を気取ってる桜子さんね。あたしの名前はリャモロンよ。あたしの方があなたより絶対絵が上手いからね。ロブレンティア一の芸術家少女はこのあたしだからね」
セミロングな赤いカールヘア。もふもふした可愛らしい獣耳な女の子にそう言われ、自作イラスト集まで見せつけてくる。
「あっ、どうも」
めちゃくちゃかわいい、この子。そして本当に絵が上手いよ。
桜子の表情はほころんだ。背丈も同じくらいだった。
「今から似顔絵勝負しましょ。あたしと桜子さん、どっちが上手いか勝負よ。あたしが桜子さんの似顔絵描くから、桜子さんがあたしの似顔絵描いてね」
リャモロンという子はいきなりこんなことを提案してくる。
「わっ、分かった」
これは本気で描かないと、負けそうだよ。
桜子、勝負を受けて鞄からスケッチブックを取り出す。
そして描写対決開始。
共に完成させると、
「どっちが上手いかしら?」
リャモロンは周りにいた様々な種族の聴衆に問いかける。
「選べないよ」
「どっちも同じくらい上手」
「判断が難しいな」
こんな意見を聞いて、リャモロンはちょっぴり悔しそうな表情を浮かべるも、
「引き分けかぁ。桜子さん、あなたのお歳は?」
「十五歳だよ」
「学年は?」
「高校一年生、この世界だとギムナジウムの四学年に当たるのかな」
「あたしと同い年同学年かぁ。実年齢より幼めに見えるのもあたしと同じね。いいライバルになれそう。桜子さん、あたしとお友達になってくれませんか?」
歳が分かると顔に笑みが浮かび、桜子のお顔を見つめながらこんなお願いをした。
「もちろんいいよ♪」
桜子は快く承諾する。
「良かった♪ お友達になった証に、いっしょにお風呂に入りましょ」
「いいけど。お友達になってすぐにお風呂に誘われちゃうなんて、新鮮な気分だよ」
「この国では、友情の証としていっしょにお風呂に入っておもてなしをするのが常識よ」
「そうなんだ。良い文化だね」
そんなわけで、桜子はリャモロン宅のお風呂に入らせてもらうことになったのだった。
脱衣所で服を全部脱ぎ、リャモロンのあとに続いて浴室に入ると、
「リャモロンちゃん、尻尾とお耳、触っていいかな?」
「……いいけど、その代わり、あとで桜子さんの、おっぱい、触らせて、下さい」
「それは、ちょっと恥ずかしいけど、お安い御用だよ」
桜子はそう言って、リャモロンのお耳や尻尾をなでなでしてみる。
「触り心地すごく良いな。もふもふ系だね。私のいた世界じゃ獣耳や尻尾の生えた子やエルフ耳の子なんてファンタジーの世界にしかいないから、すごく貴重な体験だよ」
「あの、もういいですか。これ以上はダメです」
「ごめん、ごめん」
「では、桜子さんのおっぱいを、触らせていただきます」
リャモロンは桜子の両胸を鷲掴みにする。
「んっ! あっ♪」
「桜子さんのおっぱい、柔らかくてすごく触り心地良いです。癒されます」
「あの、もう。やめて欲しいな。くすぐったいよ」
「あっ、ごめんなさい」
桜子とリャモロン、お互い気まずくなったのかその後しばらく目を合わせられずにいたのだった。
お風呂タイムが終わると、二人は居間のソファに座ってくつろぐ。
「すごく高級そうなお菓子、ありがとう」
煌びやかなフルーツ入りのクッキーや、チョコレート菓子を振舞ってくれて、桜子は目をきらきらさせる。イラストにも残したのだった。
「桜子さんが美味しそうに食べてるのを見ていると、あたしも幸せな気分になっちゃうな。あたし、一枚絵のイラストを描くのは得意なんだけど、漫画を描こうとすると、全然アイディアが出なくて描けないの」
「私も同じだよ。漫画を描くのは難しいよね」
「一応、コマを作ってみて絵を描いてみたことは何度もあるけど、ちゃんとしたものは出来なくて、コマ割りとか、演出とか、構図とか、漫画家さんは一枚絵を描くよりも遥かに高度な技術力が必要だなって実感したわ」
「私も同じような経験してるよ。漫画雑誌読んでると、このレベルでも商業誌に載せられるんだ! って思えるようなのも中にはあって、これくらいなら私でも描けそうって思っても実際やってみると全然出来ないんだよね。4コマでも」
「うん、うん。だから漫画は完成させるの途中で諦めて一枚絵のイラストばっかり描いちゃう。絵が下手でも、漫画がちゃんと描ける人の方が羨ましいわ」
「私も同感だよ」
取り留めのない会話を弾ませて、
「では桜子さん、また近いうちにお会いしましょう」
「うん、またね、リャモロンちゃん」
玄関先で見送ってもらったのだった。
「桜子お姉ちゃん、幸せそうなお顔してるね」
「同い年のお友達が出来たからね、リャモロンちゃんっていう」
「それは良かったね。リャモロンお姉ちゃんはわたしもよく知ってて、絵を上手く描くコツとかも教えてくれて優しいお姉ちゃんだよ」
「そうなんだ。いいお友達持ったよ」
帰る途中にコリルと出会い、いっしょに市場へ寄って夕飯の材料を買い、夕方に帰宅。
「コスヤさんにコリルちゃん、私も手伝いますよ」
「それは助かるわ」
「桜子お姉ちゃんの手料理も楽しみ♪」
みんなで夕食準備を進めている時、
チリンチリンと玄関入り口横の鐘が鳴らされた。
「コリル、今手が離せないから出てくれない?」
「はーい」
コリルが玄関扉を開けると、
「こんばんはコリルちゃん」
「あっ! こんばんは。お久し振りですね」
「桜子さんはいらっしゃるかしら?」
「はい。ちょっとお待ち下さい」
突然の来客ににっこり微笑まれ、コリルは嬉しそうに桜子を呼びに行く。
「なんで、しょうか?」
桜子は緊張気味に玄関先へ。
気品の良さそうな、桜子のいた世界と同じようなタイプの人間のおば様がいらしていた。
「はじめまして桜子お嬢様、わたくし、ロブレンティア市長のポポルワノと申します。本日は桜子さんに、トロフィーを差し上げに来ました」
「えっ! トロフィー?」
「ここロブレンティアはリーチェ王国最大都市にして国際都市ゆえに、毎日のように多くの旅人さんが世界中から訪れてくるのですが、その中でも特にユニークだと評されるお方に、ユニーク旅人賞というものを差し上げておりますの」
「そんな、高尚なものを私なんかが貰っちゃっていいんですか?」
「はい。遠慮なさらずに。昨日の新聞の記事を見て、これは久々の逸材だと感じ即授与を決めましたのよ」
「そう言われましたら、貰っちゃいます」
桜子は緊張気味に受け取る。朗らかな感じのおじさん型のキャラクタートロフィーで、デザインもユニークだった。
「おめでとう桜子お姉ちゃん」
「桜子ちゃんならきっと貰えると思ってたわ」
コリルとコスヤさんは拍手を送る。
「私、優秀な特別な人が貰えるような賞を貰ったことなんてなかったから、とても嬉しかったです」
桜子は満面の笑みを浮かべた。
「では桜子お嬢様、これからもロブレンティアの人々を大いに楽しませて下さいませ」
ポポルワノさんはそうおっしゃって、コリル宅をあとにしたのであった。
「素敵な市長さんだね」
「ポポルワノさんは時々わたしの通う学校にも訪れて来て、手品や人形劇や演奏やお歌を披露してくれるんだ。人を楽しませることが大好きな多才なお方なんだよ」
「そうなんだ」
コリルから聞かされ、桜子はほっこりとした気分に。
「桜子お姉様、今日のイラスト描写お披露目会、とっても良かったです」
「算数とかの授業よりも楽しかったよ」
「絵の勉強になりました」
「ありがとう。喜んでもらえてやりがいがあったよ」
夕食後は、昨夜と同じくコリルやそのお友達といっしょにお風呂に入り、コリルからリーチェ王国の文字を教わった。
「日本語学習用のノートも何冊か用意したよ」
「コリルちゃん、やる気満々だね」
そして約束通り、桜子は日本語の文字のひらがなカタカナ全てをそのノートに書いて、読み方も一通り教えてあげ、漢字も少し教えたのだった。
「一日十文字を目標に、今日はあ行とか行のひらがなを完璧に覚えようっと。日本語の文字って、ものすごぉく難しいね。特に漢字は字形が複雑過ぎて覚えられそうにないや」
「まあ、漢字は何万種類もあって同じ字でもいろんな読み方があったりして、日本人でも読めない書けない見たことすらない漢字の方がずっと多いくらいで、学校で習うのはほんの一部だけだからね。でも学校で習う漢字さえマスター出来れば、日常的に困ることはほぼないかな」
「わたし、日本っていう国にいつか訪れた時に、文字を読むのに困らないようにいっぱいお勉強しておきたいな」
「コリルちゃん頑張って。ちなみに難しいは、漢字でこう書くんだよ。日本ではエコール・プリメールに当たる小学校で習うよ」
桜子が『難しい』と書き記すと、
「本当に難しいや。ひらがなカタカナ覚えて、簡単そうな漢字も覚えれたら、この文字も読み書き出来るように頑張らなきゃ」
コリルは難しい表情を浮かべるのだった。
「コリル、その調子で算数も頑張ってね」
コスヤさんから爽やかな笑顔で言われると、
「それは難しいことだよ、ママ」
ますます難しい表情になるのだった。
「私も算数、数学は苦手だな。そういえば、国語の教科書鞄の中に入ってるんだった」
桜子は、手荷物はそのままで異世界に転移されたことをふと思い出し、通学鞄から取り出した。
「これが私の通ってた学校で使ってた国語、日本語の教科書だよ。コリルちゃんも勉強頑張ったらそのうち難なく読めるようになるよ」
現代文が載っている高等学校用のそれをコリルに手渡してみる。
「もの凄い量の難しそうな文章だね。何年かかるか分からないけど、いずれ読めるようになりたいな」
コリルはパラパラと捲って苦笑い。随想、小説、評論などが多数掲載されていて、日本人にとっても小学生には難しい内容なのでコリルにとっては尚更ちんぷんかんぷんだろう。
「私もコリルちゃんが今使ってる各教科書に書かれてる文章は、早く読めるようになりたいよ。ん? この教科書に載ってる文字は、形がけっこう違うね。これもこの国の文字なのかな?」
「これはピララティノ語だよ。ピララティノ王国を中心にこの世界で一番多くの人々に話されてるの。この国ではエコール・プリメールの三学年から外国語教科として習ってるよ。街のピララティノ語教室で幼稚園の頃から習ってる子も多いよ。おはようがグッモーニン、こんにちはがハローで、おやすみがグッナイ、お元気ですか? はハウアーユーだよ。わたしの名前はコリルですはマイネームイズコリルになるの。リーチェ語にもピララティノ語が由来の外来語がいっぱいあるよ。フルーツとかスイーツとか、ケーキとか、ドリンクとか、ダンスとかスポーツとかライブとか」
「私の世界の英語そっくりだねっ! リーチェ語の文字マスター出来たらこの文字もマスターしたいな」
「わたし、日本語の文字ある程度読み書き出来るようになったら、英語の文字も教わりたいな」
「分かった。教えてあげるね。大文字と小文字の合わせて五十二文字しかないから、漢字よりも簡単に覚えられると思うよ」
コリルと共に新たな目標も出来て、桜子は異世界生活三日目の夜も充実して過ごしたのだった。
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