上 下
12 / 74
本編

11.その頃王太子は

しおりを挟む
どうやら目を覚ましたのは自分が最後だった様だ。
何故か分からないが聖女リリーナがこちらを睨んでいる

いくら聖女とはいえ王太子の自分を睨むなど不敬ではないのか?

そもそもリリーナはこんな容姿をしていたか?

髪はバサバサで顔も赤く腫れあがり
それを抜きにしても何処にでもいる様なのっぺりした顔立ち

自分があったばかりの天使の様なルシエルに遠く及ばないではないか。

ルシエル、私が初めて愛した初恋の女

初めて彼女に会ったのは、自分の将来の妃を選ぶパーティ
実際にはまだ幼かった私が婚約者を選ぶパーティという名目で
上位貴族の令嬢を集めてしまったら
後々に有料物件が出ても足枷になる事もあるので
建前上は、上位貴族の子供たちの交流会
元に自分以外にも、宰相の息子や侯爵家の息子も参加している。

侯爵家の息子?その隣にいる少女は誰だ?
いくら何でもこの場に婚約者同伴でエスコートするはずも無いので
恐らく家族だろう、容姿も似ているかと言われれば、
ある程度納得ができる位は似ている。

だがその少女の美しくさは何だ?
天使か?侯爵家を守護する天使なのか?

日にすけて溢れる様に煌めく美しい白銀の髪
大きな目で際立った顔立ちは普通であればキツく感じてしまうのに
優しい水色の瞳が上品に優しくその美しさを引き立たせている。
しかも与えられた生来の容姿だけでは無く
美しくも品格を感じる立ち振る舞い
王太子になるべく厳しく育てられた自分になら分かる

貴族の立場に溺れず、それこそ血反吐を吐く様な教育
無理強いされたからでは無く、気高い魂を持つものだけが身につけられる品位

彼女であれば、いや彼女でなければ
自分の横に立つ妃は務まらない。

急がねばならない、如何に王族とは言え
高位貴族との婚約が決まってしまった後であれば
下手な横恋慕は出来ない。

このパーティに参加したのであれば
今ならフリーのはず
いや仮にフリーで無くとも、
王族の目的を知って、このパーティに参加した以上は
自分が望めば断れない
この後パーティが終わった後直ぐに父に頼んで
侯爵家に婚約の打診をしてもらおう。

私は彼女ルシエルを手に入れる事が出来た。
気立が良く、聡明であったが決して前に出過ぎずに
最後には必ず俺を建ててくれる理想の婚約者

だが一つどうしても我慢出来ない事があった。
彼女は軽度なブラコンだったのだ
普通であれば問題無いのだが
どうやら本当の兄妹ではないらしい。

王子の自分の婚約者が血が繋がっていない男と
同じ屋根の下で暮らすのはどうなのだ?
戸籍上は兄妹なので文句も言えず
ルシエルの兄とは同じ年なので実際に何度か話した事はあるが
やましい気持もなく分んも弁えた優秀な男であったので
どうにか我慢出来ていたが、面白くないものは面白くない

そんな私の心情を知ってか知らずかは分からないが
急に自分に聖女であるリリーナが近づいて来た。
やましい気持も無いし、
ルシエルだって別の男の話をするんだから
何ら責められるゆわれもない

だが次第にリリーナに惹かれていく自分がいた。
彼女がそばにいると非常に安心するのだ。

また、ルシエルの城内での評判も非常に悪くなり
あの美しかった容姿も今では派手すぎて
彼女が側にいるとイライラしてくる。

そんな時に起こった聖女暗殺未遂事件

如何に嫉妬していたからとは言え
聖女を殺そうとするなど何と醜い女だったのだろうか。

私は父親がいない間に
直ぐにあの女を糾弾して婚約破棄をして島流しにしたのだ。

余程恐ろしかったのか震えながら
ルシエルの処刑をリリーナは望んだが
流石に父がいない間に高位貴族の処罰をする訳にはいかない。

二度とリリーナに近づけない様に契約魔法を施して
罪人でも嫌がる、あの島に送ってしまおう。

私は悪くない
聖女を殺そうと企てた
ルシエルが一方的に悪いだ
私は悪くない



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

勘違いしちゃってお付き合いはじめることになりました

BL / 完結 24h.ポイント:2,898pt お気に入り:550

【R18】「いのちだいじに」隠遁生活ー私は家に帰りたいー

恋愛 / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:1,754

いつから魔力がないと錯覚していた!?

BL / 連載中 24h.ポイント:16,699pt お気に入り:10,472

処理中です...