【完結済】サバイバル奮闘記 転生悪役令嬢の逆転劇

忠野雪仁

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72.震える島

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吹く風もだんだんと寒くなり秋もそろそろ終わりの頃、
いつもと同じ様にリリーナさんと朝食を作っている最中、
まるで島全体の空気を震わせるような大きな鳴き声が聞こえた。

コンテナの中にいた為にはっきりとは分からないけど、
恐らく方向的には島の中央の火山から聞こえた様に思える。
デュークお義兄様は、真っ先に洞窟から出て来て私の無事を確認すると、
安堵の溜め息を付いて火山の方向を確認している。
私とリリーナさんは一度コンテナに戻り、火にかけていた料理中の鍋を外した。

暫らくすると全員が洞窟の入口の前に集まって来た。
「恐らくあれは竜の咆哮だ。
俺がまだ師のもと僻地で修行していた時に師と共に討伐した事があるのでまず間違えない」
「討伐した事があると言う事は、今回も問題なく討伐出来ると考えても良いですか?」
「今回の竜の大きさにもよるが単純には倒せないかもしれない。
俺達が討伐した時に師匠は3重螺旋魔法陣で詠唱を行う為に、
瞳に一つずつ刻印していた魔法陣を使用した為に両目を失明した。
今の俺であれば刻印せずとも2重螺旋魔法陣までは展開出来るが、
竜の魔法耐性を貫通出来るか分からないし、詠唱自体長くなるので竜の拘束も難しい」
デュークお義兄様とルイードさんを中心に対策を話し合った。

「放っておけば居なくならないか?」
「分からないが火山に産んでいた竜の卵が孵ったにせよ、他の場所から飛来したにせよ、
火竜であれば冬を越すまで火山から離れないと考えた方が良い」
ダンさんの質問にデュークお義兄様はそう答えた。
デュークお義兄様の意見は、
孵化したばかりで更に冬を越すために食欲旺盛なので、
早急に対応を取る必要があるらしかったので作戦を決めた。

ーーー
『鑑定』

【鑑定結果】
名称:火竜
分類:火竜の幼竜
その他: 
魔法耐性(弱)
物理耐性(弱)
テール攻撃

私は飛んで来くる竜に鑑定をかけてデュークお義兄様に伝えた。
デュークお義兄様は、当初の予定通りの作戦を行うと皆に告げると皆も黙って頷いた。
火竜は何度か空を旋回して洞窟の前に置いておいた魔物の前に降り立った。
火竜が降りた途端に自重に耐えられず掘ってあった落とし穴に落ちて、
落とし穴の中に仕込んであった竹槍に貫かれて咆哮をあげた。

空を飛べる竜とはいえ、翼を畳んだ状態で落とし穴に落ちてしまえばひとたまりもないようだ。
とは言え幼竜だからこそであり、長い間生きて知恵をつけた竜であればもっと用心をしていただろう。
私達全員は洞窟から飛び出した。
お義兄様は直ぐに2重螺旋魔法陣の展開詠唱を唱え始めた。
私が格納スキルでしまっておいた痺れ薬を出して次々にルイードさんに渡すと、
ルイードさんはありったけ落とし穴の中にまとめて転移させた。
火竜は痺れて上手く飛び立てないようで、動くたびに竹槍に刺さって咆哮をあげている。
リリーナさんは、デュークお義兄様の詠唱が終わる前に万が一にも逃げられないように、
結界魔法で落とし穴に蓋をした。
ここで逃してしまえば知恵をつけて手傷を負った竜は相当危険らしい。
デュークお義兄様の詠唱が唱え終わった瞬間にリリーナさんは結界魔法を解いて、
ルイードさんが大きめの岩を落とし穴に転移させた。
火竜はまたも飛び立ち損ねて竹槍に刺さり咆哮をあげた。
次の瞬間にルイードお義兄様の魔法が炸裂して爆炎があがった。
あれ程の威力の魔法であったにも拘わらず落とし穴の中の火竜は原形を保っていた。
ダンさんは念の為に火竜の喉元に騎士の剣を差し込んだが、
火竜はピクリとも動かなかったので死んでいるのだろう。
何とか無事に竜の討伐は成功したのだった。
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