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朝から甘い。
しおりを挟む翌朝になり、私は二階の自室から階下へ。ああ、美味しそうな香りが漂ってましてよ。
「おはよう」
「おはようございます――」
食卓に料理を並べているシルヴァン殿を見て、私は目を大きく開きました。眠気も一気に吹っ飛んでしまいましたわ……だって、彼の髪の毛が短くなっていますもの!
「ん? ああ、髪か? 毎朝セットするのもだるいなって、朝イチで切ってみた。もう前みたくオンオフ切り替えとかしなくていいし」
「切り替え。そうしたご事情がありましたのね……」
「そういうこと」
彼の髪の分け目はそのままであり、耳にもかかるくらいには長さは残されています。それでも印象はかなり変わりますわね。彼の綺麗な顔立ちがより際立つかのようで。
「ふーん?」
「はっ!」
私は思った以上に彼を見てしまっていたようです。それを見逃すわけがないのがシルヴァン殿。彼はニヤニヤしていました。
「切って正解だったか。ふーん」
「あ、いえ、お似合いだと思ってますわ! それに見惚れていたのは、その、御自分でやったというその仕上がりが見事だと!」
「ふーん、見惚れていたんだ」
「あ、いえ……」
話せば話すほど墓穴を掘っているようでした。シルヴァン殿は上機嫌ですこと。話されている間にも手際はよろしかったようで、朝食は出来上がってました。
「ほら、席に着いた着いた」
シルヴァン殿に促されたので、私は向かいの席に座ることにしました。シルヴァン殿は椅子を引いてくれますし、私も座ります。その行為に苦笑したのは彼で、続いて私も。長年の習性は中々抜けませんわね。
「さあ、いただきましょう。美味しそうですわね」
「だろ? 召し上がれ」
料理は自分でやりたいと彼からの申し出でした。元々料理がお好きだとか。ええ、この腕前ですもの。趣味と実益を兼ねてますこと。さらに、節約を突き詰めたいとも仰ってましたわね。
「美味しいか?」
「ええ!」
朝からご馳走といえるもの。舌がとろけそうですわぁ……。
「よーしよし、餌付け成功だな」
「……シルヴァン殿? 今はっきりと餌付けと。あなた、そう言いましたわね?」
「言ったけど?」
シルヴァン殿、全く悪いと思ってませんわね。
「俺を選んでくれたら、ずっと美味しいゴハンが食べられるし? メシだけじゃない。たっくさん甘やかすんだけどな?」
「う……」
朝の風景にそぐわない甘い雰囲気。彼もまた艶のある声を出しますから……!
私たちは朝食を再開しましたが、こう、落ち着きませんこと……! 彼が私を見る目は、優しくもあり……愛しいといったものも込められているのだと。もう気のせいだと思わせてくれないほどに。
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