運命の番に出会った話

よしゆき

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 気づけば窓の外は明るくなっていた。
 どぷっどぷっと何度目かもわからない精液を注がれ、颯太はきゅうぅっと腸壁を締め付ける。

「あっあっ……啓介しゃ、んっ……」
「中、出しすぎてもう殆ど溢れちまってんな」
「んっ……お腹、啓介さんのせーえきで、いっぱい……」

 颯太はとろんとした顔で自身の腹を撫でた。そこは啓介の男根と彼の体液で満たされている。もう入らないほどたぷたぷになっているのに、体はもっともっとと際限なく求め続ける。Ωの本能が番の種を欲していた。

「一回、風呂入るか」

 そう言いながら、啓介は緩く腰を回す。
 体は互いの体液でじっとりと汚れている。
 啓介の汗と精液の匂いが濃く感じられて興奮するのだが、確かにそろそろ一度汗を流した方がいいだろう。啓介の匂いには包まれていたいが、颯太は自分の汗の匂いが気になった。

「あっんっんっ、入るっぅうっ」
「飯も食っとかねーと。まだまだ体力使うからな」

 水分はこまめに補給していたが、食事もとらずにもうずっとこうして体を繋げている。
 一体何時間経ったのだろう。ふと気になって時計を見てハッとした。

「あっ、お、俺、バイト……!」
「ああ?」
「んぉっ」

 どちゅっと最奥を穿たれ、颯太は目を見開き背中を仰け反らせる。
 ギラギラと獰猛な光を孕んだ啓介の瞳が颯太を見下ろしていた。

「んっひっおっおぉっ」
「なんだって、颯太? あ?」
「おっぉっ、ば、ぃとぉっ、休むって、でんわ、あっあひっ」
「余裕だなぁ、颯太。俺以外のこと考えるなんて」
「はっあっ、ひはぁっ、あっ、らってぇっ」
「こんだけ犯しても、まだ他のこと考えられるのか? なら、もっと激しくしてもいいよなぁ?」
「んあ゛っ、まってぇっ、ごめんなしゃ、ああぁっ、あっひぃんっ、でんわ、でんわしゃせてっ、けいすけしゃ、あっあっ、おねがいぃっ」

 どちゅっどちゅっどちゅっと内奥を貫かれながらも、颯太は必死に訴えた。
 颯太はフリーターだ。ファミレスと居酒屋のバイトを掛け持ちしている。抑制剤さえ飲めば発情期が来ても普段通りの生活は送れるが、Ωの就職はαやβに比べればずっと難しい。颯太のように取り立てて能力のないΩはまず就職などできない。
 副作用もなく効果の強い抑制剤は高く、生活費と薬のお金を稼ぐために颯太は殆ど休みなく働いていた。
 無断欠勤なんてしたら、バイトをクビになってしまうかもしれない。生活がかかっている颯太は懸命に啓介に懇願する。

「け、すけさぁっ、あっ、おねが、あぁっ」
「必要ねーよ」
「はぇっ……?」
「もう電話しといたからな。辞めるって」
「んっ、えっ? や、やめっ、て、ぇえっ? い、いつ……!?」
「お前が何回目かの気絶したとき」

 颯太は強すぎる快楽に耐えきれず、何度か意識を手放していた。その隙に颯太のスマホを弄ったのだろう。勝手にスマホを見られるのは別にいいのだが、バイトを辞めさせられたと聞かされ戸惑ってしまう。

「辞めるってぇっ、あっあっあぁっ、なん、なんれぇっ?」
「これからは俺と一緒に暮らすんだから、働く必要なんかねーだろ」
「へぁっ? えっ、あっ、えっ……?」
「俺に囲われんのは嫌なのか?」
「はっ、あっ、えっ……?」
「嫌だっつっても離さねーけど」
「んあぁっあっあっああぁっ」

 色々と考えなければならないのに、じゅぽじゅぽと肉棒を抜き差しされ、快楽に身も心も支配されてなにも考えられない。
 肉筒がきゅんきゅんと蠕動し、番の精液を欲しがって剛直を締め付ける。

「はっ……ちょっと前まで処女だったくせに、すっかり精液ねだるの上手くなったなぁ」
「んんっ、ほしぃっ、けいすけしゃ、のぉっ、せぇえきっ、俺のなか、出してぇっ」

 もう入りきらないほどに注がれたというのに、体は際限なく求め、欲しがっている。
 そして素直に求めれば、欲しいものを与えられる。
 愛する人の精に腹を満たされ、颯太は恍惚とした表情を浮かべ幸せに浸った。
 更にたっぷり注いでもらってから、漸く浴室へ移動した。 
 溢れるほどに胎内に吐き出された精液が、後孔からたらたらと太股を伝い垂れていく。

「あっ、啓介さんの……零れちゃう……」
「心配しなくても、また好きなだけ出してやるよ」

 悲しい顔を見せる颯太に啓介は唇の端を吊り上げて笑い、アナルの中を指で掻き回した。
 互いに髪も体も、隅々まで洗い合う。
 颯太のぺニスは精を出し尽くしてふにゃふにゃだが、啓介のそれは数えきれないほど射精してもまだ固く反り返っていた。大きく太く脈打つ肉棒を、颯太は陶酔したようなとろりとした双眸で見つめる。
 引き寄せられるようにそこに触れ、颯太は啓介にねだった。

「啓介さん、の、おちんぽ……舐めさせて……」
「いいけど、無理すんなよ」
「う、うん……」

 浴槽に腰掛ける啓介の足元に膝をつく。目の前に彼の陰茎がきて、颯太はごくりと喉を鳴らした。
 自然と息が上がり、顔を寄せる。
 雄の匂いを強く感じ、くらくらした。じゅわっと口の中が唾液で溢れ、後孔がきゅんっと疼く。
 ビンッと勃ち上がった剛直に手を添え、そっと口づけた。

「はっ、ぁ、んっんっんっ」

 ちゅっちゅっと啄むようにくまなくキスをして、彼の肉棒に唇で触れているのだと思うと堪らなく興奮して背筋が震えた。
 伸ばされた啓介の手が颯太の頭をくしゃりと撫でる。
 頭を撫でられると犬のように喜んでしまう。愉悦に身も心も満たされる。
 颯太はこちらをじっと見下ろす彼の瞳を見つめながら、硬い雄蘂に舌を這わせた。

「はむっ、んっ、んっ、はぁっ、んっ」

 夢中でねぶり、思う様味わう。好物を与えられた犬のように涎を垂らし、口元をべたべたに汚しながら余すところなく舐め回した。まだたっぷりと精液の詰まった陰嚢をしゃぶり、根本から先端までちゅぱちゅぱと音を立てて舐め上げる。

「美味そうな顔しやがって」

 啓介は双眸に情欲を浮かべ、唇を歪める。
 彼の欲を孕んだ視線にぞくぞくして、後孔からとろりと蜜が漏れた。
 番の甘い匂いが強く香る。それを思い切り吸い込み、颯太は陶然とした表情を浮かべた。
 蕩けた顔で剛直を口に迎え入れる。濃い雄の匂いと味が口から鼻へと広がり、颯太はぶるっと胴震いした。

「んっふぅっ、んっんっんっ」

 舌で括れの部分を擦りながら、ぢゅうっと吸い付く。
 太い剛直は、先端を含んだだけでも口がいっぱいになってしまう。それでも颯太はもっと奥へと迎え入れようと、限界まで口を開いて喉奥へ亀頭を埋めていく。
 しかし、それを啓介が止めた。

「無理すんなっつっただろ」

 顔を引き剥がされて、口からたらりと唾液が零れた。

「んっ……らって、啓介さんの、全部、入れたい……」

 上目遣いに啓介を見つめ、濡れた陰茎に頬擦りする。

「口でも、全部、受け入れたい、のに……啓介さんの、おっきすぎる、から……」
「んな拗ねた目で見られてもなぁ。こればっかりはどうしようもねーだろ」

 つんと唇を尖らせれば、啓介に苦笑で返された。

「啓介さん……奥まで、入れなくてもいいから、俺の口、おまんこみたいにおちんぽでずぽずぽして……?」

 幹をはむはむと食みながら、颯太はねだる。

「俺、自分じゃできないから……啓介さんがして……? おまんこと同じように精液出してほしい……口でも、飲ませて。啓介さん、お願い……」
「ったく、エロいおねだりしやがって」

 呆れたように言いながら、啓介の瞳には嗜虐の色が浮かんでいた。

「苦しかったら、我慢はするなよ」
「うん……」
「ちゃんと俺の目ぇ見て、逸らすんじゃねーぞ」
「は、はひ……」
「口開けろ」
「はっ……んうぅっ」

 大きく口を開けば、太い肉棒をゆっくりと差し込まれた。
 颯太は歯を立てないよう、口内の粘膜でそれを包み込む。
 大きな掌に頬を押さえられ、前後に揺すられた。剛直が抜き差しされ、エラが口の中を擦り上げる。
 たっぷりと分泌される唾液で滑りを増し、ちゅぼっちゅぼっと卑猥な音が浴室に響いた。

「んっ、ぐっ、うぅっ、んっ、ふっ、ふぅっんんっ」

 くぐもった声を漏らし、颯太は口腔内を犯される悦びに震えた。
 言われた通り、彼から片時も目を離さない。
 同じように、啓介も情欲に濡れた瞳で颯太をじっと見下ろしていた。
 自分はさぞみっともない表情をしているのだろう。そんな顔を見られて恥ずかしくて堪らないのに、彼の視線にぞくぞくする。なにもかもさらけ出したいと思ってしまう。どんな姿も余さず彼に見られたい。
 興奮し、舌を動かし剛直に吸い付く。じわりと滲み出した先走りを、音を立てて啜り上げた。

「っは……すげー吸い付き……そんなに精液欲しいのか……?」
「んっ、ふっぅんんっ、んっんっ」

 欲しい、と答える代わりに口全体で陰茎を吸い上げる。
 口の奥まで犯され、出し入れされ、苦しいのに堪らなく気持ちよくて、収縮する後孔から蜜がたらたらと溢れた。

「んぐっんっんっんっんん゛っ」
「ああ、気持ちいいな、颯太の口まんこ……っ」
「んっうっんっんっんっんうっんっ」

 動きが速くなり、口腔内を激しく擦られる。

「出すぞ、颯太っ」
「っ、ん゛────っ」

 喉奥に、勢いよく精液が流れ込んでくる。颯太は雄蘂にしゃぶりついたまま、喉を鳴らしてそれを飲み込んだ。
 啓介と見つめ合った状態で放たれたものを全て飲み干し、残滓も残らず啜り、それからゆっくりと口を離した。
 颯太は瞳をとろんとさせ、陰茎に頬を摩り寄せる。

「ありがと、啓介さん……」
「お前が礼言うのかよ」
「だって、俺がさせてって頼んだんだし……」

 啓介に意地悪く笑われて、拗ねたように唇をへの字に曲げる。啓介は更に笑みを深め、それから優しく頭を撫でてくれた。
 ぬるめのお湯を溜めた湯船に二人で浸かる。
 足が伸ばせるほど広い浴槽で、啓介と向かい合う形で彼を跨ぎ、そしてひくつく後孔にそそり立つ剛直を埋め込んでいく。

「んぁああっ、啓介さ、のっ、熱いの、入って、あっあっあんっ」
「はっ……お前ん中も、すげー、熱い……」

 互いの荒い息遣いが浴室に響く。
 根元まで受け入れて、彼の熱で腹を満たされる快感に颯太は陶然となった。

「あっんっ、啓介さっあっあっんんっ」

 顔を寄せれば噛みつくようにキスをされ、口腔内を貪られる。肉厚の舌で口の中をぐちゃぐちゃに掻き回され、颯太はぎゅうぎゅうと後孔を締め付けた。

「っは……きつ……締めすぎだろ……っ」
「ぁんっ、んっ、だってぇっ、キス、好き……啓介さんのキス、気持ちよくて、おまんこきゅんきゅんするぅっ、キス、もっとして、啓介さ、きす」
「ほんと可愛いな、颯太は」

 可愛いと言われて甘やかされると、堪らない多幸感に包まれる。
 それは番である啓介が相手だからだ。他の誰でもこんな幸せな気持ちにはなれない。
 舌を絡ませ合い、じゅぼじゅぼと剛直を抜き差しされる。乳首をお湯の中でカリカリと引っ掛かれ、びくびくっと肩が跳ねた。

「んぁっんっんっ、け、しゅけさ、んっんんっ、す、きっ、んっぁんっ、しゅきっんんんっ」
「っ、颯太……っ」

 子宮口を貫かれ、最奥を突き上げられる快楽に溺れる。
 どんどん動きが激しくなり、お湯がパシャパシャと揺れた。
 颯太は目の前の啓介の体にしがみつき、与えられる強烈な快感に悶える。
 互いに欲を貪り合い、のぼせる前に風呂から上がった。
 浴室を出ると綺麗にベッドが整えられ、軽食が用意されていた。啓介が頼んでいたのだろう。
 啓介の膝に乗せられ、サンドイッチを食べさせてもらう。軽い食事を済ませると、颯太は再びベッドへ運ばれた。
 バスローブを脱いで、布団の中で裸で絡み合う。
 何度か意識は飛ばしたが、まともな睡眠はとっていない。ずっと抱かれ続け、体はくたくたのはずなのに、それでも啓介を求めてしまう。

「啓介さん……」
「さすがに一回寝るぞ」
「うん……」

 確かに眠い。それに颯太と違い啓介は一睡もしていないはずだ。彼にも休息が必要だ。
 眠らなければならないのに、目を瞑らずじっと啓介を見つめてしまう。
 啓介の切れ長の目が柔らかく細められる。 

「んだよ。寝ろって」

 口調は乱暴だが、くしゃりと頭を撫でる手付きはとても優しい。

「啓介さん、ずっと俺の傍にいてくれる?」
「いるだろ、ちゃんと」
「先に起きても、一人でどっか行っちゃったりしない?」
「行かねーよ。お前置いて行くわけねーだろ」
「ほんと……?」
「……ったく」

 啓介に体を反転させられ、彼に背を向ける。横臥した状態で、背後から後孔に剛直を捩じ込まれた。

「ひっあっあっあっあぁっ」

 ゆっくりと楔で貫かれ、奥まで届く前に動きが止まる。

「んっあっ、けいすけ、さ……?」
「このまま寝れば、心配ねーだろ」

 後ろから回された腕に包まれ、胸がきゅんと締め付けられる。同時に後孔もぎゅっと締まった。

「あんま締めんなよ。寝れなくなる」
「あっ、うっ、うぅっ、気を付ける……」

 こんな状態で眠れるのだろうか。そう思ったが、啓介の腕の中は酷く安心できて、すぐに眠気は訪れた。いつしか颯太は眠りに落ちていた。

 


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