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宝箱回収と金策重視ルート。
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ランタンの灯りを頼りに、私達は薄暗い洞窟を進んでいきます。水が落ちる音、喋る声も反響しておりますわね。
む。確か、あちらに設置型の罠がありますわね。わざわざ通り道にですわ。ここは打撃を与えて破壊、その後離脱を――。
「――あ、アリアンヌ様。待ってください。そこに罠があるから、解除するね」
「……お願いしますわ」
イヴが平和に解決してくださるなら、それに越したことはありません。
こうしてみますと、罠はいたるところにありましたのね。ごり押しで気づいてないところもありました。アリアンヌ様にも知らずにダメージを与えていたのかも。悪いことしましたわ。
ああ、脳筋、脳筋と。ギルドの方々の声も反響しておりますわ、私の脳内で!
さて。今回の目的は、紫の宝箱の回収。並びに資金調達ですわ。稼ぎとなりますと、鉄板のやり方にしますようか。
「――発見しましたわ!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、カラフルなウサギ型の魔物がやってきました。出ましたわね、『ラッキーラビット』! しかも複数、ついてますわ!
「……討伐。お下がりください!」
イヴは喉を鳴らしました。ついに戦闘かと、彼は身構えております。
「……いいえ、イヴ。あなたは見ていればよいのです。私の『やり方』をあなたも学ぶのです」
「やり方って――」
イヴはそれでも私を守ろうとしてましたが、見ればおわかりになるでしょう。さあ、御覧なさい!
「――ぴょーん、ぴょんぴょん。はい、はいっ。ぴょん、ぴょん、ぴょんぴょんぴょん!」
私はリズムに乗って、踊り始めました。一人で合いの手も入れておりますわ。
「……はい?」
ああ、イヴがぽかんとしておりますわ。初見さん?
「……えっと? これ、魅了状態? 混乱状態? ……アリアンヌ様、今、解除するから!」
ええと、状態異常扱いされてますわ。私は正気でしてよ!
「ぴょんぴょんぴょん!」
魔物達も私に合わせてきました。ボルテージが上がってきましたわ! 私はまだまだ踊りましてよ! 上がってきましたわぁぁぁ!
ラッキーラビット。それを普通に討伐など、なんともったいない! 私は隠しコマンドを発見しましたの。それは、『踊る』コマンド! 踊れば踊るほど、相手も満足し、戦意を喪失して去っていく。大量にお金もゲットですわ!
「……はあはあ」
久々過ぎて、ついノリに乗ってしまいましたわ。魔物達も満足してくれたので、そのまま去っていきました。お金が入った麻袋もたくさん!
「……本当に大丈夫?」
イヴはまだ、私が正気かと疑っています。
「正気ですわよ」
「そっか……それなら」
「ええ、ご心配なさらず。ほら、ぴょんぴょんって。次はあなたにもやってもらいますからね?」
「……っ」
私は手でウサギの耳を真似して、軽く踊った。イヴに目をそらされてしまいましたが、なんだというでしょう。顔も赤くなってますし。ははーん。
「あなたも照れている場合ではなくてよ? 稼ぎになるのですから」
「僕も!?」
あら、かなり嫌そうですこと。照れてますものね。やってみたら楽しいものですけれど。
「無理強いも良くありませんわね。あなたの気が乗ってきたらで構いませんわ」
「……い、いえ。やります、やるから、やる」
イヴ、あなた。今度は真っ青ではありませんか。無理強いは本当にしたくないのですが……。
「……アリアンヌ様の為。アリアンヌ様の為」
「本当にやらなくても……」
「……アリアンヌ様の為なら。アリアンヌ様の為なら」
言い聞かせモードに入ってますわね。まあ? 実際にやってみたら楽しいと思いますわよ!
今回選択したルート、稼ぎと宝箱回収を重視しておりますの。
「他の冒険者、いないね」
「ええ。運任せのラッキーラビット出現、それくらいでしょうから。利がありますのは」
「……アリアンヌ様は宝箱目当てだから」
「ええ、そうです」
イヴは複雑そうにしておりますが、私の第一の目的はまさに、そちらなのです。他の冒険者方にとっては仕様用途が不明なるもの。換金不可でもありますもの。取り合いになることもないという、そういった代物ですわ!
「あ、発見しましたわ!」
高所にありますが、ジャンプすれば届くでしょう。
「よっと…!?」
あ。着地時に足を滑らせそうに。
「アリアンヌ様!」
「ほっ!」
ですが、ご安心あれ。この足腰はもろともせず、持ちこたえてみせましたわ!
「……ご無事で何よりです」
イヴは前のめりになった体勢でしたが、彼はその姿勢を正しました。
「心配かけましたわね。ですが、私はこの通り無事ですから」
収拾した宝箱は、私のリュックに収納されます。なんて便利なのでしょう。
さあ、早速一つ手に入れましたわ! この調子で参りましょうか。
む。確か、あちらに設置型の罠がありますわね。わざわざ通り道にですわ。ここは打撃を与えて破壊、その後離脱を――。
「――あ、アリアンヌ様。待ってください。そこに罠があるから、解除するね」
「……お願いしますわ」
イヴが平和に解決してくださるなら、それに越したことはありません。
こうしてみますと、罠はいたるところにありましたのね。ごり押しで気づいてないところもありました。アリアンヌ様にも知らずにダメージを与えていたのかも。悪いことしましたわ。
ああ、脳筋、脳筋と。ギルドの方々の声も反響しておりますわ、私の脳内で!
さて。今回の目的は、紫の宝箱の回収。並びに資金調達ですわ。稼ぎとなりますと、鉄板のやり方にしますようか。
「――発見しましたわ!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、カラフルなウサギ型の魔物がやってきました。出ましたわね、『ラッキーラビット』! しかも複数、ついてますわ!
「……討伐。お下がりください!」
イヴは喉を鳴らしました。ついに戦闘かと、彼は身構えております。
「……いいえ、イヴ。あなたは見ていればよいのです。私の『やり方』をあなたも学ぶのです」
「やり方って――」
イヴはそれでも私を守ろうとしてましたが、見ればおわかりになるでしょう。さあ、御覧なさい!
「――ぴょーん、ぴょんぴょん。はい、はいっ。ぴょん、ぴょん、ぴょんぴょんぴょん!」
私はリズムに乗って、踊り始めました。一人で合いの手も入れておりますわ。
「……はい?」
ああ、イヴがぽかんとしておりますわ。初見さん?
「……えっと? これ、魅了状態? 混乱状態? ……アリアンヌ様、今、解除するから!」
ええと、状態異常扱いされてますわ。私は正気でしてよ!
「ぴょんぴょんぴょん!」
魔物達も私に合わせてきました。ボルテージが上がってきましたわ! 私はまだまだ踊りましてよ! 上がってきましたわぁぁぁ!
ラッキーラビット。それを普通に討伐など、なんともったいない! 私は隠しコマンドを発見しましたの。それは、『踊る』コマンド! 踊れば踊るほど、相手も満足し、戦意を喪失して去っていく。大量にお金もゲットですわ!
「……はあはあ」
久々過ぎて、ついノリに乗ってしまいましたわ。魔物達も満足してくれたので、そのまま去っていきました。お金が入った麻袋もたくさん!
「……本当に大丈夫?」
イヴはまだ、私が正気かと疑っています。
「正気ですわよ」
「そっか……それなら」
「ええ、ご心配なさらず。ほら、ぴょんぴょんって。次はあなたにもやってもらいますからね?」
「……っ」
私は手でウサギの耳を真似して、軽く踊った。イヴに目をそらされてしまいましたが、なんだというでしょう。顔も赤くなってますし。ははーん。
「あなたも照れている場合ではなくてよ? 稼ぎになるのですから」
「僕も!?」
あら、かなり嫌そうですこと。照れてますものね。やってみたら楽しいものですけれど。
「無理強いも良くありませんわね。あなたの気が乗ってきたらで構いませんわ」
「……い、いえ。やります、やるから、やる」
イヴ、あなた。今度は真っ青ではありませんか。無理強いは本当にしたくないのですが……。
「……アリアンヌ様の為。アリアンヌ様の為」
「本当にやらなくても……」
「……アリアンヌ様の為なら。アリアンヌ様の為なら」
言い聞かせモードに入ってますわね。まあ? 実際にやってみたら楽しいと思いますわよ!
今回選択したルート、稼ぎと宝箱回収を重視しておりますの。
「他の冒険者、いないね」
「ええ。運任せのラッキーラビット出現、それくらいでしょうから。利がありますのは」
「……アリアンヌ様は宝箱目当てだから」
「ええ、そうです」
イヴは複雑そうにしておりますが、私の第一の目的はまさに、そちらなのです。他の冒険者方にとっては仕様用途が不明なるもの。換金不可でもありますもの。取り合いになることもないという、そういった代物ですわ!
「あ、発見しましたわ!」
高所にありますが、ジャンプすれば届くでしょう。
「よっと…!?」
あ。着地時に足を滑らせそうに。
「アリアンヌ様!」
「ほっ!」
ですが、ご安心あれ。この足腰はもろともせず、持ちこたえてみせましたわ!
「……ご無事で何よりです」
イヴは前のめりになった体勢でしたが、彼はその姿勢を正しました。
「心配かけましたわね。ですが、私はこの通り無事ですから」
収拾した宝箱は、私のリュックに収納されます。なんて便利なのでしょう。
さあ、早速一つ手に入れましたわ! この調子で参りましょうか。
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