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60.せめて愛する人と共に
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デュークとルイードで転移すると目の前に倒壊寸前の建物内があった。
以前の聖女が住む分には気にしていなかったが、
元の聖女が住むと思うと多少なりとも心が痛む。
だがそんな事を気にしている場合では無い。
「ハーレックいるか?」
入り口から声をかけると中から聖女リリーナが出てきた。
清らかな雰囲気で、もの凄い美人では誰にでも好かれそうな女性が出てきた。
同じ様な服を着て、外見も同じなのにひと目見てアノ女ではない事がわかる。
「殿下に御用ですか?」
「ああ急いでるんで、済まないが会わせて欲しい」
「申し訳ありません、昨日こちらに送って頂いて直ぐにいなくなってしまって、
ダンさんは、朝早くから殿下を探しに出かけました」
聖女は自分が悪い訳でもないのに申し訳なさそうにしている。
「逃げられましたね」
「ああだがやはり、あいつがルシエルに害を与えたのは確実だ」
デュークとルイードは、お互いの顔を見てそう言った。
「もし良かったら事情を話して頂けますか?
ですがその前に一度聖なる加護をかけ直します」
「君ほどの聖女がかけた加護が一日しか持たないのか?」
「はい、デューク様は魔法抵抗が非常に高く、
ルイード様は恐らく特殊な眼鏡だと思うのですが、
その上で私の加護をかけた状態でここまで侵食するなんて」
聖女リリーナに再度加護魔法をかけてもらった後に、
デュークとルイードは、全てを話した。
「聖女の意見を聞きたい」
「皆さんが思っている通り恐らく殿下に無理やり飲まされた物が
呪いの根源だと思います。
しかもたった一日で加護を無効に出来る位に相当強い呪いです。
魔法薬や聖水等では効きめがなく、
私が聖魔法をかけるには、近づく為に契約魔法を解除する必要があり、
解除出来たとしても今の私では、呪いを解くほどの力がありません。
物理的に破壊するにもルシエルさんの体の中ですので無理です。
殿下を見つけて殺しても呪いは解けないと思います」
「打つ手なしか」
「すいません」
「いや、俺達も覚悟はしていた。
リリーナさん、俺達三人は今住んでいる所の近くにある湖の畔で、
今日の夜に俺の魔法で死ぬ事にする。
気が向いたら一年に一度くらい祈ってくれ、
フェンリルの子供には君に害を与えないように言い聞かせておくから、
残った物は好きに使ってくれ」
「皆さんが安らかに天国で過ごせますように。
日々の祈りは聖女の務めですので毎日お祈り致します」
本来教義の上では、自殺を止めるべきであろう、
だが死を覚悟した人間の前では、
せめて思い残す事が無いように祈る事しか出来ない。
「ああ、ありがとう、ルイード戻るか。」
「ハーレックは良いのですか」
「こうなったらあの男を探しても仕方ない、
ルシエルの側に少しでもいてやろう」
「.......そうですね」
二人は覚悟を決めてルシエルの元に戻った。
自分の不甲斐なさも痛感している。
エセ聖女やハーレックへの憎しみもある。
だが最期が決まったなら、一秒でも多くルシエルと共にいたい。
共に逝けるのがせめてもの救いだった。
以前の聖女が住む分には気にしていなかったが、
元の聖女が住むと思うと多少なりとも心が痛む。
だがそんな事を気にしている場合では無い。
「ハーレックいるか?」
入り口から声をかけると中から聖女リリーナが出てきた。
清らかな雰囲気で、もの凄い美人では誰にでも好かれそうな女性が出てきた。
同じ様な服を着て、外見も同じなのにひと目見てアノ女ではない事がわかる。
「殿下に御用ですか?」
「ああ急いでるんで、済まないが会わせて欲しい」
「申し訳ありません、昨日こちらに送って頂いて直ぐにいなくなってしまって、
ダンさんは、朝早くから殿下を探しに出かけました」
聖女は自分が悪い訳でもないのに申し訳なさそうにしている。
「逃げられましたね」
「ああだがやはり、あいつがルシエルに害を与えたのは確実だ」
デュークとルイードは、お互いの顔を見てそう言った。
「もし良かったら事情を話して頂けますか?
ですがその前に一度聖なる加護をかけ直します」
「君ほどの聖女がかけた加護が一日しか持たないのか?」
「はい、デューク様は魔法抵抗が非常に高く、
ルイード様は恐らく特殊な眼鏡だと思うのですが、
その上で私の加護をかけた状態でここまで侵食するなんて」
聖女リリーナに再度加護魔法をかけてもらった後に、
デュークとルイードは、全てを話した。
「聖女の意見を聞きたい」
「皆さんが思っている通り恐らく殿下に無理やり飲まされた物が
呪いの根源だと思います。
しかもたった一日で加護を無効に出来る位に相当強い呪いです。
魔法薬や聖水等では効きめがなく、
私が聖魔法をかけるには、近づく為に契約魔法を解除する必要があり、
解除出来たとしても今の私では、呪いを解くほどの力がありません。
物理的に破壊するにもルシエルさんの体の中ですので無理です。
殿下を見つけて殺しても呪いは解けないと思います」
「打つ手なしか」
「すいません」
「いや、俺達も覚悟はしていた。
リリーナさん、俺達三人は今住んでいる所の近くにある湖の畔で、
今日の夜に俺の魔法で死ぬ事にする。
気が向いたら一年に一度くらい祈ってくれ、
フェンリルの子供には君に害を与えないように言い聞かせておくから、
残った物は好きに使ってくれ」
「皆さんが安らかに天国で過ごせますように。
日々の祈りは聖女の務めですので毎日お祈り致します」
本来教義の上では、自殺を止めるべきであろう、
だが死を覚悟した人間の前では、
せめて思い残す事が無いように祈る事しか出来ない。
「ああ、ありがとう、ルイード戻るか。」
「ハーレックは良いのですか」
「こうなったらあの男を探しても仕方ない、
ルシエルの側に少しでもいてやろう」
「.......そうですね」
二人は覚悟を決めてルシエルの元に戻った。
自分の不甲斐なさも痛感している。
エセ聖女やハーレックへの憎しみもある。
だが最期が決まったなら、一秒でも多くルシエルと共にいたい。
共に逝けるのがせめてもの救いだった。
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