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第十二話 この世界の競馬って、ギャンブルの対象にもなってなくて子ども達に大人気でファンタジー感溢れ過ぎて面白過ぎるよ
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次の休日。コリル宅朝食の団欒にてこんな会話が交わされていた。
「桜子お姉ちゃん、今日はママといっしょに競馬を見に行くよ」
「ロブレンティア王立競馬場は、コリルが三歳くらいの頃から何度も連れて行ってる楽しい所よ」
「コスヤさんって、競馬をされるんですか!? 凄く意外です。競馬って、競馬場で生では観たことはないんですが、日本ではギャンブルをする場所で、素行の良くないダメな大人がいっぱい集まってくる、ママからもテレビで映ってたのを観てこういう所に入り浸る大人になっちゃいけないのよ。競馬が趣味な人とは絶対に結婚しちゃいけないのよって言われた記憶があって、世間で悪いイメージを持たれてるんだけど、こっちの世界だと違うのかな?」
「日本の競馬って、そんなイメージなんだ!」
「リーチェ王国にあって、日本にもある文化の中で、一番カルチャーショックを受けたわ」
コリルとコスヤさんは驚き顔。
「ウ〇娘の影響もあって近年はイメージも上がって客層も良くなって来てはいるそうですが、それでもまだ悪いイメージを持つ人は多いですよ」
「リーチェ王国の競馬には、ギャンブル要素は全く無いわよ」
「なんでギャンブルの対象にしちゃうのかすごく不思議だね。この国の競馬は、桜子お姉ちゃんも絶対楽しめるよ」
「この世界の競馬、どんな感じなのかとっても気になるので楽しみです。ペガサスやユニコーンみたいなのが走っててファンタジー感凄そうだなぁ」
「競馬で走るお馬さんは競走馬って呼ばれてて、リーチェ王国で飼われてる数万頭のお馬さん達の中で走るのが特に速い個体が選ばれてるんだ」
「日本の競馬のサラブレットみたいに、競走馬になりやすい品種ってあるのかな?」
「特にそういうのはないわ。同じ品種、例えばペガサスでもとっても走るのが速い個体もいたり、のんびりと走る個体もいたり、空を飛べる個体もいれば、飛べない個体もいたりでいろいろなのよ。個体の数だけ個性がある。この品種だから特定の能力が際立ってる。または苦手ってことはないのは、様々な種族の方々がいるわたくし達人間と同じことよ」
「そうでしたか。日本の競馬よりいろいろな種類のお馬さんが見られそうだね」
期待たっぷりな桜子、いつものドラゴンに乗せてもらい王立競馬場へ。
石造りの壮大な外観であった。
「若い女性や子ども達を連れた家族連れでいっぱいだね。日本の競馬場だとたくさん集まってくるっていう、ガラの悪そうなおじさんやお爺さんは全然見かけないね。おじさんお爺さんも人柄の良さそうな人ばかりだね。馬券売り場も見当たらないね。入場チケット売り場だけだね」
入場口付近で周囲をきょろきょろ見渡し、桜子は朗らかな気分で会場内へ入っていくのだった。
芝生や砂が敷かれた大きなトラックがあり、全景が見渡せるように観客席が設けられているのも日本の競馬場とよく似ているところだ。
桜子達三人は、前の方の座席で観ることに。
全部で十二頭の馬が横一列に並んで待機していた。ゲートは無かったがそこがスタート位置らしい。
「予想通りペガサスやユニコーンみたいなお馬さんもいるね。ゼ〇ダに出てくるエ〇ナみたいなものいるし、金色のお馬さんもいるし、カラフルなお馬さんもいるよ。真っ赤な色ですごく怖い表情してるの、闘争心高そうだし特に速そう。というか騎手いないんだ。人は乗らずに馬だけが走るの?」
「日本の競馬って、全力で走ってる競走馬さんに人が乗るの?」
コリルは驚いた様子。
「うん。騎手っていうのがいるんだ。ウ〇娘のCMにも出演されてた、武〇さんとかが有名だな」
「そうなんだ! 」
「またもカルチャーショックね。乗馬用のお馬さんっていうのが別にいて、競走馬を乗りこなすのは、馬術に優れた騎士さんでも絶対無理よ」
コスヤさんは苦笑い。
そんな会話を弾ませていると、
「皆さーん、まもなく、お馬さんが走り出しますよーっ。お馬さんの活躍、注目しててね。今日がデビューの子もいるので、温かく見守ってあげてね」
場内アナウンスが。マイクはまだ発明されていないようだが、透き通るような聞き取りやすい女性の声であった。
「大きな会場でもみんなに分かりやすく声を出す係の人達は、声優さんって呼ばれてるの。イベント会場によく出演する着ぐるみの声を、お客さんからは見えない舞台裏から代わりに出してくれることもあるよ。魔物さんが人間の言葉をしゃべってるようにように思わせることだってこなせるんだよ」
「この世界にも声優さんがいるんだね。マイク使わずにそういうのが出来るって、日本の声優さんよりも技術高いかも。日本ではアニメのキャラの声や外国の映画の吹き替え、テレビ番組のナレーター、ラジオ出演なんかでご活躍されてるよ。他にライブとかもやったりテレビ番組に顔出しで出たり」
「日本の声優さんもライブ以外何のことかよく分からないけど、凄い技術持ってそうだね」
「わたくしも青春時代、声優さんに憧れてたことあったけど、技術の凄さを知ってこれは無理だなって思って早々に諦めたわ」
「私も声優は絶対無理です。日本でもこの世界のでも」
そんな会話を楽しそうに弾ませてからまもなく、
「皆さん、お馬さんが、いよいよ走り出しますよ。よぉいスタート!」
レースがスタートしたようだ。
馬達が一斉にトラックを駆け抜けていく。
「「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおっ!」」」」」」」」」」」
「「「「「「「お馬さん、頑張れーっ!」」」」」」」
老若男女、様々な種族の観客からの大歓声!
「うわっ! 火を噴いたよ。激しく体を揺らしてるし、もの凄い速さだし、確かに人が乗ったら危険過ぎだよね。でも面白いよ。特にあのカラフルなお馬さん、新幹線よりも速いんじゃない?」
桜子も大興奮だ。
やがて馬達の動きが止まり、
「なんか位置がバラバラで止まっちゃったけど、どのお馬さんが一番なんだろ?」
桜子が不思議そうに問いかけると、
「一番?」
コリルはきょとんとなる。
「日本の競馬では、お馬さんが一斉にスタートしてゴールに辿り着くまでの時間を競って順位付けをするんだよ。その予想結果がギャンブルの対象になってるみたい」
「そうなんだ! この国の競馬は、いろんな種類のお馬さん達のパフォーマンスショーを観て楽しむものなんだよ。多種多様なお馬さんの個性を尊重する学びの場なんだよ」
「またしてもカルチャーショックね」
「本日も、どのお馬さんもとっても素晴らしい走りでしたね。お馬さん達、ありがとう♪」
声優さんから馬に対する労いの言葉が。
お馬さん達が全頭退場していくと、ほどなく、
「続いては、力持ちなお馬さん達のご登場です。馬車でも大活躍してるよ」
声優さんのアナウンスののち、先ほどとは別の個体の馬達が十頭ほど登場し、巨大な鉄球や箱などを引っ張るパフォーマンスを見せてくれた。
「これも競馬なのかな?」
「うん、競馬だよ」
「日本の競馬は、お馬さんが競走するやつしかやらないけど、この世界の競馬はこれも競馬っていうんだね」
「他にもいろんな特技を持ったお馬さん達がこのあとも登場するけど、それも全部競馬っていうんだよ」
「そうなんだ! 日本の競馬とは定義が違うねぇ」
力持ちパフォーマンスのあとは、
「こういう光景、私のいた世界じゃアニメやCGを使った実写映像でしか見られないよ」
飛行能力や跳躍力の高いお馬さんや、鳴き声がとても美しいお馬さんや、
「373×796は? 当たっていると思うボードがある方に向かって行ってね」
数の計算が出来る賢いお馬さん達が登場し、パフォーマンスを見せてくれた。
「ワタシよりも計算スピード早くて恐れ入りました。これにて、お馬さん達だけのパフォーマンスショーは終了致します。続いては、騎士さん達のご登場でーす」
このアナウンスののち、最後に登場したお馬さん達が退場していき、入れ替わりで鉄の鎧を身に纏った騎士達が乗馬しながら登場した。
「「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおっ!」」」」」」」」」」」
「「「「「「「騎士さーん!」」」」」」」
パチパチパチパチパチッ!
観客席から、馬だけの時よりも大きな拍手喝采。
かなり大人気のようだ。
騎士達は馬を華麗に操り障害物を乗り越えたり、的に向かって弓矢を射るなどのパフォーマンスを見せてくれた。
「騎士さん達もお馬さん達も、見事なパフォーマンスでしたね。ご出演ありがとうございました」
騎士達も退場すると、入れ替わりで、
「「「「「みんなーっ、こんにちはーっ!」」」」」
馬の着ぐるみと帽子を身に纏ったいろんな種族の若い女の子達が五人登場し、劇をし始めたのだ。
「あれも声優さんがやってるんだよ。わたしが幼稚園の頃は、声優さんって正体不明な謎の声の主って呼ばれてたんだけど、ここ数年でどんどん顔出しもするようになって、エンタメ産業の発展に伴って声優さんの活躍の場はどんどん広がってるんだ。昔から声優さんやってる人は声優が顔出しするんてとんでもないって考えの人もいて、イベントや講演で出演依頼されても断る人もいるんだって」
「昔は声優さんは演劇やオペラ、ミュージカルで役を貰えない売れない舞台俳優さんが仕方なくやるものって見下されてて、声優と呼ばれるのを嫌う人も多い六〇代以上のベテラン声優さん達と最近デビューしてる若い声優さん達との間でジェネレーションギャップがあるみたいよ。わたくしがギムナジウムに入学した二十数年前くらいから芸能雑誌なんかで頻繁に取り扱われるようになって、憧れて目指す子達が増え出したわ」
「その点は日本の声優事情とよく似てるね。ラジオやテレビ、アニメ、ゲーム、CD、パソコン、スマホが発明されてインターネットが広がって、アバターも作れるようになったら活躍の場はもっともっと広がるよ」
「どんなのかよく分からないけど、声優さんの未来は明るそうだね」
女性声優さん達は劇のあとはダンスを交えながらお歌を披露してくれた。
「「「「「「「「はい、はい、はい、はいっ!」」」」」」」」
「「「「「「「「「「うをぉっ、うをぉっ! うをぉっ!」」」」」」」」」」
掛け声を上げながら盛り上がるいろんな種族の十代後半から五〇代くらいの成人男性達の姿も。
女性声優さん達のライブのあとは、入れ替わりで馬の着ぐるみと帽子を身に纏ったいろんな種族の若い男性声優達も登場し、劇や歌を披露して若い女性達を中心に盛り上がった。
そのあとは演奏家達が登場し、草原を駆け抜ける馬や大空を舞うペガサスをイメージした合奏曲を披露してくれた。
それも終えると、お馬さん達が再びコース内へ戻って来た。
本日パフォーマンスショーを行ったお馬さん達が勢揃いだ。
「これより、お馬さん達のエサやり体験を始めます。やりたい子達はここに集まって来てね」
女性声優さんによるアナウンス。
「ぼくやるぅ」
「エサやり体験が競馬の一番の楽しみなの」
子ども達を中心に大勢の人々が集まっていった。
乗馬体験コーナーも設けられ、そちらも子ども達を中心に大盛況だ。
競馬場屋内にはお馬さんグッズを扱うショップもあり、大混雑になっていて、
「ただ今店内大変混み合っておりまして入店制限を行ってまーす。これから馬券を配るので、紙に書かれた番号をご確認下さい。今入店出来るのは、二十番まででーす」
女性声優さんからこんなアナウンスも。
「この世界の競馬の馬券って、そういう風に使われるんだね」
朗らかな気分で馬券を受け取り、入店を待つ桜子も来場客から人気があるようで、
「あっ、さくらこお姉ちゃんだ。お馬さんのイラスト描いて下さい」
「サクラコお姉さんのお馬さんの絵が見たいので、お願いします」
「もちろんいいよ」
小さい子ども達からお願いされると、快くかわいくデフォルメされた感じに描いてあげたのだった。
「いろいろと、日本の競馬とは全然違ってましたね。これなら子ども達も大喜びだし、私もとても楽しめました」
「桜子ちゃんに楽しんでもらえてよかったわ」
「桜子お姉ちゃん、競馬場ならではのメニューが楽しめるレストランもおススメだよ」
桜子達三人は競馬場屋内のレストランへ。
「ただ今、約三〇分待ちです」
ここも混雑のため入店制限され、馬券が配布されていた。
「このレストランは、お馬さんの大好きなお野菜サラダセットとお野菜カレーが特に人気なの。栄養満点でも苦いお野菜は、ちっちゃな子どもは嫌いっていう子も多いけど、お馬さんが大好きだから頑張って食べようって気にさせる食育効果もあるんだって」
「いいこと尽くしだね、この世界の競馬は」
この国の競馬って、漢字で書くとしたら敬馬の方が相応しそうだね。競走馬は強走馬かな。
そう思う桜子なのであった。
「桜子お姉ちゃん、今日はママといっしょに競馬を見に行くよ」
「ロブレンティア王立競馬場は、コリルが三歳くらいの頃から何度も連れて行ってる楽しい所よ」
「コスヤさんって、競馬をされるんですか!? 凄く意外です。競馬って、競馬場で生では観たことはないんですが、日本ではギャンブルをする場所で、素行の良くないダメな大人がいっぱい集まってくる、ママからもテレビで映ってたのを観てこういう所に入り浸る大人になっちゃいけないのよ。競馬が趣味な人とは絶対に結婚しちゃいけないのよって言われた記憶があって、世間で悪いイメージを持たれてるんだけど、こっちの世界だと違うのかな?」
「日本の競馬って、そんなイメージなんだ!」
「リーチェ王国にあって、日本にもある文化の中で、一番カルチャーショックを受けたわ」
コリルとコスヤさんは驚き顔。
「ウ〇娘の影響もあって近年はイメージも上がって客層も良くなって来てはいるそうですが、それでもまだ悪いイメージを持つ人は多いですよ」
「リーチェ王国の競馬には、ギャンブル要素は全く無いわよ」
「なんでギャンブルの対象にしちゃうのかすごく不思議だね。この国の競馬は、桜子お姉ちゃんも絶対楽しめるよ」
「この世界の競馬、どんな感じなのかとっても気になるので楽しみです。ペガサスやユニコーンみたいなのが走っててファンタジー感凄そうだなぁ」
「競馬で走るお馬さんは競走馬って呼ばれてて、リーチェ王国で飼われてる数万頭のお馬さん達の中で走るのが特に速い個体が選ばれてるんだ」
「日本の競馬のサラブレットみたいに、競走馬になりやすい品種ってあるのかな?」
「特にそういうのはないわ。同じ品種、例えばペガサスでもとっても走るのが速い個体もいたり、のんびりと走る個体もいたり、空を飛べる個体もいれば、飛べない個体もいたりでいろいろなのよ。個体の数だけ個性がある。この品種だから特定の能力が際立ってる。または苦手ってことはないのは、様々な種族の方々がいるわたくし達人間と同じことよ」
「そうでしたか。日本の競馬よりいろいろな種類のお馬さんが見られそうだね」
期待たっぷりな桜子、いつものドラゴンに乗せてもらい王立競馬場へ。
石造りの壮大な外観であった。
「若い女性や子ども達を連れた家族連れでいっぱいだね。日本の競馬場だとたくさん集まってくるっていう、ガラの悪そうなおじさんやお爺さんは全然見かけないね。おじさんお爺さんも人柄の良さそうな人ばかりだね。馬券売り場も見当たらないね。入場チケット売り場だけだね」
入場口付近で周囲をきょろきょろ見渡し、桜子は朗らかな気分で会場内へ入っていくのだった。
芝生や砂が敷かれた大きなトラックがあり、全景が見渡せるように観客席が設けられているのも日本の競馬場とよく似ているところだ。
桜子達三人は、前の方の座席で観ることに。
全部で十二頭の馬が横一列に並んで待機していた。ゲートは無かったがそこがスタート位置らしい。
「予想通りペガサスやユニコーンみたいなお馬さんもいるね。ゼ〇ダに出てくるエ〇ナみたいなものいるし、金色のお馬さんもいるし、カラフルなお馬さんもいるよ。真っ赤な色ですごく怖い表情してるの、闘争心高そうだし特に速そう。というか騎手いないんだ。人は乗らずに馬だけが走るの?」
「日本の競馬って、全力で走ってる競走馬さんに人が乗るの?」
コリルは驚いた様子。
「うん。騎手っていうのがいるんだ。ウ〇娘のCMにも出演されてた、武〇さんとかが有名だな」
「そうなんだ! 」
「またもカルチャーショックね。乗馬用のお馬さんっていうのが別にいて、競走馬を乗りこなすのは、馬術に優れた騎士さんでも絶対無理よ」
コスヤさんは苦笑い。
そんな会話を弾ませていると、
「皆さーん、まもなく、お馬さんが走り出しますよーっ。お馬さんの活躍、注目しててね。今日がデビューの子もいるので、温かく見守ってあげてね」
場内アナウンスが。マイクはまだ発明されていないようだが、透き通るような聞き取りやすい女性の声であった。
「大きな会場でもみんなに分かりやすく声を出す係の人達は、声優さんって呼ばれてるの。イベント会場によく出演する着ぐるみの声を、お客さんからは見えない舞台裏から代わりに出してくれることもあるよ。魔物さんが人間の言葉をしゃべってるようにように思わせることだってこなせるんだよ」
「この世界にも声優さんがいるんだね。マイク使わずにそういうのが出来るって、日本の声優さんよりも技術高いかも。日本ではアニメのキャラの声や外国の映画の吹き替え、テレビ番組のナレーター、ラジオ出演なんかでご活躍されてるよ。他にライブとかもやったりテレビ番組に顔出しで出たり」
「日本の声優さんもライブ以外何のことかよく分からないけど、凄い技術持ってそうだね」
「わたくしも青春時代、声優さんに憧れてたことあったけど、技術の凄さを知ってこれは無理だなって思って早々に諦めたわ」
「私も声優は絶対無理です。日本でもこの世界のでも」
そんな会話を楽しそうに弾ませてからまもなく、
「皆さん、お馬さんが、いよいよ走り出しますよ。よぉいスタート!」
レースがスタートしたようだ。
馬達が一斉にトラックを駆け抜けていく。
「「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおっ!」」」」」」」」」」」
「「「「「「「お馬さん、頑張れーっ!」」」」」」」
老若男女、様々な種族の観客からの大歓声!
「うわっ! 火を噴いたよ。激しく体を揺らしてるし、もの凄い速さだし、確かに人が乗ったら危険過ぎだよね。でも面白いよ。特にあのカラフルなお馬さん、新幹線よりも速いんじゃない?」
桜子も大興奮だ。
やがて馬達の動きが止まり、
「なんか位置がバラバラで止まっちゃったけど、どのお馬さんが一番なんだろ?」
桜子が不思議そうに問いかけると、
「一番?」
コリルはきょとんとなる。
「日本の競馬では、お馬さんが一斉にスタートしてゴールに辿り着くまでの時間を競って順位付けをするんだよ。その予想結果がギャンブルの対象になってるみたい」
「そうなんだ! この国の競馬は、いろんな種類のお馬さん達のパフォーマンスショーを観て楽しむものなんだよ。多種多様なお馬さんの個性を尊重する学びの場なんだよ」
「またしてもカルチャーショックね」
「本日も、どのお馬さんもとっても素晴らしい走りでしたね。お馬さん達、ありがとう♪」
声優さんから馬に対する労いの言葉が。
お馬さん達が全頭退場していくと、ほどなく、
「続いては、力持ちなお馬さん達のご登場です。馬車でも大活躍してるよ」
声優さんのアナウンスののち、先ほどとは別の個体の馬達が十頭ほど登場し、巨大な鉄球や箱などを引っ張るパフォーマンスを見せてくれた。
「これも競馬なのかな?」
「うん、競馬だよ」
「日本の競馬は、お馬さんが競走するやつしかやらないけど、この世界の競馬はこれも競馬っていうんだね」
「他にもいろんな特技を持ったお馬さん達がこのあとも登場するけど、それも全部競馬っていうんだよ」
「そうなんだ! 日本の競馬とは定義が違うねぇ」
力持ちパフォーマンスのあとは、
「こういう光景、私のいた世界じゃアニメやCGを使った実写映像でしか見られないよ」
飛行能力や跳躍力の高いお馬さんや、鳴き声がとても美しいお馬さんや、
「373×796は? 当たっていると思うボードがある方に向かって行ってね」
数の計算が出来る賢いお馬さん達が登場し、パフォーマンスを見せてくれた。
「ワタシよりも計算スピード早くて恐れ入りました。これにて、お馬さん達だけのパフォーマンスショーは終了致します。続いては、騎士さん達のご登場でーす」
このアナウンスののち、最後に登場したお馬さん達が退場していき、入れ替わりで鉄の鎧を身に纏った騎士達が乗馬しながら登場した。
「「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおっ!」」」」」」」」」」」
「「「「「「「騎士さーん!」」」」」」」
パチパチパチパチパチッ!
観客席から、馬だけの時よりも大きな拍手喝采。
かなり大人気のようだ。
騎士達は馬を華麗に操り障害物を乗り越えたり、的に向かって弓矢を射るなどのパフォーマンスを見せてくれた。
「騎士さん達もお馬さん達も、見事なパフォーマンスでしたね。ご出演ありがとうございました」
騎士達も退場すると、入れ替わりで、
「「「「「みんなーっ、こんにちはーっ!」」」」」
馬の着ぐるみと帽子を身に纏ったいろんな種族の若い女の子達が五人登場し、劇をし始めたのだ。
「あれも声優さんがやってるんだよ。わたしが幼稚園の頃は、声優さんって正体不明な謎の声の主って呼ばれてたんだけど、ここ数年でどんどん顔出しもするようになって、エンタメ産業の発展に伴って声優さんの活躍の場はどんどん広がってるんだ。昔から声優さんやってる人は声優が顔出しするんてとんでもないって考えの人もいて、イベントや講演で出演依頼されても断る人もいるんだって」
「昔は声優さんは演劇やオペラ、ミュージカルで役を貰えない売れない舞台俳優さんが仕方なくやるものって見下されてて、声優と呼ばれるのを嫌う人も多い六〇代以上のベテラン声優さん達と最近デビューしてる若い声優さん達との間でジェネレーションギャップがあるみたいよ。わたくしがギムナジウムに入学した二十数年前くらいから芸能雑誌なんかで頻繁に取り扱われるようになって、憧れて目指す子達が増え出したわ」
「その点は日本の声優事情とよく似てるね。ラジオやテレビ、アニメ、ゲーム、CD、パソコン、スマホが発明されてインターネットが広がって、アバターも作れるようになったら活躍の場はもっともっと広がるよ」
「どんなのかよく分からないけど、声優さんの未来は明るそうだね」
女性声優さん達は劇のあとはダンスを交えながらお歌を披露してくれた。
「「「「「「「「はい、はい、はい、はいっ!」」」」」」」」
「「「「「「「「「「うをぉっ、うをぉっ! うをぉっ!」」」」」」」」」」
掛け声を上げながら盛り上がるいろんな種族の十代後半から五〇代くらいの成人男性達の姿も。
女性声優さん達のライブのあとは、入れ替わりで馬の着ぐるみと帽子を身に纏ったいろんな種族の若い男性声優達も登場し、劇や歌を披露して若い女性達を中心に盛り上がった。
そのあとは演奏家達が登場し、草原を駆け抜ける馬や大空を舞うペガサスをイメージした合奏曲を披露してくれた。
それも終えると、お馬さん達が再びコース内へ戻って来た。
本日パフォーマンスショーを行ったお馬さん達が勢揃いだ。
「これより、お馬さん達のエサやり体験を始めます。やりたい子達はここに集まって来てね」
女性声優さんによるアナウンス。
「ぼくやるぅ」
「エサやり体験が競馬の一番の楽しみなの」
子ども達を中心に大勢の人々が集まっていった。
乗馬体験コーナーも設けられ、そちらも子ども達を中心に大盛況だ。
競馬場屋内にはお馬さんグッズを扱うショップもあり、大混雑になっていて、
「ただ今店内大変混み合っておりまして入店制限を行ってまーす。これから馬券を配るので、紙に書かれた番号をご確認下さい。今入店出来るのは、二十番まででーす」
女性声優さんからこんなアナウンスも。
「この世界の競馬の馬券って、そういう風に使われるんだね」
朗らかな気分で馬券を受け取り、入店を待つ桜子も来場客から人気があるようで、
「あっ、さくらこお姉ちゃんだ。お馬さんのイラスト描いて下さい」
「サクラコお姉さんのお馬さんの絵が見たいので、お願いします」
「もちろんいいよ」
小さい子ども達からお願いされると、快くかわいくデフォルメされた感じに描いてあげたのだった。
「いろいろと、日本の競馬とは全然違ってましたね。これなら子ども達も大喜びだし、私もとても楽しめました」
「桜子ちゃんに楽しんでもらえてよかったわ」
「桜子お姉ちゃん、競馬場ならではのメニューが楽しめるレストランもおススメだよ」
桜子達三人は競馬場屋内のレストランへ。
「ただ今、約三〇分待ちです」
ここも混雑のため入店制限され、馬券が配布されていた。
「このレストランは、お馬さんの大好きなお野菜サラダセットとお野菜カレーが特に人気なの。栄養満点でも苦いお野菜は、ちっちゃな子どもは嫌いっていう子も多いけど、お馬さんが大好きだから頑張って食べようって気にさせる食育効果もあるんだって」
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そして彼は、王国を追放される。
それでも彼は怒らない。
数字は嘘をつかないと知っているからだ。
戦わずして勝ち続けた参謀が、国を去るその日までを描く、
知略と静かな誇りの異世界戦略譚。
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