脳筋悪役令嬢の華麗なる恋愛遊戯~ダンジョン攻略駆使して有利に進めてみせます!~

古駒フミ

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目指すはセレステ

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「大丈夫? 」

 前のめりになったブリジット様が顔を覗き込んでいました。殿下も心配そうになさっています。私、かなり呆けていたようですわね。私は大丈夫、と返答しました。

「……そう? 私が予想できる相手、言ってもいい? 殿下いるけど……」

 ブリジット様は横目で見てますが、殿下はへこたれていません。それが何か?といった態度でした。イラっとしたブリジット様はこう口にしたのです。

「うん。色々とご存じだもんね……大樹のことだって」
「ブリジット様、それって……」
「――セレステ」
「!」

 私の鼓動が速くなったかのよう。ブリジットが出した名、あまりにも衝撃的過ぎて―動揺するには充分過ぎて。

「あなたも私も『ここ』に転生してきている。なら、セレステも転生してきているかなって。なら――攻略対象になっても不思議じゃないよね?」
「……」

 ええ……色々と整理をしましょう。まず、セレステの生まれ変わりが―イヴであると? そうお伝えすべきか。
 ……いえ。殿下とは何でも話そうと約束していても。親友のブリジット相手でも。こればかりはイヴの許可が必要だと……今はただ、お許しくださいと。

「……」
「……」

 殿下もブリジット様も何かを察しているかも。それでも今は触れないでいてくれる。お二人の優しさなのだと思えました。

 セレステが対象。それも私は納得がいきました。ええ、恋愛といわずとも友愛の可能性はありますから。少なくとも私は親友の一人と思っていますし。

「セレステまで辿り着けたら、きっと手がかりが掴めるんじゃないかな」
「そうですわね」

 私たちは彼を信頼してますから。それに知識量も膨大。セレステと向かい合った先に―現状打破へとつながるのではないかと。

「……ふう。なんなんだ。君達はその、セレステ殿? その人物を頼りに動いているんだな」
「ええ、頼りになりますもの」
「むう……」

 殿下は私の返しに頬を膨らませていました。

「本当に頼りになるんだよ? ユイちゃんのこと大事にしていたし。私、セレステだったら? まあ、いいかなって」
「ぐふっ……追撃か!」

 殿下はブリジット様の返しに胸を抑えていました……追撃?

「な、なんだろうな……その名はこう、ざわつくというか。君達以外から聞くこともなかったはずなのに……」

 殿下は胸に手をあてたまま……彼は記憶を辿り、面識はないはず、覚えもないはずと確認していました。殿下の記憶にないのなら、本当にそうなのでしょうが……。

「とにかくだ……ユイ? 一名どころではなかったな?」
「ええ……そうでしたわね」

 殿下、しっかりと触れてきますわね。ええ、話が違っておりますものね。ですが、殿下。にこりと笑われたのです。

「いや?怒っているわけじゃないぞ?話が違ってくるなあって」
「ええ……そうですわね」
「な? なら、別に俺とエンディング迎えてもよくないか?」
「ええ、そう……なりませんわよ殿下!」

 おっと、誘導尋問ですの!? 殿下はこれみよがしに肩を竦めていますけども。それからまた口を尖らせてますわ。あ、きますわね、駄々こねモードが!

「だって……だってさぁ? なんだよ、残り三名も追加って! そこまで待ってられないだろ!? ぎり一名だから我慢したのに!もうな、レヴァンタジア行きもやめるか!?」

 殿下、屈んでは小机に手を置いてきました。もう『やだやだ』の連続です。

「……殿下?」
「ごめんなさい。鬼嫁が怖いので冗談です」
「……殿下?」

 まあ、殿下は本気で仰ったようではないようですわ……一方的に恐怖されてしまいましたが。私、ただあなたを呼んだだけですのに。
 ……鬼嫁?

「……嫁って。やだもう、殿下。気が早すぎなんだからぁ。うふふ?」
「そうだなぁ、気が早かったかぁ? どっちみち確定事項だけどな? あはは?」

 笑い合っているのに、なんでしょう……この殺伐ぶりは。
 ともあれ、私たちはレヴァンタジアに向かうことにしたのでした。



『これはいわば――婚前旅行です』

 私の両親を前に堂々と言い切った殿下。応接間でポカンとしてましたわね、両親……。

『やだもう、殿下! 友人の旅行です。殿下も心配だからってついてきてくださっただけですから』

 フォローしてくださったのはブリジット様。花のように笑う彼女に、私の両親は締まりのない顔をしていました。ええ、そうなりますわね。お気持ちはわかりますわ。
 どのみち殿下の巧みな話術もあって、私たちは長期の旅行は許可されたのでした。さすがに行先はいえませんわね。

 殿下の側近殿はお留守番であると。殿下、お忍びと仰ってましたものね。

 ですが、ブリジットの兵の皆様が付き添ってくださいます。彼ら、乗り物も運転できるでしょうし、ダンジョンにも慣れてらっしゃるようですもの。かつてはライバル関係でありましたが、頼もしいことですわね!
 ええ、頼もしい――。
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