脳筋悪役令嬢の華麗なる恋愛遊戯～ダンジョン攻略駆使して有利に進めてみせます！～

古駒フミ

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いつものダンジョンに？

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「……。というか、名無し殿。びびった」

　こちらを見ていたシルヴァン殿でしたが、彼は話の先を名無し殿に変えたようです。ええ、突然ではありましたものね。

「む、そうか。驚かせてすまない」
「あ……うん。まあ、来る気もしてたけどな」
「ああ……同胞たちが中々帰還しなくてな」

　そうしたこともあって、名無し殿は駆けつけてくださったのですね。

「改めまして、ありがとうございました」

　名無し殿もそうですが、もちろん皆様も。

「うーん……うん、こちらこそ、でいいのかなぁ？」　

　複雑そうにしているオスカー殿でしたが、彼はこうも。

「って、解決したってこと？　皆さん、戻ったってことでいいんだ？」　
「ああ、そうだな。禍々しき気も消失した」

　名無し殿の太鼓判ですわ。ああ、皆様も元の姿に戻っていきますわ……！　

「……ええ」

　やりきった、そういうことでよろしいのでしょうか。

「……」

　やりきった……ですのね？　今はそう信じましょう――。

　その後、イヴの帰還スキルで脱出ができました。皆様もそうですわね。道中で気絶されていた方に関しては、他の冒険者方の手もお借りして。
　ご無事で良かった、報われたということ。命あっての物種ですものね。

　ダンジョンも通常のものになったと、名無し殿より。そうですの、通常に――。

「――アリアンヌ様、行く気？」　

　入口で留まっていた私たち、イヴが確認してきたのです。

「正直行きたいのもありますわ……それと、本当に元通りになっているかも」

　ええ、ダンジョンにうずうずしているのも本当。あと、名無し殿を疑っているわけでもなく、本当に解決したのか――確認もしたくて。

「またまたー」
「またまたー、じゃなくてよシルヴァン殿！」

　私、本気ですのに！　あなたはおちょくりますけど！　ここぞとばかりに！　

「ま、俺も稼いでおきたいしな。稼ぎ足りねってことで」
「稼ぎもわかるし、アリアンヌ様のお気持ちもわかる。安心しときたいよなー」

　シルヴァン殿とオスカー殿の賛同も得ました。イヴも仕方ない、と溜息をついてますわね。

「ヒューゴはどうする？　……ヒューゴ？」　
「……」

　オスカー殿のお声掛けにも、彼は反応なさらず。

「……」

　そういえば、ずっと無言ですわね……ヒューゴ殿。彼は虚空を見つめているよう。

「……ヒューゴ殿、無理強いはしませんわよ？」　

　それに彼、ダンジョンで体調を崩されてもいましたものね。

「あ……」

　ようやく、ヒューゴ殿はこちらに気づいたようです。顔色は……悪くはないようですわね。

「――ええ、私も同感です。目的の採取量には到達してませんから」

　それにハキハキと答えられて。お体優れないわけでないのでしたら……。

　ともあれ、ヒューゴ殿もご参加と。あとは――名無し殿。

「――そうだな。約束したな」
「そうですわね」

　ええ、そうでしたわね。春休みにご一緒できたらと。名無し殿、頷いてくださいました。ご一緒できますのね。

　杞憂でした。警戒しつつも潜りましたが、いつもの洞窟ダンジョン。宝箱の回収や金策も捗りましてよ。まあ……珍道中でもありましたが。

「……頃合いですわね」

　もう日も落ちそうです。本日はここまででしょう。

　またダンジョンをご一緒にと思いましたが、私たち、見事に空き日が重なりませんこと……！　結果、居合わせたらご一緒しましょう、そうした結論に至りました。

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