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心沸き立つ、級友たちとのお出かけ。
しおりを挟む明日は休日。教室内では休みの予定で盛り上がっています。やはり中心はブリジット嬢とオスカー殿。彼らは楽しそうに計画を立てています。それを授業の準備をしながら眺めるのは私でございます。
「……ええ」
そうですわよ。勇気を出すのです、私! 羨ましいですもの、声をかけてみるのです。実に羨ましいんですもの。
「――あ」
私の視線に気がついたのは、オスカー殿。彼は私に手を振って、というよりは手招きをしています。寄っていいのでしょうか? 私は席を立ってみました。
「こっちこっち。そうそう」
「はい」
オスカー殿に招かれるままに、私は近寄っていきます。私がやって来たことに、オスカー殿はにこやかです。
「呼んだらひょこひょこやってきた……ひな鳥みたい」
「ひ、ひな鳥……?」
急にひな鳥扱いされ、私はきょとんとしてしまいました。オスカー殿はくすくす笑っています。こ、これは……。
「オスカー殿、あなた……」
私は顔が赤くなっていることでしょう。なんでしょう、この嵌められた感は……!
「ごめん、ごめんて」
オスカー殿。笑っているのは、あなただけでしてよ。他の皆様方は何ともいえない表情をしてらっしゃるわ。ブリジット嬢にいたっては、笑顔が消失しておりましてよ……。
「もう……オスカー殿、お話がありますでしょう? どうなさったの?」
「あ、そうだった」
「そうだったって……」
私は正直呆れてしまいました。流石におちょくる為ではないでしょうけれど。
「今週の日曜日、空いてたらでいいからさ。アリアンヌ様も一緒に出かけない?」
「お出かけでございますか……?」
私は目を見開きました。思わぬ誘いだったからです。
「そうそう。ゆるーく街に遊びにいくくらいだから」
「まあ……!」
オスカー殿は緊張を解すように誘ってくださいます。心が軽くなった私は胸をときめかせるのでした。だって憧れでしたもの。願ったっり叶ったりですわ!
「お誘いありがとうございます。私も加えていただきたいですわ。皆様、よろしくお願いいたいます」
「やった。うん、よろしく」
私が二つ返事すると、オスカー殿も迎え入れてくださいました。私達は微笑み合いました。
「……ねえ、オスカー様? なんでアリアンヌ様を誘ったの? 脅されてるの?」
納得がいかないブリジット嬢は、こそこそ話していますわ。私は聞こえてましてよ。
「何言ってんのー、ブリジット。脅されてなんてないってー」
「オ、オスカー様……お声が!」
ひそひそ話でしたでしょうに、オスカー殿はお構いなし。ブリジット嬢もこればかりは慌てることでしょう。
「つか、アリアンヌ様だけじゃなくて。メンツ固定じゃん? せっかく同じクラスになったんだからさ、色んな人と仲良くなりたくない?」
「ええ、その通りですわっ!」
私は何度も頷きました。なんて素晴らしいお考えなのでしょう! だよなー、とオスカー殿も笑っておいでです。
「……そういう話なら」
ブリジット嬢も以降は反対することはありませんでした。
「今更過ぎるけどさ、みんなもそれでいい?」
「今更過ぎんだよぉ、オスカーはよぉ! まあ、いいけどさぁ!」
「いつメンばっかってのもね。私の方からも声かけてみるね」
オスカー殿が確認をとると、皆様はここぞとばかりいじっています。その上で、彼の考えには賛成していました。
「オスカーの言う通りかも。色んな人と遊んでみるのもいいよね。アリアンヌ様もよろしくね」
「はいっ……!」
オスカー様だけではない、皆様も。私を受け入れてくださる。私は今までにないくらい、満面の笑みになっていたことでしょう。
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